ノキア日本法人社員の過労死認定=「24時間体制の勤務過重」から学ぶ

いつもありがとうございます。

産業医の武神です。


今回は、

【最近の労災・過労死事情②】

という内容のお話しをさせて頂きます。

あなたの会社の労働安全衛生管理・産業医活動のヒントになれば幸いです。



先月ニュースになった2つの過労死(労災)事例と個人的見解を紹介させていただきます。
(詳しくは各リンクをご参照ください)


事例1:http://bit.ly/rNKQ8G 
(産業医.comリンク:http://bit.ly/uStRsd)

 ノキア日本法人 56歳男性社員 2005年にくも膜下出血で死亡
 妻が国に労災認定を求めた訴訟

 「24時間、携帯の電源をオンにする勤務体制を求められていた」

 「男性の死亡前1~6カ月の時間外労働が1カ月当たり約63~81時間だった」

 「休暇中や就寝中を含め、顧客からの通信障害などの連絡に24時間いつでも対応しなければならない不規則な状態に置かれた」

  量的にも質的にも過重な勤務だったとして、業務起因性を認めた。



事例について、産業医的個人的見解
 
 ・会社支給のブラックベリーや携帯を渡され、このような勤務体系はまれではない。

 ・死亡前1~6カ月の時間外労働が1カ月当たり約63~81時間で、労災になってしまうのかと、疑問をもつ人も多い。

 ・起こってしまったことは、取り消すことは出来ません。悲しいことです。

 


会社(人事?)がいくらリスクマネジメントをしても、

起こってしまう悲劇もあります。

しかし、その不幸をどのように解釈すべきか?

そこからの「学び」は何か?

組織として、今後はどのような対策をしていけばいいのか?

(大きな問題にしないためにはどうすればいいのか?)


今後も起こってしまう可能性のあることに対して、

業務との妥協点を探り、

如何にしてリスクマネジメントを推進していくのか。

それが大切かと思われた事例でした。



以上、

あなたの会社の労働安全衛生管理・産業医活動のヒントになれば幸いです。
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リスクマネジメントとしての労働安全衛生管理についてのご相談は、drtakegami.comへ。
御社のさらされているリスク、すぐに実践できるノウハウ等、多くの事例が集まっています。
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東京キリンビバレッジサービス23歳過労死:自殺の男性社員を労災認定から学ぶ

いつもありがとうございます。

産業医の武神です。


今回は、

【最近の労災・過労死事情①】

という内容のお話しをさせて頂きます。

あなたの会社の労働安全衛生管理・産業医活動のヒントになれば幸いです。



先月ニュースになった2つの過労死(労災)事例と個人的見解を紹介させていただきます。
(詳しくは各リンクをご参照ください)



事例1:http://bit.ly/txOzXG  
(産業医.comリンク:http://bit.ly/vE5844)
 東京キリンビバレッジサービス 23歳男性社員 2010年自殺
 品川労働基準監督署が過労によるとして労災認定

 清涼飲料の自動販売機の管理で長時間労働
 亡くなる5分前、姉(26)の携帯電話にメールで「仕事がつらい。父さん母さんをよろしく」などと書き送っていた
 「半年間で男性の毎月の時間外労働は平均81時間、最長で92時間だった」
 「亡くなった月は季節の変わり目で商品を入れ替える繁忙期に当たり、時間外労働は13日間で63時間と、月120時間を超えるペースだった」
 「1日15時間労働、3時間睡眠が続き、男性は精神疾患にかかった」
 と認定

 (追加)葬儀の時、参列した社の幹部から「他の社員も同じくらい働き、特別につらい仕事はさせていない」などと言われ、労災認定後も謝罪はないと・・・




事例について、産業医的個人的見解
 ・この会社の幹部は、「安全配慮義務」を理解していない。

 ・平均的な社員にとって安全、普通の人は大丈夫、というレベルの配慮をすることを安全配慮義務とはいいません。

 ・安全配慮義務とは、【個々】【それぞれの人】にとって、それが安全か?、という配慮をいいます。

 ・ですので、「他の社員も同じようにやっているのだから・・・」といういいわけは通用しないわけです。

 ・そもそも、葬式の時にこれが言う言葉か?という基本的な疑問を感じてしまうのは私だけでしょうか?

 ・(おそらくこの事例は、労災で終わらず、会社相手の訴訟に発展すると思われます)



会社(人事?)がいくらリスクマネジメントをしても、

それを理解していない1人の人間の言動により、

より大きな問題へと発展していく典型かと思われます。


長時間労働を解決することが大切なのは、いうまでもありませんが、

如何にして、リスクマネジメントを現場に浸透させていくか。

それが大切かと思われた事例でした。



以上、

あなたの会社の労働安全衛生管理・産業医活動のヒントになれば幸いです。
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このような事例をおこさないための、現場まで浸透するリスクマネジメントとしての労働安全衛生管理についてのご相談は、drtakegami.comへ。
御社のさらされているリスク、すぐに実践できるノウハウ等、多くの事例が集まっています。
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労働安全衛生対策をより一層強化します

いつもありがとうございます。

産業医の武神です。


今回は、

【労働安全衛生対策をより一層強化します】

という内容のお話しをさせて頂きます。

あなたの会社の労働安全衛生管理・産業医活動のヒントになれば幸いです。


なお、メルマガの後半に、ポイントの概要スライドへのリンクを載せています。ご活用ください!



