いつもありがとうございます。
産業医の武神です。
今回は、
【安全配慮義務違反で訴えられた上に、相手の弁護士費用も会社の負担!?】
という内容のお話しをさせて頂きます。
あなたの会社の労働安全衛生管理・産業医活動のヒントになれば幸いです。
まずは、判例の背景を
最判平成24年2月24日
チタンのプレス機を操作していた原告が、指を切断するという事故にあった。
これは、使用者である被告が、「プレス機に安全装置を設けて作業者の手がプレス板に挟まれる事故を確実に回避する措置を採るべき義務及び本件プレス機を使用する際の具体的な注意」を作業者にするべき義務を怠ったという、いわゆる安全配慮義務違反により生じた事故だとして、使用者に対して労働契約の不完全履行を理由とする損害賠償を請求し、その損害に弁護士費用530万円も含めた総額5900万円余りを請求した。
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労働者が使用者の安全配慮義務違反を理由に債務不履行に基づく損害賠償を請求するため訴訟追行を弁護士に委任した場合、相当額の範囲内の弁護士費用は上記安全配慮義務違反と相当因果関係に立つ損害というべきである。
一般的に、
労災や医療ミスのように、
訴訟の相手が大企業や病院という訴訟の場合、
まずは、不法行為よりも契約違反(債務不履行)で訴えた方が,
被害者にとって有利な場合が多いと考えられています。
その理由は、
安全配慮義務違反は、
債務不履行(契約違反)に基づく損害賠償であり、
契約違反(債務不履行)で訴えると,
【契約違反をした相手側(訴えられた方=会社側)が契約に違反していない旨を証明】できないと、
相手方(会社側)が負ける。
となっているからです。
ただし、【弁護士費用は訴えた人の負担】であり、
これが、ネックになっていました。
(訴える人の多くは、経済的弱者であることが多い)
一方、交通事故や犯罪の訴訟の場合は、
不法行為に基づく損害賠償請求訴訟であり、
【訴えた側(被害者)が,加害者の不法行為の存在の多くを証明】しなければ敗訴する。
となっています。
そして、
これは、従来から、【弁護士費用も損害額の計算に入れていい】とされてきました。
上記の最高裁の判例では、
弁護士費用も、(時と場合によりけり)
損害額の計算に入れていい
つまり、違反者が負担!?と解釈できる内容となっています。
詳しくは、あなたの会社の弁護士の先生にご相談下さい。
以上、
あなたの会社の労働安全衛生管理・産業医活動のヒントになれば幸いです。