大規模災害等発生後のPTSDの予防と対策

《大規模災害等発生後のPTSDの予防と対策》 
www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/002/003/010/005.htm

【目的】

社内での大規模な事故や地震等の災害あるいは自殺者(以下、大規模災害等とい
う)発生時には、
被災したものや自殺したもの(以下、被災者という)だけでなく、同僚や救出に
あたったもの及び関係
者へ精神的な影響を与えることが少なくない。本ガイドラインは、それらの者へ
の精神面への影響を
考慮した対応を行なうことを目的とする。

【適応範囲】

大規模災害等が発生し、被災者が重篤な身体症状または死亡に至った場合で、下
記対象者に精神
的な影響が認められるあるいは今後予想される場合とする。

・大規模災害等の被災者
・被災者の救出にあたったもの
・被災者の同僚・及び上司
・その他、被災者と関係のあったもの

【手順】

1.対応の時期

第一段階:大規模災害等が発生した場合、直後には、急性ストレス障害を起こす
ことがある為、
被災後5日以内に対応することが必要である。但し、被災後3日~7
日以内は高揚期
で心理的問題が見えにくいこともある為、7日~14日の間に再度
被災者の状態の確認を
行なう。

第二段階:被災後1~3ヶ月の亜急性期は、混乱が収束に向かう時期であるが、精
神保健上の問
題が顕著化してくる時期であり、対応が必要となる。

第三段階:被災後3ヶ月以降の慢性期は、被災者の身体的回復に伴う精神保健上の
問題点や
PTSD等精神面での回復のずれによる問題点が出現する時期であ
る。また、死亡事故
では、記念日反応を起こすことにも留意する。


IES-R(改訂 出来事インパクト尺度)
www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/002/003/010/005.htm
2.対応方法

(第一段階)
・社内の産業保健スタッフは、大規模災害発生後、すみやかに現地に向かう。発
生現場で窓口となる
担当者(例:上司、関係者、人事部)を確認したうえ、説明を受けて、状況の
全容を把握する。

・産業保健スタッフは、関係者及び対象者からの情報を基に精神面への対応が必
要なものを特定し、
対象者及び被災者の管理職等に面談・心理検査・心理教育等の対応策を立案し
説明を行なう。なお、
必要に応じて、工場長や部長会で説明前に方法や内容について合意を得てお
く。説明の場で対象者
同士で話し合いを行わせることは極力さける。症状が悪化する危険性があるた
めである。なお、産業
保健スタッフが対象者となるかどうかについても検討し、対象者になる場合は
産業保健スタッフへの
ケアも十分に行う。

・できるだけ早期に対象者を集め、以下の説明を行う
-産業保健スタッフは対象者の体調について全面的にサポートを行う
-不安や罪悪感などの症状が出るのは自然なことである
-上記の症状は時間とともに徐々に改善してくる
-症状が続く場合はケアが必要となる
-ケアが必要かどうかを判断するために後日スクリーニングを行う
-相談があれば産業保健スタッフの担当者へ相談するようアドバイスする

・災害7-14日目に産業保健スタッフは、対象者に対して、IES-R (改訂 出来事
インパクト尺度 URL:
www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/002/003/010/005.htm)を実
施する。
判定結果25点以上をハイリスク者とする。ただし、25点未満であっても、総合
的にリスクが高いと判断
されるものに対しては、ハイリスク者と同様とする。また、25点未満のものに
対しても状況のフォローが
必要である。数日後に再実施すると25点以上となることがあるためである。

・産業保健スタッフは、IES-R25点以上のハイリスク者(25点未満でもその影響
を強く受けている者)に
対して、個別面談を実施して心理的症状を把握し、必要に応じて専門医を紹介
する。

・個別面談実施時に必要と思われる者に対して急性ストレス反応等についての心
理教育を行なう。

・自殺の場合、職場の上司等に対して、必要な対応や遺された課員・及び社内の
従業員に集団としてどの
ような反応が起きるかについて助言を行なうことが望ましい。

・産業保健スタッフは、抗不安薬、睡眠薬を準備し、症状が強い対象者について
短期間処方する。症状が
長期化する場合は専門機関へ紹介する。

(第二段階)
・被災後、1~3ヶ月以内の亜急性期は、災害等の混乱は次第に収束に向かう時期
であるが、この頃から
辛い記憶がよみがえったり、睡眠障害に悩まされ たり、些細な刺激におびえる
等のPTSD症状が現われ
る時期であるため、産業保健スタッフは、ハイリスク者に対して面談を行い必
要な対応をとる。

・身体外傷で入院・外来治療者を受けていた被災者の多くが、治療が終結し身体
的治療から開放される
時期であるが、同時に患者としての休息の保障を取り消され、職場復帰が可能
となることで精神保健上の
問題が顕在してくる時期であるため、産業保健スタッフは被災者に対して、精
神面での状況を確認し、
個々に応じて対応する。

・事故の場合、その規模によっては、警察・事故調査委員会からの取調べやマス
コミからの批判による二次
的な被害が起こりうる為、産業保健スタッフは、事故関係者に対して定期的に
面談を行い状態の把握に
努め、必要に応じて専門医の紹介等それぞれの状態に応じて対応する。

(第三段階)
・被災後3ヶ月以降は、順調に回復する被災者と、そうでない被災者との回復のず
れが表面化する。特に、
身体的後遺症がある場合、回復の希望を失い、抑うつ症状が現われることがあ
る。また、親しい同僚や
友人を失った場合、深刻な悲嘆反応が現れる場合があるため、産業保健スタッ
フは被災者及び関係者に
対して面談を行い、状況を把握に努め個々に対応する。また、被災者の精神保
健上の回復が遅れることに
より、周囲の焦りや苛立ちも増して、周囲の理解が得られなくなることもある
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