産業医も気にする心の健康対策(メンタルヘルスケア)に取り組んでいない理由及び今後の取組予定

心の健康対策に取り組んでいない事業所(全体の66.4%)について、

取り組んでいない理由をみると、

 

1.         「専門スタッフがいない」(44.3%) とする事業所の割合が最も高く、

2.         「取り組み方が分からない」(42.2%)、

3.         「必要性を感じない」(28.9%)、

4.         「労働者の関心がない」(27.7%) の順となっています。

 

30人以上の規模の事業所で「専門スタッフがいない」とする事業所の割合が最も高くなっています。

 

これは、産業医がいる事業所でも、産業医の仕事がほかの事で手一杯であったり、単に産業医がそこまでやってくれなかったり、いろいろな原因があると思います。

 

今後の取組予定としては、

ü         「取り組む予定である」は4.4%、 であり、

ü         「取り組む予定はない」が51.9%、

ü         「検討中」が42.8%、 となっています。

 

取り組む予定がない事業所が半数以上とは、働く人の心と体の健康を応援する産業医.comとしては、悲しく、厳しい数字です・・・。

 

 

メンタルヘルスケアに取り組んでいない理由及び今後の取組予定

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以上、20081010に厚生労働省より発表された「平成19年 労働者健康状況調査」を、産業医.com的に紹介させて頂きました。(詳しくはこのリンク先の報道発表資料でご覧ください。)

産業医も気にする労働者の心の健康(メンタルヘルス)①:メンタルヘルス上の理由により休業・退職した労働者

過去1年間にメンタルヘルス上の理由により連続1か月以上休業又は退職した労働者がいる事業所の割合は7.6%となっています。

 

1000人以上の事業所においては、9割を超えています。

 

産業医的には、同感です。

そう実感しております。

 

 

メンタルヘルス上の理由により休業・退職した労働者の有無及び

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以上、20081010に厚生労働省より発表された「平成19年 労働者健康状況調査」を、産業医.com的に紹介させて頂きました。(詳しくはこのリンク先の報道発表資料でご覧ください。)

 

産業医も気にする労働者の心の健康(メンタルヘルス)②:従業員(労働者)の仕事や職業生活に関する不安、悩み、ストレスについて相談できる人の有無

自分の仕事や職業生活での不安、悩み、ストレスについて、

「相談できる人がいる」とする労働者の割合は89.7%、となっており、

女性(93.1%)の方が男性(87.4%)より高くなっています。

 

「相談できる人がいる」労働者が挙げた具体的な相談相手(複数回答)としては、

「家族・友人」(85.6%)、 が最も高く、

「上司・同僚」(65.5%)、の順となっています。

 

予想通りの結果、でしょうか・・・。

 

男女別にみると、

「家族・友人」を挙げた労働者の割合は、

女性(91.2%)の方が、男性(81.4%)より高く、

 

「上司・同僚」は、

男性(67.4%)の方が女性(62.8%)よりやや高くなっています。

 

相談できる人の有無及び相談相手別労働者割合

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以上、20081010に厚生労働省より発表された「平成19年 労働者健康状況調査」を、産業医.com的に紹介させて頂きました。(詳しくはこのリンク先の報道発表資料でご覧ください。)

産業医も気にする労働者の心の健康(メンタルヘルス)③:従業員(労働者)の仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレス

近年、日本の職場環境は激変しています。

職場のモザイク化です。

パートや派遣、契約社員は、従業員の1/3。

外国人労働者は75万人と、過去10年で倍増しています。

企業のMAも進み、正社員であっても、ひとつの枠にとらわれた考え方では、個人や集団の間で生じる対立(conflict)には対応できません。

 

そのような中、自分の仕事や職業生活に関して、

強い不安、悩み、ストレス(以下「仕事でのストレス」)が「ある」とする労働者の割合は58.0%[前回61.5%]となっています。

 

 

「仕事でのストレス」がある労働者が挙げた具体的なストレスの内容としては、

1.         「職場の人間関係の問題」(38.4%)、が高く、

2.         「仕事の質の問題」(34.8%)、

3.         「仕事の量の問題」(30.6%)の順となっています。

 

