産業医候補者である医師の現状

 

2006年現在、日本の医師数は約26万人。産業医の有資格者数は、約7万人超となっています。

 

およそ4人に1人の医師が、産業医の資格をもっていることになります。

 

 

ほとんどの医師は「臨床医」で、実際に病気の患者さんを診る仕事をしています。

 

医療機関(病院・診療所)で常勤医として働くかたわら、週1回の研修日(研究日)を持ち、自分の技術習得や他の医療機関でのアルバイトをしています。

 

もしくは、クリニックの院長自身が健診請け負い企業の産業医をかけもっていることも多いです。

 

 

現在の多くの嘱託産業医は、このようなお医者さん達で、週1回の研修日(研究日)に産業医として企業のために働いています。

 

(多くの専属産業医はその企業の常勤であることが多いですが、週1回の研修日(研究日)に臨床医として医療機関(病院・診療所)で働いています。)

 

 

 

現状として、そのような産業医は、企業の産業医が専門なのではなく、専門はあくまで所属する医療機関での医療です。

 

 

その結果、訪問時以外の対応が不可のこともあります。

 

急変患者の対応により訪問が突然延期または中止になることもあります。

 

また、その医師のキャリア形成はあくまで主である臨床医が基準ですので、転勤・移動もあります。

 

専門はあくまで所属する医療機関での医療なので、しょうがないのかもしれません。

 

しかし、そのようなところに、企業内産業保健サービスを積極的に考えている企業のジレンマがあるような気がします。

産業医の選任にあたって①

個人的な見解ですが、あなたの会社の企業内産業保健サービスに、産業医活動にどうぞお役立て下さい。

 

 

近年、産業医資格を持つ医師は増えております。

 

産業医の需要も高まるばかりですが、本当に個々の企業の求めるリスク管理レベルの産業医活動を行える産業医は多くはありません。

 

既に企業内産業保健サービス(産業医システム)が出来上がっている企業での産業医業務に従事している医師がほとんどだと思いますが、名ばかりの産業医(とそれでよしとしている企業)も少なくありません。

 

企業内産業保健サービスの中には、法律で定められた安全衛生管理委員会やメンタルヘルス・過重労働対策などいくつかの重要な決まりごともあります。

 

しかしながら、企業内産業保健サービスの実際の運営方法に決まったものはなく、各々の企業スタイルにあわせての個別の対応が、企業経営側にも受け入れられやすいのではないかと思います。

 

 

近年の数々の法改正、刻々と変化する社会情勢、めまぐるしく変わる労働者の労働状況・・・

定期健診やメタボリック健診のみならず、メンタルヘルスから過重労働対策、安全配慮義務・・・

企業に求められる社会的責任(CSR)やリスクマネジメントは増加の一途を辿っています。

 

 

このような時代には、従来の「産業医一人におまかせ」式や「健診先医療機関丸投げ」式の企業内産業保健サービスでは、今後の多様化するニーズへの対応には限界があると感じます。

 

単なる登録だけの産業医、決められたルーチーンワークだけをこなすだけの産業医では、対応が遅れてしまいます。

 

一方、企業側にも、「企業内産業保健サービス」、「企業の安全配慮義務」、「労働安全衛生法」などの取り扱いがはっきりしていないなどの問題がないわけではありません・・・(つづく)

 

 

産業医の選任にあたって②

(つづき)

産業医を探し始める前に、「自分の会社のスタンスは何か?」、一度あなたの会社内でご相談いただけるといいと思います。

 

求めているのは、本当に産業医なのか?健康管理アウトソーシング会社なのか?EAP機関の活用は?

