産業医も気にかける最近の労働行政の取組み

 

最近の労働行政の取組み

 

 

199610      健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」を策定

 

1999年9       「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針について」

 

2000年8       「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」

 

2001年4       労働時間の適正な把握の為に使用者が講ずべき措置に関する基準」

 

2001年12     脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準」

 

2002年2       過重労働による健康障害防止の為の総合対策」

 

2003年5       「賃金不払い残業総合対策要領」「サービス残業解消対策指針」

 

2004年10     心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」

 

2006年3       過重労働による健康障害防止のための総合対策について

 

 

以上より、最近の監督署の取締り強化・是正勧告急増の背景が見えてきませんか?

産業医と労働安全衛生法と安全配慮義務

 

労働安全衛生管理とは、

 

「労働安全衛生法を守ること」=「社員が安全で健康に働けるような会社を作ること」 

 

です。

 

 

 

企業は、労働者が心も体も健康で安心して働ける職場環境を作り、

 

更に個性や能力を発揮できるような配慮を求められています。

 

これが企業に求められている「安全配慮義務」です。

 

 

 

労働衛生の三管理(①~③)

 

+ 安全衛生管理体制(④)

 

+ 安全衛生教育(⑤)が安全衛生の枝葉となります。

 

+ ⑥は特に最近の重点事項です。

 

 

     作業環境管理・・・働きやすい環境を作ること

 

作業環境測定/評価、作業環境の維持/改善、職場巡視/定期自主検査

 

 

     作業管・・・理安全・快適な作業方法に工夫すること

 

労働衛生保護具の種類 /使用上の留意点、職業性疾病の予防

 

 

     健康管理・・・健康診断を前提として健康管理をすること

 

各種健康診断の実施、健康診断後の措置、健康の保持増進、中高年齢者等への配慮

 

 

④労働衛生管理体制・・・即座に対応できる社内の体制作りをすること

 

労働安全衛生管理体制の確立、(産業医/各管理者の選任、安全・衛生委員会の設置)、労働衛生管理計画/書類整備、情報の適正管理・活用

 

 

     労働衛生教育・・・健康管理に対しての知識習得・実践をさせること

 

各種労働衛生教育(法定/行政指導/その他)、計画及び進行

 

 

     重要事項への対応

 

過重労働対策、メンタルヘルス対策、復職者の支援

 

産業医からみた(安全)衛生委員会とは?

 

 難しく考えずに、簡単にいきましょう。

 (安全)衛生委員会とは?

 「社内を、安全で健康的に、そして快適に働くことができるよう、PlanDoCheckするCommittee

 です。

 

毎月委員会を開催し、議事録を作成します。

 

議事録は社員へ開示すると共に、

 

5年間保存することが必要です。

 

産業医からみた企業のリスクマネジメント

 

社員が職務時間中に怪我をした場合や病気になった場合、その多くは会社/管理職の安全配慮義務違反であるともいえます。

 

 

会社の安全配慮義務違反探しは、いつも問題発生後、過去にさかのぼって行われ始めます。

 

  例) ケガ・病気の原因と仕事の関連性はないか?

 

  例) 会社はどんな対策(安全配慮義務)をしていたか?

 

 

場合によっては行政訴訟/民事訴訟へ発展する可能性もあり、慎重な対応が必要です。

 

 

 

最近の労災認定訴訟から・・・、

 

  労災の請求件数ばかりか、認定件数も増加しています。

 

   特に、精神疾患(メンタルヘルス)関係で著明な増加が認められています。

 

   発症から5年後の請求に対し、時効後に労災が認定されたcaseもあります。

 

    また、退職後の自殺が労災として認定されたcaseもあります。

 

つまり、企業は、より「求められている」ということです。

 

 

 

このような時代の中、企業のリスク対策としては、

 

1.   労働安全衛生法の遵守は、最低限のリスク管理と心得る必要があります。

 

2.   健康管理規定や就業規則の整備が必要です。

 

3.   議事録/面談記録など、全て書面に残すことも必要です。

 

4.   従業員(およびご家族)の満足度を向上させる努力も必要です。

 

 

 

特に、4については管理監督者が日々できる安全配慮です。

 

問題の環境・状況を放置したり、社員の不満が積み重なったりしないように配慮することも、安全配慮義務と言えます。

 

 

管理者が不満を聞き入れるだけでも、職場への不満の蓄積を低下させることがあります。

 

会社としてのコミットメントが有用な場合もあります。

 

 

 

このように考えてみると

 

管理職の安全配慮義務というものは、

 

経費や時間をかけたりと難しいものではなく、

 

日々の中で、

 

いかに部下の変化や問題点に気づいてあげられるか、

 

そしてその問題に対して親身に対応できるか、

 

ということだと気づくと思います。