よく考えてみると、実際の労働者で、

「職場の人間関係の問題」が「仕事でのストレス」、

と答えているのは、22.3%ということになります。

約5人にひとり・・・、これが、多いのか少ないかのご判断はあなたにお任せします。

 

 

男女別にみると、

  • 「職場の人間関係の問題」は
  •   男性30.4% vs. 女性50.5%と、
  •   女性が男性より高く、
  • 「会社の将来性の問題」は、 
  •   男性29.1% vs. 女性12.9%と、
  •   男性が女性より高く、
  • 「昇進、昇給の問題」は、
  •   男性24.9% vs. 女性15.6%と、
  •   男性が女性より高くなっています。

 

女性は職場の人間関係、男性はそれよりも会社や自分の将来を心配することが多いようです。

 

 

就業形態別にみると、

一般社員は、

ü         「職場の人間関係の問題」(37.7%)、

ü         「仕事の質の問題」(36.7%)、

ü         「仕事の量の問題」(32.0%)が高く、

 

契約社員は、

ü         「雇用の安定性の問題」(36.2%)、

ü         「職場の人間関係の問題」(34.4%)、

 

パートタイム労働者は、

ü         「職場の人間関係の問題」(45.8%)が高くなっています。

 

仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレス図4

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以上、20081010に厚生労働省より発表された「平成19年 労働者健康状況調査」を、産業医.com的に紹介させて頂きました。(詳しくはこのリンク先の報道発表資料でご覧ください。)

産業医の求める就業規則① 復職と休職に関する就業規則をつくりましょう!

 

従業員の心と体の健康管理に関して、

 

最近、企業には、より多くのことが求められてきています。

 

 

心の健康に関しては、

 

従来は、

 

「メンタルヘルスをケアしましょう、予防しましょう

 

というスタンスが、企業に求められておりました。

 

 

2004年に、心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引きについて.が厚生省より出されました。

 

 

そして、現在は、

 

「メンタルヘルス問題(ようするにうつや不安神経症、パニック障害等)で休職してしまった従業員も、ちゃんと復職させましょう

 

というスタンスが、求められています。

 

 

ところが、

 

実際に企業に休職者がでてしまってから、産業医探しをはじめる企業も少なくありません。

 

 

しかしこれは、産業医がいれば問題が解決する、わけではありません。

 

もちろん、質の高い産業医の存在により、問題解決がラクになる、解決への近道がみつかる、などはあります。(そうなれば、産業医としてはうれしい限りです。)

 

 

どのようなケースでも、それぞれの会社のスタンス、方針がはっきりしていないと、産業医としても、対応が難しくなってしまいます

 

 

もちろん、会社のスタンス・方針とは、

 

会社のルールに裏付けられたものでなければなりません。

 

 

そして、そのルールは、法的な根拠があり、法的にも納得のいくものでなければなりません。

 

このルールこそが、「就業規則」です。

 

 

就業規則に、休職・復職に関する充分な規定がないのに、従業員の休職・復職に対応することは、

 

会社の担当者にも産業医にも、複雑、煩雑、じれったい作業です。

 

 

例えていうならば、

 

暗黙の了解ルールのみでのトランプの大富豪をやっていて、何か問題が生じたけれど、さまざまな(ローカル)ルールがあり、解決がまとまらない、状態です。

 

 

会社内健康保健サービス(産業医システム)の改善を期に、

 

復職と休職に関する就業規則について、考えてみませんか?