 

 

そして、産業医の選任にあたっては、

 

まずは、あなたの会社が、

 

「なぜ」、

 

「何のために」、

 

「どのような」産業医を、

 

「どれくらいの頻度で」

 

必要としているのかをはっきりさせることが大切です。

 

 

産業保健は極めて実践的な分野であり、それぞれの専門職種がそれぞれの専門性を最大限活かして参加するチームとして機能した時、社会的寄与は最大になることが期待されます。

 

 

企業と産業医と労働衛生管理活動サポート企業(EAP、労働衛生専門家、健康管理アウトソーシングetc.)、のなかでバランスをとって、コミュニケーションができる産業医が必要です。

 

 

加えて、従業員の横に立ちつつも、企業のよりよいパーフォーマンスのために、経営陣の方々のお手伝いさせていただくというスタンスが、求められます。

 

いわゆる「お医者様」型の産業医よりも、フットワークの軽い、明るく笑顔の産業医のイメージです。

いい産業医をお探しの企業の担当者は、選任前にぜひ管理人へご相談下さい。

産業医の選任にあたって③所轄の労働基準監督署長への届出

 

事業者は、常時50人以上の労働者を使用するに至った時から14日以内に産業医を選任する必要があります。

 

また、産業医を選任した際は遅滞なく所轄の労働基準監督署長に届け出る義務があります(安衛法第13条、安衛令第5条、安衛則第13条第1項・2項)。

 

産業医に欠員が出た場合も同じく14日以内に選任し遅滞無く所轄労働基準監督署長に届け出なければなりません(安衛則様式第3号による届出)。

 

 

 「選任」して終わりではありません。所轄の労働基準監督署長への届出まで必要です。

いい産業医とは?

 

いい産業医は、必ず、現場(会社)に行きます。

 

現状について時間をかけて話に耳を傾け、最適な具体案を提案していきます。

 

 

いい産業医は、従業員の面談においても、何でも相談できる雰囲気を心がけます。

 

 プライバシーに関わることも多いですので、秘密厳守はいうまでもありません。

 

 

いい産業医は、会社との相談事においても、経営者の立場を理解しようと心がけます。

 

 多少、経営者には耳の痛いことも言うこともありますが、その会社を理解することに勤めているはずです。

 

そして、何よりも、

いい産業医は、「コミュニケーション」が上手な産業医だと思います。

 

 

 

企業内産業保健サービス(企業の健康管理)に関する問題は、表面に見える状況は似ているようでも、ひとつひとつ原因が異なります。

 

ある程度のマニュアル的なものはありますが、それでは根本的な解決には至りません。

 

決して一言で簡単に言えるほど、単純なものではないのです。

 

 

そもそも普段は病人を診察していることが多い街の開業医の先生や病院の先生たちと、企業内で会社のリスクマネジメントの立場からいろいろな活動をする産業医とでは根本的な違いがあります

 

 

産業医の取り扱う業務が多様化する中で、産業医一人に全てを任せるのではなく、企業の衛生管理者やアウトソーシング機関等との連携による業務が最近増えてきています。

 

さらには今後、複数の専門分野の異なる産業医が事業場の衛生管理等を行うことが、より効果的であるケースもあると考えらます。

 

こうした「チームワーク」を理解し育てられる産業医は、いい産業医だと思います。

 

産業医の報酬について

気になる産業医の報酬は・・・?

下記の目安をご参照下さい。

実際は、名義貸しや社員の定期健診提携先医療機関による掛け持ちの場合はもっと安くなっていると思います。

  衛生委員会の参加資料の作成や、積極的に会社の従業員の健康管理に参加を心がけている先生などはもう少し高めの印象です。(そういった先生は口コミでしか探せないことが多いです。)

安くてもいい産業医もいます。

しかし、安かろう、悪かろう・・・。世の常です。

(もちろん、高くても悪い産業医もいます。)

 

産業医報酬一覧

 














貴社の産業医の適正(相場)価格は?

実際にどのように選任するのか?

二人目の産業医が必要か?どのような産業医か?

等、サイトで扱われていなことなど、どんな些細なことでも結構です。

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なぜ過重労働対策が必要か?


 なぜ過重労働対策が必要なのでしょうか?


