産業医の気になるニュース パワーハラスメント

「自殺原因はパワハラ」佐川急便社員の遺族が労災申請へ
6月29日23時26分配信 産経新聞

 佐川急便新潟店(新潟市)の男性係長(42)が自殺したのは上司によるパワーハラスメントが原因だったとして、遺族が週内にも新潟労働基準監督署に労災認定を申請することが分かった。同店の従業員約200人のうち、130人が会社に連名で原因究明を求める嘆願書を提出しており、115人がパワハラの実態を証言する文書を遺族に寄せているという。遺族側は労災認定を受けた上で、上司と会社を相手に損害賠償請求も検討するとしている。

 妻によると、男性係長は平成9年7月に入社。新潟店で配送ドライバーとして働き、19年9月に係長に昇任した。朝6時前に出社し夜は10時半に帰宅、休日も3、4時間働く激務が続いた。今年3月の人事異動で別の男性係長が課長代理に昇格してからパワハラが始まったという。

 同僚が遺族に出した証言書によると、課の朝礼で係長は課長代理から「数字を上げられないお前は係長でも何でもねえ」「仕事をしていなんだから給料を返せ」などと部下の前で罵倒され続けた。構内放送で名前を呼び捨てにされ、出席簿から名前が消された。25人の部下を管理する係長業務に加えて配送の仕事もさせられ、4月には「お前なんかいらないから行ってこい」と1週間の新人研修に2度も参加させられた。

 男性は妻に「最近、みんなの前で怒られるんだ」「うつ(鬱病)っぽいかもしれない」と漏らしていた。5月16、17日は久しぶりの連休で自宅で休養したが、翌18日午前4時、仕事で東京に出張していた妻の携帯電話に「仕事をこんな形でしか解決できなかった。今までありがとう。本当に幸せだった」とメールを送信。同日早朝、新潟市東区のスーパー跡地で飛び降り自殺した。

 自殺原因について課長代理は職場で「多額の借金があった」「夫婦仲が悪かった」などと事実と異なる説明をしたという。

 妻は「夫は佐川急便の仕事に誇りを持ち、係長になるのを2人で目標にしていた。パワハラを続けた本人が一番憎いが、見て見ぬふりをした店長をはじめ会社にも責任がある」と誠意ある対応を求めている。

 産経新聞の取材に応じた社員の1人は「私も以前、この上司から1年半にわたり、いじめられた。私は死ぬ勇気がなかっただけ。職場は見て見ぬふりの体質で係長を助けられなかった」と話した。

 佐川急便広報部は「現在、顧問弁護士が関係者のヒアリングをしており、パワハラがあったかどうかまで調査できていない。ご家族の気持ちを第一に考え、慎重に話し合いをしていきたい」としている

熱中症の予防について

 産業医が提供する衛生委員会のテーマ。
 あなたの会社の衛生委員会でもご活用下さい。
 社員食堂や給湯所に掲示可能、そのまま配布可能な資料ご希望の方は、管理人にご連絡下さい。

 職場における熱中症による死亡災害は、気温が高い7月から8月にかけて多く発生していますが、5、6月や9月にも発生する災害です

 直射日光により高温環境となる屋外作業場所等では、熱中症を予防するため以下の事項を守ってください。

 作業環境の面から
(1) 日陰などの涼しい場所に休憩場所を確保する。
(2) 日除けや通風をよくするための設備を設置し、作業中は適宜散水する。
(3) 水分、塩分の補給のためのスポーツドリンクなどや身体を適度に冷やすことができる氷、冷たいおしぼりなどの物品を備え付ける。
(4) 作業中の温度や湿度の変化が分かるよう温度計や湿度計等を設置する。


 作業の面から
(1) 十分な作業休止時間や休憩時間を確保する。
(2) 作業着は吸湿性、通気性の良いもの、帽子は通気性の良いものを着用する。


 健康の面から
(1) 健康診断結果などにより、作業者の健康状態をあらかじめ把握しておく。
(2) 作業開始前はもちろん、作業中も巡視などにより作業者の健康状態を把握する。
(3) 備え付けた物品による水分、塩分の補給を作業者に指導する。


 教育の面から
 作業を管理する者及び作業者に対し、あらかじめ以下の労働衛生教育を行う。
[1]熱中症の症状 
[2]熱中症の予防方法 
[3]緊急時の救急措置 
[4]熱中症の事例


 救急措置の面から
 熱中症は早期の措置が大切です。
 少しでも熱中症の症状が見られた場合は、救急措置として涼しいところで安静にし、身体を冷やし、水分及び塩分の補給を行う等だけではなく、医師の手当を受けさせてください。
 そのためにも、近くの病院、診療所の所在地や連絡先を把握し、緊急連絡網を作成して、関係者に知らせておくことが必要です。

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産業医ニュース:厚生労働省から新型インフルエンザ対策が一部改訂されました

産業医.comから、新型インフルエンザ関連情報のupdateです。

本日、厚生労働省より、医療の確保、検疫、学校・保育施設等の臨時休業の要請等に関する運用指針(改定版)、がでました。


企業に関連してきそうな、産業医.com的なポイントは3つです。

現時点を、感染拡大防止措置により患者の増加を抑制しつつ、秋冬の事態に対応するための準備の期間と位置付け

・原則として患者については外出を自粛し、自宅において療養する

・現在、発熱外来を行っている医療機関のみならず、原則として全ての一般医療機関においても患者の診療を行う。

その他の重要個所は続きをクリックしてください。

これを企業レベルで行うために、あなたの会社の衛生委員会でぜひご検討ください。

、医療の確保、検疫、学校・保育施設等の臨時休業の要請等に関する運用指針(改定版)