 

産業医の求める就業規則② 「休職の定義」と「休職期間」について

 

就業規則では、

 

休職の定義」と「休職期間

 

を、決めることが出来ます。

 

 

つまり、「何をもって休職とするか」、「どれくらいまでを休職とするか」ということです。

 

ちなみに、これに関しては、労働基準法に決まりはありません。

詳しいことについては、専門家にご相談下さい

 

 

 

ここでは、産業医の立場からの見解を述べさせて頂きます。

 

 

「休職の定義」≒「何をもって休職とするか」

 

たいていは以下が該当します。

 

     疾病による欠勤が○か月を超え、療養を継続する必要があるため、 勤務できない場合

     特別の事情がある場合

 

 

就業規則にこのような文章がのっている企業はそれなりにあります。

 

市販の就業規則ひな形でも、載っているものはあります。

 

くどいようですが、これに関しては、労働基準法に決まりはありません。

 

あくまで、就業規則です。

 

 

就業規則では、会社独自で様々なルールを決めることができますが、これだけでは不十分です。

 

休職の期間についての記載が足りません。

 

 

「休職期間」≒「どれくらいまでを休職とするか」

 

社員が病気で長期間休むことになりました。さて、いつもで休みを認めますか

 

 

「治る」まで?

 

 →「治る」の定義は何ですか?

 

     病気が完治したことの証明方法も考えましょう。

 

    

→「治る」まで数年かかってもいいのですか?

 

 その間、社員の身分を維持することは、社会保険料が発生し続けます・・・

 

 休職社員の部署に人員補充をする必要があるかもしれません。そのコストもかかります。

 

さもなければ、働いている他の社員の負担がふえるばかりです。

 

 あなたの会社に、それに耐える体力はありますか?

 

どこかのタイミングで、ケリをつけることが必要と思います。

 

 

一般的に、休業期間を経過すると、退職になります。

 

逆に言えば、

 

休職期間を決めていないと、退職を決めることもできない状態が続きます

 

 

そこで、

 

 →「期間」はいつまでとしますか?

 

     例えば、休職期間については、

 

Ø         勤続1年以上3年未満の者・・・○ヶ月

Ø         勤続3年以上の者・・・○ヶ月

 

という形で就業規則に載せることは可能です。

 

これは、勤続年数で差をつけているので、長く働いてくれた社員をより大切にするという意味もあります。

 

いかがでしょうか?

 

産業医の求める就業規則③ メンタルヘルス社員の復職と再発について

 

2004年に、心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き について.が厚生省より出されました。

 

 

そして、現在は、

 

「メンタルヘルス問題(ようするにうつや不安神経症、パニック障害等)で休職してしまった従業員も、ちゃんと復職させましょう

 

というスタンスが、企業には求められています。

 

 

そこで、産業医的には復職の方法についても記載が必要かと思われます。

 

 

社員の復職に携わっている産業医としては、さらに、

 

再発の対処法

 

と、

 

再発の定義

 

についても記載して欲しいと思います。

 

 

このような就業規則は、決して会社のリスクを減らすだけのものではありません。

 

社員の働く環境を守るためのもの、としての導入という認識が必要です。

 

そのほうが、社員に受け入れられやすいのではないでしょうか。

産業医も気になるメンタルヘルスへの対策の背景

 

近年、企業内産業保健サービスにおいて重視すべき課題としてメンタルヘルス対策があります。

 

 

2006年の「メンタルヘルスの取り組み」に関する企業アンケートによると、

 

 

  最近3年間における「心の病」は6割以上の企業が「増加傾向」と回答し、過去2回の結果と比較すると、一貫して増加しています。

 

 

心の病が増加傾向と答えた企業は?

 

     2002年:48.9%、2004年:58.2%、2006年:61.5%と増加傾向にあります。

 

 

メンタルヘルスに関する対策に力を入れる企業は?

