産業医から小規模企業へ⑨-1 衛生推進者の選任の必要性

産業医からの質問:

 

 あなたの会社には、10 人以上の従業員がいますか?

 

 

産業医からの質問:

 

 あなたの会社は衛生推進者を選任していますか?

 

 

労働安全衛生法は、常時雇用する従業員(パート社員を含む)が10人以上いる会社の経営者に対して、「衛生推進者」を選任することを義務づけています(労働安全衛生法12条の2)。

 

「衛生推進者」とは、会社の中で健康診断の実施、その他の健康保持増進のための業務を担当する人です。

 

なお、製造業、建設業など(労働安全衛生法施行令21号、同2号の業種)では「安全衛生推進者」を選任する必要があります。

産業医から小規模企業へ⑨-2 衛生推進者の選任の方法

衛生推進者の選任方法について

 

①衛生推進者には、健康診断の実施事務やそれに基づく健康管理などの業務を担当する者を選任してください。

 

② 衛生推進者は、会社の従業員でなければなりませんが、他の仕事と兼務してかまいません。

 

③お近くに、「労働衛生コンサルタント」の事務所がある場合は、労働衛生コンサルタントを衛生推進者として選任することができます。

 

 

労働衛生コンサルタント」とは?

 

 会社からの依頼により、その会社の労働衛生水準の向上のため、衛生診断、改善指導などを行うコンサルタントです。(労働安全衛生法に基づく国家資格です。)

 

産業医から小規模企業へ⑩-1 健康診断結果への医師などからの意見聴取の必要性

産業医からの質問:

 

 あなたの会社は、健康診断で異常の所見があった従業員について、健康を保持するために必要な措置について、医師から意見を聴いていますか?

 

 

労働安全衛生法は、経営者に対して、健康診断で異常の所見があった従業員の健康保持のために必要な措置(就業上の配慮事項など)について医師から意見を聴取することを義務づけています(労働安全衛生法66条の4)。

 

従業員の健康を保持するためには、異常のあった健康診断結果を専門家である医師に見せて、どのような措置が必要なのか意見を述べてもらい、その意見を改善措置に反映することが大切です。

産業医から小規模企業へ⑩-2 健康診断結果への医師などからの意見聴取の方法

具体的な意見聴取の方法について

 

① 健康診断を近くの診療所などで実施した場合は、その診療所などの医師に、結果を見てもらい、意見を聴きましょう。

 

 この場合、できれば産業医に見ていただいた方がよいでしょう。

 

 

② 健康診断機関で受診させた場合は、近くの診療所などの医師(できれば産業医)から意見を聴くか、もよりの地域センターの窓口相談を利用して医師から意見を聴いてください。

 

 また、地域センターでは、個別訪問を行っていますので、必要に応じて地域センターと相談してみてください。

 

 

③ 健康診断機関に産業医がいる場合は、その産業医から意見を聴いてもかまいません。

 

 

医師への意見聴取は、健康診断実施日から3か月以内に実施しなければなりません

 

 また、医師の意見は、定められた様式である「健康診断個人票」に記入してもらわなければなりません。

 様式の内容などについては、医師に相談するか、もよりの地域センターまたは推進センターへお問い合わせください。

 

 

小規模企業にとってのベストな方法は、

 

近くの地域センターまたは推進センターを活用する!

 

がキーワードです。

 

マンパワーが限られている中、現在の従業員に、新たな分野の新たな仕事を、任せる前に、まず一度、専門家にご相談下さい。

 

産業医から小規模企業へ⑪-1 健康診断実施後の措置の必要性

産業医からの質問:

 

 あなたの会社は、健康診断で異常の所見があった者について、聴取した医師の意見を踏まえて、その従業員に対する就業上の措置や、作業環境の改善を実施していますか?

 

 

労働安全衛生法は、経営者に対して、健康診断で異常の所見があった従業員について、医師などから聴取した意見を勘案して就業上の措置や作業環境の改善を実施することを義務づけています(労働安全衛生法66条の5)。

 

なんらかの異常な所見のある従業員の健康を保持するためには、就業場所を変更したり、作業そのものを変更したり、設備などを改善したりする必要がある場合があります。

 

医師などの意見を踏まえて、適切な措置をとりましょう。

産業医から小規模企業へ⑪-2 健康診断実施後の措置の方法

具体的な措置の方法について

 

① 就業上の措置

異常の所見のあった従業員の健康を保持するためには、その従業員の実情に応じて、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業回数の減少などの措置が必要な場合があります。

医師の意見を踏まえて、適切な措置を講じましょう。

 

② 作業環境の改善

異常の所見のあった従業員の健康を保持するためには、作業環境測定を実施し、その結果に基づき、必要な場合は、設備の改修や、防音装置などの新たな設備の設置を行う必要があります。

 

具体的な設備などの改善の方法については、推進センターか、労働衛生コンサルタントに相談してください。

 

 

小規模企業にとってのベストな方法は、

 

近くの地域センターまたは推進センターを活用する!

がキーワードです。

 

マンパワーが限られている中、現在の従業員に、新たな分野の新たな仕事を、任せる前に、まず一度、専門家にご相談下さい。

産業医から小規模企業へ⑫-1 従業員からの意見聴取の機会の確保の必要性

産業医からの質問:

 

 あなたの会社は、労働衛生に関する事項について、従業員から意見を聴くための機会を設けていますか?

 

 

労働安全衛生法令は、経営者に対して、安全または衛生(従業員の健康の保持・増進)に関する事項について従業員の意見を聴く機会を設けることを義務づけています(労働安全衛生規則23条の2)。

 

従業員の健康の保持・増進を効果的に進めるためには、従業員の参加を求め、その理解と協力を得ることが重要です。

産業医から小規模企業へ⑫-2 従業員からの意見聴取の方法

具体的な意見聴取の方法について

 

①従業員の意見を聴取するための機会としては、

 

   安全衛生の委員会、

   職場の懇談会、従

   業員の常会などがあります。

 

 形にはとらわれず、従業員の意見をできるだけ広く集められるように努力してください。

 

 

②時期としては、

   従業員全員が集まりやすい適切な時期に実施してください。

 

 

 意見を聴取する内容としては、

 

   作業環境の改善、

   点検方法、

   作業方法、

   衛生教育の計画、

   健康診断とその事後措置など、

 

 従業員の健康の保持・増進に関わる事項です。

産業医から小規模企業へ⑬-1 従業員50人以下の小規模事業所の産業医の選任の必要性

産業医からの質問:

 

 あなたの会社は、産業医を選任していますか?

 

 

労働安全衛生法は、従業員数50 人以上の規模の会社の経営者に対して、産業医を選任して職場巡視などの業務を実施するための権限を与えることを義務づけています(労働安全衛生法13条)。

 

50人未満の会社でも、できれば産業医を選任することが望ましいでしょう

 

 

産業医は、健康診断などの健康管理、衛生教育などを行うとともに職場巡視なども行い、必要に応じて経営者に対して勧告や助言・指導を行うことのできる医師です。

 

従業員の健康確保のために、ぜひ産業医を選任しましょう。

 

産業医を選任することができない場合でも、もよりの地域センターで、登録産業医から産業保健サービスを受けることができます。

 

産業医の主な業務は、会社と従業員の健康管理、作業環境の管理、作業の管理、衛生教育などです。

最近は過重労働対策、メンタルヘルス対策、メタボリック健診対策なども産業医の仕事として重要です。