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「外資系エリート1万人をみてきた産業医が教えるメンタルが強い人の習慣」
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最後まで本書を読んでいただき、どうもありがとうございました。
私が産業医となった当初に驚いたことは、大企業でもないかぎり、
ほとんどの場合、産業医は企業に一人だけしかいないということです。
しかし、企業はその産業医(新米かベテランか問わず)に、多くのこと
を頼ります。一人しかいない産業医は、
誰にアドバイスを仰ぐこともできません。
自分がわからないことをその場でごまかす産業医もいれば、
調べてから返答する真面目な産業医もいます。
産業医を片手間の仕事とし、その場限りのごまかし対応をしている
産業医の技量は伸びることはありません。
そして昨今のように企業がより多くの社会的責任を求められる中で、
産業医の素質や教育も問題となってきています。
一方、真面目な産業医たちにおいては、
現場での経験を自分の糧として仕事をこなし、その蓄積が、
それぞれの産業医の〝スタンス〟(職業方針、ポリシー)として出来上がっていきます。
そして、この産業医のスタンスが、企業の持つ企業理念
(社員への価値観)と
合うことが、企業と産業医の相性だと思います。
私の産業医としてのスタンスは、
「産業医の役割は〝社員が元気に働けるか否か〟の判定と、
働ける者については最大限のパフォーマンスをあげられるよう
手伝うこと」です。
町のお医者さんは病気を治しますが、産業医の仕事は病気を治すことが
目的ではありません。
そのため、採血検査や薬の処方はしませんが、その代わり、
社員が働くことができるかの判断と、最大限のパフォーマンスを
あげるためのお手伝いをしています。
私は、実際にメンタルヘルス不調の兆しがあって産業医面談に
来られた人に対して、病的なレベルなのか
(医者にかかるべきか、休職すべきか)、
それとも単に不安やストレスを訴えているのかを見極めます。
ちゃんと眠れていない、いまのつらい状況がいつまで続くのか
わからない、休日も引きこもっている、会社で涙が出てしまう、
「わからない」という
受け答えが多いといった人は、時に医療機関を受診して治療や
休職の相談をすることを勧めます。
カウンセリングや専門家の受診を促したり、
休職者には復職のためのお手伝いも行っています。
そして、社員が元気に働き、それぞれが最大限のパフォーマンスを
あげられるように、クライアント企業とも職場環境に関する
打ち合わせ、相談を随時しています。
時には、社員と企業の間の調整役的な役割をすることもあります。
そのすべての根底にあるのは、社員各自のパフォーマンスを
最大限に発揮する場をつくることへの協力と献身です。
本書では、第1章から第6章まで様々な観点から、
職場のメンタルヘルスの問題と対処法を扱ってきました。
会社は組織であり、チームだからこそ大きな成果をあげることが
できます。その一方、人の集団であるからこそ、
様々な問題が噴出してしまう側面もあります。
「不安やストレスの感情をうまく処理できず、
落ち込み、病気になってしまった人」や、
「同僚のメンタル不調に気づいていながら、
救いの手を差し伸べることができなかったことを後悔している人」を、
あなたもきっと知っているはずです。
私は「10年後にこうなっていたらいいな」
という夢を4つ描いています。
日本で働く人の50~60%が何らかの悩み・不安・ストレスを
抱えているといわれていますが、
これが10年後には半分、つまり25%以下になること。
これが第1の夢です。
第2に、
年間の自殺者数が約2万人とされますが、
これも半分、つまり1万人未満になること。
第3に、
企業研修でメンタルヘルス研修をすると、どうしても
「暗くて辛気くさい」という印象をもたれがちですが、
そうではなくて、明るく楽しいメンタルヘルス研修が、
企業研修の定番になること。
そして第4に、
学校教育のなかで「不安とストレスに対処する」
ということが、総合学習や道徳などで
扱われるようになることです。
こうした夢に共感していただける方は、ぜひ、
一般社団法人日本ストレスチェック協会のホームページに
いらしてください。
最後になりますが、
本書の内容が、少しでも組織内のメンタルヘルス問題の改善の役に立ち、
そして、上司、部下、すべての構成員がそれぞれの本領を
最大限発揮することの一助となれば幸いです。
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「外資系エリート1万人をみてきた産業医が教えるメンタルが強い人の習慣」
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