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【厚労省「がん・健康対策課」の新設検討からみえるもの】
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産業医からの質問:
あなたの会社は、労働時間の管理により、過重労働者の把握をしていますか?
過重労働者の把握は基本的事項です。
経営者は、
タイムカード、出勤簿などによる従業員の申告により、
毎月1回以上時間外・休日労働時間の算定を行わなければなりません
(労働安全衛生規則第52条の2)。
産業医からの質問:
あなたの会社は、時間外・休日労働時間が月100時間を超え、疲労の蓄積が認められる従業員に、医師による面接指導を実施していますか?
経営者は、
時間外・休日労働時間が月100時間を超え、
疲労の蓄積が認められる従業員に対し、
対象となる従業員からの申し出に基づき、
経営者は、脳・心疾患の発症を予防するため、長時間労働者への面接指導を実施しなければなりません。
そのような時は、かならず、医師による過重労働面接指導を実施しましょう(労働安全衛生法第66条の8)。
時間外・休日労働時間が月80 時間を超え、
疲労の蓄積が認められる従業員についても、
対象となる従業員からの申し出に基づき、
面接指導またはこれに準ずる措置の実施の努力義務が、小規模事業所にはあります。
また、長時間労働が疑われる従業員についても面接指導の努力義務が課せられています。
面接指導は、産業医か、産業医の要件を備えた医師が望ましいこととされています。
また、労働者が希望する医師、地域産業保健センターの医師による面接指導も可能です。
面接指導を行う医師に対して、労働時間、業務内容、定期健康診断結果等の情報を提供してください。
経営者は、面接指導の結果に基づき、
就業場所の変更、
作業の転換
労働時間の短縮
深夜業の回数の減少
等の措置を行わなければなりません(労働安全衛生法第66条の8)。
長時間労働者に対する医師による面接指導制度、
いわゆる過重労働対策を知っている事業所の割合は45.6%でした。
産業医.com管理人の正直な感想は、「えっ!」という驚きです。過重労働対策はもっと認知されているものだと思っていました・・・。
(一方、長時間労働者に対する医師による面接指導制度、いわゆる過重労働対策を知っている労働者の割合は21.7%となっています。)
その事業所規模の内訳を見てみると、
従業員50人以上の事業=産業医をおかなくはいけない企業においては、
50-99人企業で65%、
それ以上の規模の事業所においては8割以上なので、少し安心です。
実際に、過重労働対策面談(長時間労働者など健康への配慮が必要な者に対する面接指導等)を過去半年間に実施した事業所の割合は12.2%でした。
そのうち、実施内容(複数回答)としては、
1. 「特段の基準はないが、その他必要に応じて適宜面接指導等を実施した」が46.5%、
2. 「事業所で独自の基準を定め、基準に該当する労働者に対して医師による面接指導等を実施した」が24.0%、
3. 「時間外・休日労働が1か月当たり100時間を超え、申し出を行った労働者に対して医師による面接指導を実施した」が23.1%、でした。
過去半年間に実施した過重労働対策面談等の結果、事後措置を講じた事業所の割合は、面接指導等を実施した事業所のうち、80.9%でした。
事後措置の内容としては、
1. 「労働時間の短縮」(59.6%)、が最も多く、
2. 「深夜業の回数の減少」(16.1%)、
3. 「作業の転換」(9.5%)、
4. 「就業場所の変更」(6.4%)、でした。
以上、2008年10月10日に厚生労働省より発表された「平成19年 労働者健康状況調査」を、産業医.com的に紹介させて頂きました。(詳しくはこのリンク先の報道発表資料でご覧ください。)
長時間労働者に対する医師による面接指導制度、いわゆる過重労働対策を知っている労働者の割合は21.7%となっています。
(一方、長時間労働者に対する医師による面接指導制度、いわゆる過重労働対策を知っている事業所の割合は45.6%でした。)
産業医.com管理人の正直な感想は、少し驚きです。
過重労働対策は、会社側がリスクマネジメントとして取り込んでいるところが多いと思いますが、従業員は知らない人の方が圧倒的に多いのですね。
大きい事業所の労働者の方が過重労働対策を知っているようですが、全体として、77.2%の労働者が知らない・・・。啓蒙活動が望まれています・・・。
以上、2008年10月10日に厚生労働省より発表された「平成19年 労働者健康状況調査」を、産業医.com的に紹介させて頂きました。(詳しくはこのリンク先の報道発表資料でご覧ください。)
過去半年間に面接指導等を受けたことがある労働者の割合は6.3%となっています。
実際に、過重労働面談(面接指導)等において具体的に実施された内容は、
1. 「生活指導」(45.1%)、
2. 「栄養指導」(31.3%)、
3. 「ストレス蓄積状況の確認」(26.9%)、
4. 「疲労蓄積状況の確認」(26.6%)が高くなっています。
また、これらの労働者について過重労働面談(面接指導)等の後、何らかの改善措置が講じられた労働者の割合は40.0%となっています。
つまり、職場の従業員(労働者)の2.5%に、過重労働対策面談によりその処遇の改善処置がなされているということです。
改善措置が講じられた内容は、
1. 「労働時間の短縮」が27.7%、
2. 「作業の転換」が9.6%となっています。
以上、2008年10月10日に厚生労働省より発表された「平成19年 労働者健康状況調査」を、産業医.com的に紹介させて頂きました。(詳しくはこのリンク先の報道発表資料でご覧ください。)
なぜ過重労働対策が必要なのでしょうか?
過労死の背景には、高血圧・糖尿病・高脂血症といった生活習慣病と、うつなどの精神障害を認めることが多いです。
従来このような病気は、「従業員個人の私病」で「自己管理責任」であると考えられてきました。
しかし近年は、
「業務に直接起因しているとはいえないが、業務と密接な関係を有する健康障害」
=「過重な労働負荷」
により生じた健康障害であれば、「事業者にも」責任があるのではないかというように考えられるようになってきています。
業務に直接起因とは、例えば粉塵作業とじん肺、アスベスト被害。有機溶剤や鉛等の業務とその疾患などです。
業務と密接な関係を有する健康障害とは、
例えば、
残業時間が多い→(食生活が不規則)→生活習慣病になった、労働環境がよくない→(ストレス多い)→うつになった、などを意味します。
そのような具合で最近は、
法定の健康診断(つまり会社の健診)で把握できる作業関連疾病の管理(生活習慣病も含む)
にも事業者、更に管理監督者への責任が課せられるようになりました。
よって、会社は従業員の健康状態だけでなく、残業問題も把握する必要があります。
(ちなみに、管理職・裁量労働制であっても、労働時間管理が必要です。)
労災補償に際して、精神疾患の認定の基準は以下の3点と考えられます。
1. 精神障害を起こしていた事実
2. 発病前の半年間に仕事による強いストレス(心理的負荷)があった
強いストレスとは、
仕事の失敗、過重な責任の発生、仕事の量・質の変化(勤務の長時間化)、
身分の変化(退職の強要)等を指します。
3. 仕事以外のストレスや個人的事情で精神的障害を発病したとは思われない
例えば、離婚や別居。
ほかに配偶者や子どもの死といった出来事との関連性がないことなどです。