 

     2002年:33.3%、2004年:46.3%、2006年:59.2%と、メンタルヘルスに関する対策に力を入れる企業も倍近くに増えています。

 

 

 

さらに、メンタルヘルス対策について、約9割の労働組合が必要性を肯定していることを示したものもあります。(2005年、連合「第5回安全衛生に関する調査」)。

 

 

最近のデータでは、2007年度に労働相談情報センターに寄せられたメンタルヘルス(心の健康)に関する相談数は、5946件で、2006年度から105.7%増し、ほぼ倍増となっています。

 

中でも、「職場の嫌がらせ」が2割増加、また、英会話学校等で働く「外国人関連の相談」も2割増加となっています。

 

 

このようなことから、個々の企業、事業場で着実にメンタルヘルス対策が実施されることが求められています。

 

 

また、メンタルヘルス不調の労働者が休業から復帰し、又は継続して働き続けられるようにするといった再チャレンジを支援する仕組みについても早急に構築する必要があります。

 

 

各社がそれぞれの会社に合わせた、「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援プラン」を作成することは、その労働者のみならず会社および人事に関与する人にとって、とても有意義であると思います。

 

 

今後とも、こうした対策の実施状況を踏まえて、より効果のあるメンタルヘルス対策について検討していくことが必要です。

 

 

 

(参考)最近のメンタルヘルスに関する労働行政の取組み

 

19999  「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針について」

 

20008月 「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」

 

20014  「労働時間の適正な把握の為に使用者が講ずべき措置に関する基準」

 

20022  「過重労働による健康障害防止の為の総合対策」

 

200410 「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」

 

20063   「過重労働による健康障害防止のための総合対策について」

 

  

実際のメンタルヘルス対策 「4つのケア」を整えましょう。

 

実際のメンタルヘルス対策として、「4つのケア」を整えましょう。

 

1.       労働者個人によるセルフケア

 

2.       管理監督者による、ラインによるケア

 

3.       事業場産業保健スタッフ等によるケア

 

4.       事業産業保健スタッフ(事業外業者)によるケア

 

 

具体的には、

 

 

1.   労働者個人によるセルフケア

 

         労働者自身が、自ら自らの心の健康のために行う対策です。

 

         その内容は、ストレスへの気づき、ストレスへの対処自発的な相談などです。

 

         実践方法としては、知識の普及や周知のための社内広報(紙・HP)、健康保険組合の雑誌、講習会などがあります。

 

 

2.   管理監督者によるライン(職場)によるケア

 

         日常的に労働者と接する現場の管理監督者が行うケアです。

 

         その内容は、心身の不調をきたしている部下の把握と相談対応、職場復帰支援などです。

 

         メンタルヘルスケアの中で、重要な位置を占めています。

 

 

3.   事業場産業保健スタッフ等によるケア

 

         産業医、衛生管理者、衛生委員会なども含む事業者による、会社としてのケア(への取り組み)です。

 

         その内容は、近い問題に対処可能な具体的な計画、経営方針の一部としての中期的計画・予算化などです。

 

         最も重要なことは、事業者による明確な意思の表明=企業としてのコミットメントです。

 

 

4.   事業産業保健スタッフ(事業外業者)によるケア

 

         事業内で足りない部分に関しては、事業外資源の活用などについても決めておきましょう。

 

         その内容は、EAP機関などのアウトソーシングや場合により医療機関です。

 

         社内で対応できる範囲とアウトソーシングを使う範囲、関係者のプライバシーの問題などの周知が必要です。

 

 

いろいろあって、大変ですが、まずは、必要な時に必要なことができる社内体制を作りましょう。

 

 

あなたの会社の人事部、衛生委員会などで、産業医の先生と相談して下さい。

 

メンタルヘルス対策 会社の守備範囲を知りましょう。

 

メンタルヘルス対策として、いろいろなことが必要なことがわかってきました。

 

 

実際は、一部の大企業を除いて、メンタルヘルスケアの全てを事業場内のスタッフでまかなえる事業場はきわめてわずかです。

 

 

従って、事業場外資源といかによいネットワークを築き、活用できるかということが、メンタルヘルスケアにおいて重要なポイントのひとつです。

 

 

事業場外資源を有効に活用するためには、事業場外資源機関にコンタクトをとる前に3つするべきことがあります。

 

1.       事業場内でどのようなニーズがあり、何が必要なのか明確にすること。

 

2.       事業場外資源の役割や特徴を理解すること。

 

3.       どこまではできて、どこからができないかを知ること。

 

 

あなたの会社の人事部、衛生委員会などで、産業医の先生と相談して下さい。