記事の一番下に、PDFのリンクがあります。あなたの会社の衛生委員会のネタ、議題として、ご活用下さい。
デング熱とは、どのような病気ですか?
デングウイルスが感染しておこる急性の熱性感染症で、病原体はフラビウイルス科フラビウイルス属に属するデングウイルスです。
どのような症状が出ますか?
発熱、頭痛、筋肉 痛や皮膚の発疹などが主な症状です。
突然の高熱で発症し、頭痛、眼(か)痛、顔面紅潮、結膜充血を伴い、発熱は2~7日間持続します(二峰性であることが多い)。初期症状に続き、全身の筋肉痛、骨関節痛、全身倦怠感を呈します。発症後3~4日後、胸部、体幹から始まる発疹が出現し、四肢、顔面に広がります。症状は1週間程度で回復します。
なお、ごくまれに一部の患者において、発熱2~7日後、血漿漏出に伴うショックと出血傾向を主な症状とする致死的病態が出現することがあります。
潜伏期間はどのくらいですか?
2~15 日(多くは3~7日)です。
検査はどのように行うのですか?
血液所見では、発症後数日で末梢血の血小板減少、白血球減少がみられます。
確定診断のための検査は、採血で、病原体や抗体、その遺伝子を検出することで行います。
どのようにして感染するのですか?
ウイルスに感染した患者を蚊が吸血すると、蚊の体内でウイルスが増殖し、 その蚊が他者を吸血することでウイルスが感染します(蚊媒介性)。
ヒトか らヒトに直接感染するような病気ではありません。また、感染しても発症し ないことも多くみられます。
感染を媒介する蚊は日本にもいますか?
主たる媒介蚊はネッタイシマカ(日本には常在していません)です。ただし、日本のほとんどの地域(青森県以南)でみられるヒトスジシマカも媒介できます。
すべての蚊がデングウイルスを保有している訳ではないので、蚊にさされ たことだけで過分に心配する必要はありません。
本病は、蚊を介しないヒトからヒトへの直接的な感染はありません。ただし、発熱中の患者が蚊に刺されることがないように指導することは必要です。(日本にいるヒトスジシマカでもウイルス血症期の患者を吸血すれば他者にウイルスを伝播する可能性があります)。
なお、ヒトスジシマカは、日中、屋外での活動性が高く、活動範囲は50~100メートル程度です。国内の活動時期は概ね5月中旬~10月下旬頃までです。
ヒトスジシマカの幼虫は、例えば、ベランダにある植木鉢の受け皿や空き缶・ペットボトルに溜まった水、放置されたブルーシートや古タイヤに溜まった水などによく発生します。人がよく刺されるのは、墓地、竹林の周辺、茂みのある公園や庭の木陰などとされています。
治療薬はありますか?
デングウイルスに対する特有の薬はありませんので、対症療法となります。
罹ると重い病気ですか?
デング熱の予後は比較的良好です。体内からウイルスが消失すると症状が消失します。しかし、希に患者の一部に出血症状を発症することがあり、その場合は適切な治療がなされないと、致死性の病気になります。
どのように予防すればよいですか?
蚊に刺されないように注意しましょう。長袖、長ズボンの着用が推奨されます。また蚊の忌避剤なども使用しましょう。
ヒトスジシマカやネッタイシマカは日中に活動し、ヤブや木陰などでよく刺されます。その時間帯に屋外で活動する場合は、長袖・長ズボンの着用に留意し、忌避剤の使用も推奨します。
予防接種はありますか?
デング熱に有効なワクチンはありません。
日本国内でデング熱に感染する可能性はあるのでしょうか?
日本にはデング熱の主たる媒介蚊のネッタイシマカは常在していませんが、媒介能力があるヒトスジシマカは日本のほとんどの地域(青森県以南)に生息しています。よって、仮に流行地でウイルスに感染した発症期の人(日本人帰国者ないしは外国人旅行者)が国内で蚊にさされ、その蚊がたまたま他者を吸血した場合に、感染する可能性は低いながらもあり得ます。ただし、仮にそのようなことが起きたとしても、その蚊は冬を越えて生息できず、また卵を介してウイルスが次世代の蚊に伝わることも報告されたことがないため、限定された場所での一過性の感染と考えられます。
感染症法上の取り扱いはどうなっていますか?
4類感染症に指定されており、医師が患者を診断した場合は、最寄りの保 健所に直ちに届出が必要です。
デング熱に関して、産業医のコメント
8月に代々木公園(付近も含む)にいったことがある人で、その後2週間以内に熱や頭痛が出た人は、
東京都デング熱専用電話 03-5320-4179
または、最寄りの保健所に連絡しましょう。
(東京都感染症情報センター idsc.tokyo-eiken.go.jp/diseases/dengue/)
デング熱20140902(PDF資料です。衛生委員会の議題としてご利用下さい)