今日は、
【日本精神神経学会による、職場のメンタルヘルスチェックに関する意見表明】
という話をさせていただきます。
やるのかやらないのか、ここ数年揺れ動いているいわゆる職場のメンタルヘルス健診(労働安全衛生法の変更)について、平成25年9月25日にあった厚生労働省の会議で、日本精神神経学会の理事が、ちょっとした意見を述べました。
今日はこの内容を簡単に解説し、産業医武神の意見を述べさせていただきます。
日本精神神経学会の意見は大きく分けて5つです。
私なりに要約すると以下となります。
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1. 会社がストレスチェック9項目検査を従業員に受けさせたからといって、メンタル疾患の早期発見につながるかのエビデンスがない。十分な対策を整えましょう。
2. 結果を従業員に直接送る=会社には送らないことは、プライバシーへの配慮からは必要だが、結局は、従業員個人の責任任せになってしまう。労働者に必要な受診を促すために啓発などの対策を講じる必要がある。
3. 希望した従業員に対して、医師による面接を提供することを会社に義務とするには、精神科診断やストレス対処法に精通した産業医の育成が必要で、緊急の重要課題である。
4. 3の結果、会社側は必要な就業上の措置をとらないといけないことについて、精神科と産業医、それぞれが、職場と精神医学にもっと見識を持つべきである。
5. 非正規労働者や産業医のいない小規模企業はどうするの?
以上のことの根拠として、
1.精神症状と身体症状は分けられないから、身体の検査(従来の定期健康診断)と、心の検査(新しいメンタルヘルス検診)をわけるのは無理がある。
2.裁判では、産業医が知り得た情報は、会社側が取得した情報として取り扱われるので、産業医がストレスチェックの結果を事業者に報告できないのであれば産業医活動は実施できない。
3.現時点でいろいろな労働者の健康に関する制度があり、複雑である。
4.職場でストレスアンケートしたって、従業員が本当のことを書かない可能性がある。
などをあげています。
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以下、産業医武神の感想です、
日本精神神経学会の意見にはごもっともなものもあります。
しかし、日本精神神経学会は、意見表明だけではなく、具体的なプランを示すべきです。
ケチつけるなら、対策も述べよ、って思います。
今まで自分たちがやってこなかった、できてこなかったから、こうなってしまったんでしょ。
厚生労働省のメンタルヘルス検診は、その内容の是非はともかく、
何かアクションを起こそうとしている厚生労働省の方々に、私は、好感を持ちます。
メンタルヘルス検診に問題があれば、実施することによりそれが顕在化します。
そうすれば、それが、もっと改善につながるはずです。
文句(ではない部分もありますが)ばかり言っている人よりは、行動する人の方が私は、好きですね。
むしろ、日本精神神経学会からは、このメンタルヘルスチェック検診に対して、産業医というシステムをどうするべき、精神科医たちはどのように対応、適応していこうというような、具体的な提言をもっと聞きたかったです。
そもそも、身体の健康の病気だって、最終的には個々人が、会社にいわないとわからないものもたくさんあります。
また、病気のことを言い出さない従業員までを、全員、面倒みなくては、というスタンスはなりたちません。
会社側は、従業員から信頼される産業医をみつければいいだけです。
会社にとっては、産業医が知り得た従業員の情報を、プライベートへの配慮を保ちながらも、必要事項を伝えてくれる理解(技術、マインド)のある産業医がますます必要と思います。
■参考リンクはこちら■
メンタルヘルス検診の基本的なことは、
この動画で説明しています。
以上、ぜひ、あなたの心と体の健康管理にも、ご活用いただけると幸いです。
コメント、ご質問等、お待ちしております。
■http://bit.ly/jw17lT■
全てしっかり、読ませていただいております。ご質問には、真剣にお答えさせていただきます。