産業医と職場巡視③ 職場巡視に関する個人的見解 

職場巡視に関する個人的な見解です。

産業医は、労働者の健康所具合の予防対策を行う上で、企業に対し、適切な助言・指導・勧告を行う必要があります。

このような対応を行うためには、
職場巡視を通じて職場の雰囲気、環境、作業の内容を理解していることが非常に重要
です。

職場巡視は、産業医活動の原点ともいえます。

 

また、職場巡視を行うことによって、
普段は見ることのない「産業医」の姿を労働者が見ることになり、
産業医の存在を知ること、
知り利用すること
に結びつくのではないかなとも思います。
 

企業側としても、
企業として労働者の安全衛生管理(健康対策)として、こういう活動もしているというアピールともなり、
ES(従業員満足度)の向上に一役使えるのではないかと思います。

 

デスクワークが中心となるオフィスなどでは、従来の工場等で行われていたような形式そのままでの職場巡視は「?」という印象があります。

 

従業員数の多くない支店(や工場)などでは、産業医が職場巡視にあわせて
その職場で健康相談やセミナーを行ったり、
職場ごとに健康診断結果をまとめて職場理者と健康問題を話し合う機会を作ったりして、
積極的に「現場」に足を運ぶことが、これからの産業医には必要かと思われます。


また、大企業の場合は、部署ごとに職場巡視を行い、そのときにその部署の責任者・人事担当者に同伴していただく事により、産業医が働く企業内でのネットワークの構築に役立てることなどの意識も大切でしょう。

オフィス職場での産業医活動の中心は、健康診断の事後措置(フォロー)、健康相談、メンタル相談、休職・復職者対応などの健康管理に使う時間が多いと思います。

しかしながら、繰り返しになりますが、職場巡視は、産業医活動の原点ともいえます。
 

できるだけ実際の現場(職場)に赴き、作業や作業環境を確認することは、労働務環境を知ることができ、産業医活動を行っていく上で大変役者の日常の勤立つと思います。

産業医も気にする従業員(労働者)が、健康管理やストレス解消のために、会社に期待すること

「健康管理やストレス解消のために会社に期待することがある」とする労働者の割合は68.8%[前回65.1%]となっています。

 

そのうち、期待する内容としては、

1.         「がん検診や人間ドックの受診費用の負担の軽減」(41.6%)、

2.         「休養施設・スポーツ施設の整備、利用の拡充」(33.4%)、

3.         「健康診断の結果に応じた健康指導の実施」(27.0%)、

4.         「施設整備等の職場環境の改善」(20.5%) の順となっています。

 

年齢が上になるほど、「健康診断の結果に応じた健康指導の実施」が高くなっており、

年齢が下になるほど、「休養施設・スポーツ施設の整備、利用の拡充」が高くなっています。

 

 

会社に期待することの内容別労働者割合

図5

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以上、20081010に厚生労働省より発表された「平成19年 労働者健康状況調査」を、産業医.com的に紹介させて頂きました。(詳しくはこのリンク先の報道発表資料でご覧ください。)

産業医も気にする従業員(労働者)の現在の持病の状況

医師から診断された持病が「ある」とする労働者の割合は31.4%[前回28.8%]となっています。

 

男女別にみると、男が33.8%、女が27.8%となっています。

 

持病がある労働者が挙げた具体的な持病の種類(複数回答)としては、

1.         「高血圧」(25.9%) が最も高く、

2.         「腰痛」(24.1%)、

3.         「高脂血症」(16.4%) の順となっています。

 

持病の種類別労働者割合

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以上、20081010に厚生労働省より発表された「平成19年 労働者健康状況調査」を、産業医.com的に紹介させて頂きました。(詳しくはこのリンク先の報道発表資料でご覧ください。)

産業医も納得。事業所の喫煙状況及び喫煙対策

喫煙対策に取り組んでいる事業所の割合は75.5%[前回59.1%]となっており、前回に比べて16.4ポイント上昇しています。

 

事業所規模別にみると、10~29人規模の事業所でも71.9%の事業所で取り組まれていますが、規模の大きい事業所ほどその割合が高く、100人以上のすべての規模で9割を超えています。

 