 
いうまでもなく、会社は従業員の健康状態を把握する必要があります。

  過労死の背景には、高血圧・糖尿病・高脂血症といった生活習慣病と、うつなどの精神障害を認めることが多いです。

 

従来このような病気は、「従業員個人の私病」で「自己管理責任」であると考えられてきました。

 

 

しかし近年は、

 

「業務に直接起因しているとはいえないが、業務と密接な関係を有する健康障害」

 

  =「過重な労働負荷

 

 により生じた健康障害であれば、「事業者にも」責任があるのではないかというように考えられるようになってきています。

 

 

業務に直接起因とは、例えば粉塵作業とじん肺、アスベスト被害。有機溶剤や鉛等の業務とその疾患などです。

 

 

業務と密接な関係を有する健康障害とは、

 

例えば、

 

 残業時間が多い→(食生活が不規則)→生活習慣病になった、労働環境がよくない→(ストレス多い)→うつになった、などを意味します。

 

 

そのような具合で最近は、

 

法定の健康診断(つまり会社の健診)で把握できる作業関連疾病の管理(生活習慣病も含む)

 

にも事業者、更に管理監督者への責任が課せられるようになりました。

 

 

よって、会社は従業員の健康状態だけでなく、残業問題も把握する必要があります。

 

 

(ちなみに、管理職・裁量労働制であっても、労働時間管理が必要です。)

 

精神疾患における過重負荷の有無の判断

 

労災補償に際して、精神疾患の認定の基準は以下の3点と考えられます。

 

 

1. 精神障害を起こしていた事実

 

 

2. 発病前の半年間に仕事による強いストレス(心理的負荷)があった

 

  強いストレスとは、

   仕事の失敗、過重な責任の発生、仕事の量・質の変化(勤務の長時間化)、

   身分の変化(退職の強要)等を指します。

 

3. 仕事以外のストレスや個人的事情で精神的障害を発病したとは思われない

  

  例えば、離婚や別居。

  ほかに配偶者や子どもの死といった出来事との関連性がないことなどです。

過重労働対策に関する具体的な対応策

 

実際の過重労働対策に関する具体的な取り組みを紹介します。

 

 

残業の削減、労働時間の適正管理

 

Ø 残業は月45時間以下にするよう、努力。

 

Ø 就業日ごとの始業・就業時刻をタイムカードなどで記録、確認。

 

 

年次休暇の取得

 

Ø 年次休暇を取得しやすい職場環境づくりをし、取得促進

 

 

健康診断の実施の徹底と事後措置

 

Ø 年1回の定期健康診断受診を徹底。

 

Ø 深夜業務がある社員には6ヶ月内に1回の特定業務従事者健診を実施。

 

Ø  有所見者については、医師の意見を聞き、必要な事後措置を行う。

 

 

そして、最近の“はやり”が、

 

 

残業時間の多い社員へ産業医による保健指導等の実施。いわゆる過重労働対策面談です。

 

Ø    時間外・休日労働時間が1月当たり100時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められる労働者が申し出た場合には、医師による面接指導を行うことが義務付けられています。

 

  事業者は、面接指導の結果の記録(疲労の蓄積の状況その他心身の状況、聴取した医師の意見等を記載したもの)を作成し5年間保存します。必要に応じて事後措置を講ずることもあります

 

過重労働対策面談にならないためには?

 

 では実際に、過重労働対策面談にならないためにはどうすればいいのでしょうか?

 

 

このような状況にならないためには、企業は従業員を残業させない仕組みを考える必要があります。

 

簡単なことではないかもしれませんが、まずは、この法律を頭の片隅に置いて、従業員の日々の働き方を再考して下さい。

 

 

残業を減らすことは工夫できる場合があります。

 

例えば、ノー残業デーをつくるなどです。

 

この結果、業務効率が上がり、残業が減った例も多くあります。

 

 

ほかに、過重労働面談の実施を従業員に通知したことにより、

 

それだけで、従業員の残業時間が減った例もあります。

 

きっと、「先生」との面談によほど抵抗があったのかもしれませんね。

 

 

長時間働くことは美徳ではありません。

 

組織全体の作業効率を上げることも仕事です。