産業医から小規模企業へ⑦-1 パート社員への健康診断の必要性

産業医からの質問:

 

 あなたの会社で、パート社員などの短時間従業員で、常時働いている人がいますか?

 

 

労働安全衛生法は、

 

経営者に対して、

 

パート社員などの短時間しか働かない従業員でも、

 

正規従業員の4分の3以上働く人には、

 

一般定期健康診断を受診させることを義務づけています(労働安全衛生法66条1項)。

 

 

これは、パート社員という名前ではあっても実質的に正規従業員とほとんど変わらない時間働くのであれば、正規従業員と同じレベルの健康管理をする必要があるからです。

 

パート社員に対して、一般定期健康診断を実施しない経営者は、処罰されることがあります。

 

産業医から小規模企業へ⑧-1 派遣社員への健康診断の必要性

産業医からの質問:

 

 あなたの会社には派遣社員がいますか?

 

 

派遣社員に関係する事項を規定している「労働者派遣法」という法律では、派遣会社(派遣元)に対して、派遣社員の一般定期健康診断を実施することを義務づけています。

 

ただし、有害業務に派遣社員をつかせている場合は、派遣社員の派遣を受けている会社(派遣先)の経営者に対して特殊健康診断実施が義務づけられています(労働者派遣法453項)。

 

産業医から小規模企業へ⑨-1 衛生推進者の選任の必要性

産業医からの質問:

 

 あなたの会社には、10 人以上の従業員がいますか?

 

 

産業医からの質問:

 

 あなたの会社は衛生推進者を選任していますか?

 

 

労働安全衛生法は、常時雇用する従業員(パート社員を含む)が10人以上いる会社の経営者に対して、「衛生推進者」を選任することを義務づけています(労働安全衛生法12条の2)。

 

「衛生推進者」とは、会社の中で健康診断の実施、その他の健康保持増進のための業務を担当する人です。

 

なお、製造業、建設業など(労働安全衛生法施行令21号、同2号の業種)では「安全衛生推進者」を選任する必要があります。

産業医から小規模企業へ⑨-2 衛生推進者の選任の方法

衛生推進者の選任方法について

 

①衛生推進者には、健康診断の実施事務やそれに基づく健康管理などの業務を担当する者を選任してください。

 

② 衛生推進者は、会社の従業員でなければなりませんが、他の仕事と兼務してかまいません。

 

③お近くに、「労働衛生コンサルタント」の事務所がある場合は、労働衛生コンサルタントを衛生推進者として選任することができます。

 

 

労働衛生コンサルタント」とは?

 

 会社からの依頼により、その会社の労働衛生水準の向上のため、衛生診断、改善指導などを行うコンサルタントです。(労働安全衛生法に基づく国家資格です。)

 

産業医から小規模企業へ⑩-1 健康診断結果への医師などからの意見聴取の必要性

産業医からの質問:

 

 あなたの会社は、健康診断で異常の所見があった従業員について、健康を保持するために必要な措置について、医師から意見を聴いていますか?

 

 

労働安全衛生法は、経営者に対して、健康診断で異常の所見があった従業員の健康保持のために必要な措置(就業上の配慮事項など)について医師から意見を聴取することを義務づけています(労働安全衛生法66条の4)。

 

従業員の健康を保持するためには、異常のあった健康診断結果を専門家である医師に見せて、どのような措置が必要なのか意見を述べてもらい、その意見を改善措置に反映することが大切です。

産業医から小規模企業へ⑩-2 健康診断結果への医師などからの意見聴取の方法

具体的な意見聴取の方法について

 

① 健康診断を近くの診療所などで実施した場合は、その診療所などの医師に、結果を見てもらい、意見を聴きましょう。

 

 この場合、できれば産業医に見ていただいた方がよいでしょう。

 

 

② 健康診断機関で受診させた場合は、近くの診療所などの医師(できれば産業医)から意見を聴くか、もよりの地域センターの窓口相談を利用して医師から意見を聴いてください。

 

 また、地域センターでは、個別訪問を行っていますので、必要に応じて地域センターと相談してみてください。

 

 

③ 健康診断機関に産業医がいる場合は、その産業医から意見を聴いてもかまいません。

 

 

医師への意見聴取は、健康診断実施日から3か月以内に実施しなければなりません

 

 また、医師の意見は、定められた様式である「健康診断個人票」に記入してもらわなければなりません。

 様式の内容などについては、医師に相談するか、もよりの地域センターまたは推進センターへお問い合わせください。

 

 

小規模企業にとってのベストな方法は、

 

近くの地域センターまたは推進センターを活用する!

 

がキーワードです。

 

マンパワーが限られている中、現在の従業員に、新たな分野の新たな仕事を、任せる前に、まず一度、専門家にご相談下さい。

 

産業医から小規模企業へ⑪-1 健康診断実施後の措置の必要性

産業医からの質問:

 

 あなたの会社は、健康診断で異常の所見があった者について、聴取した医師の意見を踏まえて、その従業員に対する就業上の措置や、作業環境の改善を実施していますか?

 

 

労働安全衛生法は、経営者に対して、健康診断で異常の所見があった従業員について、医師などから聴取した意見を勘案して就業上の措置や作業環境の改善を実施することを義務づけています(労働安全衛生法66条の5)。

 

なんらかの異常な所見のある従業員の健康を保持するためには、就業場所を変更したり、作業そのものを変更したり、設備などを改善したりする必要がある場合があります。

 

医師などの意見を踏まえて、適切な措置をとりましょう。

産業医から小規模企業へ⑪-2 健康診断実施後の措置の方法

具体的な措置の方法について

 

① 就業上の措置

異常の所見のあった従業員の健康を保持するためには、その従業員の実情に応じて、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業回数の減少などの措置が必要な場合があります。

医師の意見を踏まえて、適切な措置を講じましょう。

 

② 作業環境の改善

異常の所見のあった従業員の健康を保持するためには、作業環境測定を実施し、その結果に基づき、必要な場合は、設備の改修や、防音装置などの新たな設備の設置を行う必要があります。

 

具体的な設備などの改善の方法については、推進センターか、労働衛生コンサルタントに相談してください。

 

 

小規模企業にとってのベストな方法は、

 

近くの地域センターまたは推進センターを活用する!

がキーワードです。

 

マンパワーが限られている中、現在の従業員に、新たな分野の新たな仕事を、任せる前に、まず一度、専門家にご相談下さい。

産業医から小規模企業へ⑫-1 従業員からの意見聴取の機会の確保の必要性

産業医からの質問:

 

 あなたの会社は、労働衛生に関する事項について、従業員から意見を聴くための機会を設けていますか?

 

 

労働安全衛生法令は、経営者に対して、安全または衛生(従業員の健康の保持・増進)に関する事項について従業員の意見を聴く機会を設けることを義務づけています(労働安全衛生規則23条の2)。

 

従業員の健康の保持・増進を効果的に進めるためには、従業員の参加を求め、その理解と協力を得ることが重要です。