産業別にみると、

1.         「電気・ガス・熱供給・水道業」(97.2%)、が高く

2.         「金融・保険業」(96.3%)、

3.         「教育,学習支援業」(91.0%)、

4.         「複合サービス事業」(90.8%)、 の順となっています。

 

喫煙対策の取組内容としては、

1.         「喫煙コーナーを設け、それ以外は禁煙にしている」(50.2%)が最も高く、

2.         「喫煙室を設け、それ以外は禁煙にしている」(37.0%)、

3.         「会議、研修等の場所を禁煙にしている」(32.5%)の順となっています。

 

 

ちなみに、

「事業所全体を禁煙にしている」は24.4%、となっています。

 

以上、20081010に厚生労働省より発表された「平成19年 労働者健康状況調査」を、産業医.com的に紹介させて頂きました。(詳しくはこのリンク先の報道発表資料でご覧ください。)

 

産業医も納得。職場の喫煙と受動喫煙の状況

職場で「他の人のたばこの煙を吸入すること(受動喫煙)がある」とする労働者の割合は、65.0%[前回78.1%]となっており、前回に比べて13.1ポイント減少しています。

 

ü         「ほとんど毎日ある」(32.8%)、

ü         「ときどきある」(32.3%)、とのことです。

 

 

職場での喫煙に関して、

不快に感じること、体調が悪くなることの有無についてみると、「ある」と答えた労働者の割合は、30.7%[前回37.2%]となっており、前回と比べて6.5ポイント減少しています。

 

ü         「よくある」とする労働者の割合は8.3%、

ü         「たまにある」は22.4%、とのことです。

 

 

受動喫煙の有無別労働者割合

職場での喫煙に関しての不快感、体調が悪くなる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以上、20081010に厚生労働省より発表された「平成19年 労働者健康状況調査」を、産業医.com的に紹介させて頂きました。(詳しくはこのリンク先の報道発表資料でご覧ください。)

 

 

産業医も納得。労働者(従業員)が喫煙対策として望むこと

職場における喫煙対策として望むことがある労働者の割合は92.2%[前回90.7%]となっています。

 

労働者(従業員)が、対策として望む内容としては、

1.         「喫煙室又は喫煙コーナーを設け、それ以外を禁煙とすること」(54.1%)、 が最も高く、

2.         「喫煙室又は喫煙コーナーにたばこの煙を排気・除去する機器等を設置すること」(35.3%)、

3.         「事業所全体を禁煙とすること」(24.0%)、 の順となっています。

 

以上、20081010に厚生労働省より発表された「平成19年 労働者健康状況調査」を、産業医.com的に紹介させて頂きました。(詳しくはこのリンク先の報道発表資料でご覧ください。)

産業医も納得。事業所にとって、労働者の健康管理対策として重要な課題とは?

労働者の健康管理対策として、

重要な課題がある事業所の割合は98.4%[前回99.9%]となっています。

 

 

事業所側の具体的な課題としては、

1.         「定期健康診断の完全実施」(69.3%) が最も高く、

2.         「定期健康診断の事後措置」(47.3%)、

3.         「職場環境の整備」(30.2%)

4.         「心の健康に対する対策」(28.9%)

5.         「人間ドックの実施・充実」(27.8%) となっています。

 

 

図3労働者の健康管理対策の重要課題別事業所割合

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以上、20081010に厚生労働省より発表された「平成19年 労働者健康状況調査」を、産業医.com的に紹介させて頂きました。(詳しくはこのリンク先の報道発表資料でご覧ください。)

産業医.com版 安全衛生委員会の作り方

 

 産業医は決めました。

 

 では、どうやって、企業内の産業保健サービス(産業医システム)をやっていくのでしょう?

 

 その中心になるのが、安全/衛生委員会です。

 

 委員会を構成するメンバーの役割と選任方法について、ややこしいことは抜きにして、産業医.comバージョンとして簡単に説明します。

 

 詳しいことを知りたい人は、「安全衛生規則施行令9条」で以下内容を定めていますので、そちらをお調べ下さい。

 

 

安全/衛生委員会とは?