平成23年10月24日(月)のニュースです。

【労働安全衛生対策をより一層強化します】

厚生労働省としては、以下ポイントの法律案を作成し、臨時国会提出への準備を進めるとのことです。



【ポイント】

○メンタルヘルス対策の充実・強化

・医師又は保健師による労働者の精神的健康の状況を把握するための検査を行うことを事業者に義務づけます。

・検査の結果は、検査を行った医師又は保健師から労働者に直接通知されます。医師又は保健師は労働者の同意を得ずに検査結果を事業者に提供することはできません。

・検査結果を通知された労働者が面接指導を申し出たときは、事業者は医師による面接指導を実施しなければなりません。なお、面接指導の申出をしたことを理由に労働者に不利益な取扱をすることはできません。

・事業者は、面接指導の結果、医師の意見を聴き、必要な場合には、作業の転換、労働時間の短縮など、適切な就業上の措置をしなければなりません。


○型式検定及び譲渡の制限の対象となる器具の追加

・特に粉じん濃度が高くなる作業をする労働者に使用が義務づけられている「電動ファン付き呼吸用保護具」を、型式検定及び譲渡の制限の対象に追加します。


○受動喫煙防止対策の充実・強化

・受動喫煙防止のため、職場の全面禁煙、空間分煙を事業者に義務づけます。

・ただし、当面の間は、飲食店や措置が困難な職場については、受動喫煙の程度を抑えるために一定の濃度又は換気の基準を守ることを義務づけます。


【ポイントの概要スライドはこちら】
【関連リンクはこちら】

以上、

あなたの会社の労働安全衛生管理・産業医活動のヒントになれば幸いです。

ノキア日本法人社員の過労死認定=「24時間体制の勤務過重」―大阪地裁

ノキア日本法人社員の過労死認定=「24時間体制の勤務過重」―大阪地裁

 2011年10月26日19時16分
提供:時事通信社
 携帯電話機メーカーの日本法人ノキア・ジャパン(東京)の大阪事務所長で、2005年にくも膜下出血で死亡した男性=当時(56)=の妻が国に労災認定を求めた訴訟で、大阪地裁の中村哲裁判長は26日、「24時間、携帯の電源をオンにする勤務体制を求められていた」などとして過労死と認め、遺族補償年金などの不支給処分を取り消した。
 中村裁判長は、男性の死亡前1~6カ月の時間外労働が1カ月当たり約63~81時間だったと認定。「休暇中や就寝中を含め、顧客からの通信障害などの連絡に24時間いつでも対応しなければならない不規則な状態に置かれた」と指摘し、量的にも質的にも過重な勤務だったとして、業務起因性を認めた。

東京キリンビバレッジサービス23歳過労死:自殺の男性社員を労災認定

毎日新聞 2011年10月31日 20時21分

飲料大手キリンビバレッジの子会社「東京キリンビバレッジサービス」(東京都千代田区)の男性社員(当時23歳)が昨年4月に自殺し、品川労働基準監督署が過労によるとして労災認定していたことが分かった。男性は清涼飲料の自動販売機の管理で長時間労働を強いられ、亡くなる5分前、姉(26)の携帯電話にメールで「仕事がつらい。父さん母さんをよろしく」などと書き送っていた。認定は10月5日付。

 会見した遺族や弁護士によると、男性は高校を出て05年4月に入社し、10年3月に品川区の営業所に移って担当エリアが拡大。自販機約80台を1人で担当し業務用車両で巡回して商品の補充や交換、売上金の回収などを行っていた。同年4月13日夕、勤務中に会社の屋上から飛び降りた。

 品川労基署は、09年10月~10年3月の半年間で男性の毎月の時間外労働は平均81時間、最長で92時間だったと認定。亡くなった4月は季節の変わり目で商品を入れ替える繁忙期に当たり、時間外労働は13日間で63時間と、月120時間を超えるペースだった。1日15時間労働、3時間睡眠が続き、男性は精神疾患にかかった。

 同居していた母(62)は「まじめに働く子で、毎日おにぎりを持たせて送り出した。運転中に食べていたようだが、残すこともあり『食べる余裕もない』と言っていた」と涙を浮かべて振り返った。父(64)によると、葬儀の時、参列した社の幹部から「他の社員も同じくらい働き、特別につらい仕事はさせていない」などと言われ、労災認定後も謝罪はないという。

 代理人の増田崇弁護士らは「同社は男性の職種を『セールスマン』と呼び、残業代をほとんど払わず、売り上げに応じた販売コミッション(手数料)を与えている。男性の月給は手取り20万円を切ることもあった。若者を使い捨てにする異様な勤務、給与実態だ」と批判。同社総務部は「現時点でコメントできない」としている。