 

・労働者50人以上の事業場では衛生委員会を設置し、毎月1回以上、衛生に関する事項の調査審議等を行わなければならない、となっています。

 

 そして、議事事項で重要な物については記録(議事録)を作成し、3年間保存することになっています。

 

ちなみに、委員会の開催時間は労働時間ですので、衛生委員会が勤務時間外に行われたときは、メンバーの方はきちんと割り増し賃金を請求しましょう。

 

安全衛生委員会の作り方

 

 

 

 

 

 

 

 

 

衛生委員会のメンバー選びのポイントに続きます。

産業医.com版 安全衛生委員会の作り方 安全/衛生委員会のメンバーとは?

 

以下を参考に、いいメンバーを選任して下さい。

 

 

総括安全衛生管理者

 

         資格は必要ありませんが、実際的な責任者である労務・総務・人事部長、工場長や作業所長などが一般的です。

 

         統括安全衛生管理者は、委員会の決定事項等を会社の検討事項として、事業主に提言する役割を担います。

 

         以下人数の事業所・業種で選任が必要です。

          1.屋外産業的業種  :  常時100人以上

  2.屋内工業的業種  :  常時300人以上

  3.屋内非工業的業種 :  常時1000人以上

 

 

衛生管理者

 

         業種に関係無く、50人以上の労働者をしている事業場にて選任する必要があります。

 

         衛生管理者免許所持者等の有資格者である事が必要です。

 

         原則、専属ですが、2人以上の選任の場合には1人は衛生コンサルタントでもOKです。

 

         職務内容は、毎週1回以上の巡視と衛生、健康に係る異常を発見した場合に必要な措置を採る事などです。また、産業医との連絡役などを担うことも多く、実際の行動部隊隊長も衛生管理者であることが多いという印象です。

 

 

安全管理者

 

         総括安全衛生管理者の下、実際的な安全管理を行う有資格者です。

 

         作業場の巡視とそれに伴う具体的な措置などを行います。

 

         原則、事業場に専属の者ですが、複数の場合には1人のみは外部の労働安全コンサルタントでもOKです。

 

         危険物取り扱いなどなければ、安全管理者は不要です。

 

         以下人数の事業所・業種で選任が必要です。

   1.常時 300人以上 : 建設業、化学製造業

   2.常時 500人以上 : 無機化学、化学肥料、貨物運送、港湾運送業

   3.常時1000人以上 : 紙、パルプ、鉄鋼、造船業

   4.常時2000人以上 : その他屋外、又は屋内工業的業種などで労災休業101人以上/3年間の事業場

 

 

衛生委員

 

         事業者が指名しますが、その半分は労働者の代表から推薦された者から選ばなければならないとなっています。つまり、衛生委員は、労使半々の人数設定が必要です。

 

         委員メンバーは社員の代表として周囲の声を収集する役割が期待されています。人選にあたっては、社内の部署を偏らないように選ぶことが大切だと思います。人事・総務・法務・広報部などより選任されることが多いですが、議事録を作成する者が多くの場合ここに含まれている印象です。

 

         月に1回産業医を顔を会わすわけですから、社内の一番ストレスの多い部署の(上の)者を選任するのも有効です。

 

注意!

事業者 全てのメンバーを選任しますが、自らはメンバーになれません。

 

産業医からみた労働安全衛生法の歴史的背景

 

労働安全衛生法は、1972年に初めて制定されました。

 

その目的は、労働者の安全と健康の確保、および、快適職場環境の形成でした。

 

 

当時は、主に建設業や有機溶剤を扱うような危険作業が伴う業種を対象に考えられ、

 

事業者に対して「業務に直接起因する健康障害」の防止を課した内容でした。

 

 

その結果、産業構造上の変化と作業環境管理の強化により、

 

1980年代になると物理的な有害要因「業務に直接起因する健康障害」は減少しました。

 

 

 

1990年代になると、

 

過重労働・時間外労働などの問題が浮上し「過労死」が新たな社会的問題として出現しました。

 

日本人は仕事に生き仕事に死ぬと、 “Karousi”は世界共通語となりました。

 

Oxford Dictionaryにも載っています。

 

 

この結果、

 

いわゆる「業務に直接起因するとは言えないが、業務と密接な関係を有する健康障害」がクローズアップされてきました。

 

 

1990年代後半頃から労働行政の取り組みが強化され、過去10年では、ほぼ1年ごとに対策の指針が改正されています。

 

 

過重労働をクローズアップし、脳疾患・心疾患・精神的疾防止のための総合対策が整備されるようになりました。