よりわかりやすい、厚生労働省作成のPDF資料はこちらへお願いします。

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産業医と新型インフルエンザの第二段階(国内発生早期)

5月第3週末の間に、関西でも二次感染者が続出し、日本国内は、新型インフルエンザの第2段階に入りました。

第2段階とは、国内発生早期、ということです。

20090516 pandemic influenza japan phase

 

 

 

 

各会社ごとに、それぞれの新型インフルエンザ対策計画があると思います。

会社のポリシーにのっとったものであれば、基本的にはOKですが、1つ忘れられていそうなポイントをあげさせて頂きます。

事業者・職場における新型インフルエンザ対策ガイドライン

によると、

 従業員本人だけでなく、同居する家族等の発症や従業員の感染者との接触についても把握することが望ましい。

 このインフルエンザは、若者の間で広がる性質が強い傾向にあるようです。

 従業員のご家族の通われる学校などで感染者が出た場合、会社としては、従業員にその旨を自己申告してもらったほうがいいのかもしれません。

 もちろん、その時の対策も考えておく必要があるのでしょう。


その他の、国内向けパンフレットへは続きをクリック!

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産業医と新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)と企業の安全配慮義務2

産業医.comから、5月第4週時点における企業の新型インフルエンザ対策のポイントです。

1.新型インフルエンザ(Influenza A H1N1)の情報の整理

2.新型インフルエンザに関して忘れられようとしている点

3.新型インフルエンザ、今、そして、これから何が問題か?

以上、を説明させて頂きます。

より詳しい説明、対策方法のご質問等は管理人へご連絡下さい。

産業医と新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)と企業の安全配慮義務 2.1

産業医.comから、5月第4週時点における企業の新型インフルエンザ対策のポイントです。

1.新型インフルエンザ(Influenza A H1N1)の情報の整理

潜伏期間、感染期間はともに7日程度と推定されているようです。

当初(GWの頃)の8-9日ほどの長さではないということがわかってきました。


通常の季節のインフルエンザと比べ、

 罹患率は、約23%と高めです。(通常のインフルエンザは5-15%)

 死亡率は、約0.4%です。(通常のインフルエンザは0.02-0.1%)

 通常のインフルエンザよりは高いですが、鳥インフルエンザより明らかに低く、このことが「たいしたことない」インフルエンザとの印象を世の中に与えてしまっているように感じます。

 (鳥インフルエンザ(H5N1 Avian Flu)は罹患率は低いが、死亡率は6割を超えて高いとされています。)

 新型インフルエンザにかかると重症化するリスク因子は、

 5歳以下、65歳以上、妊婦、慢性疾患や免疫異常疾患をもつ人、です。

 

 渡航規制や隔離期間に関しての変化

 WHOは、メキシコやアメリカなどへの渡航規制(restriction)を設けないと5/14に表明しました。

 日本国内における感染者・感染の疑いの者の隔離期間は、当初の10日より7-8日に短縮されました。(今後どうなるかは未定ですが・・・)

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産業医と新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)と企業の安全配慮義務 2.2

産業医.comから、5月第4週時点における企業の新型インフルエンザ対策のポイントです。

2.新型インフルエンザに関して忘れられようとしている点

・発症国とされているメキシコでの詳細は不明です。ウイルスの起源もわかっていません。

・このウイルスは Quadruple reassortnant virusで、ヒト、鳥、豚2種の4つのタイプの生物にかかりうるウイルスです。

このウイルスが、鳥インフルエンザのウイルスとくっついたり

タミフル耐性インフルエンザウイルス(実在します)とくっつくと、

危険度の高い、場合によっては殺人ウイルスとなる可能性があります。


・現在のH1N1 Influenza A(豚インフルエンザ)の状況が、歴史的に危惧されていた実際のpandemicなのか、それとも単なる序章なのか、それはまだわからないということ。

 数年前に香港で起こったSARSはpandemicとはなりませんでした。

 しかし、これはその後になって言えることで、当時はどうなるかは誰にもわかりませんでした。


秋(10月頃)の日本国内でのインフルエンザシーズンが始まるまでに、この新型インフルエンザワクチンの十分な製造が間に合わない可能性が十分あること。


過度な不安をあおることは不要ですが、まだ、気を抜くには早いような気がします。

会社としてのポリシーと考え、対策をたてておく重要性は変わりません。

豚で準備し、鳥に備える」という考えも大切です。

より詳しい説明、対策方法のご質問等は管理人へご連絡下さい。

産業医と新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)と企業の安全配慮義務 2.3

産業医.comから、5月第4週時点における企業の新型インフルエンザ対策のポイントです。

3.新型インフルエンザ、今、そして、これから何が問題か?Post peak periodに備えよ。

現在WHOの定義するPhase5に我々はいます。

Phase5の意味は、「世界的流行が起こりうる強い可能性がある」。(a strong signal that a pandemic is imminent)

Phase6は、「世界的流行が起こっているという定義です」。(a global pandemic is under way)

大切なのは、その先にも定義があるってことです。
H1N1 Influenza Where are we now May 2009

Post Peak とPost Pandemicという期間があります。



Post Pandemicは、そのインフルエンザがすでに普通のインフルエンザとして認識されるようになってからのことです。たとえば、1918年のスペイン風邪(Spanish Influenza)に関していえば、我々は現在、post pandemicですね。

Post Peak とは
「流行の波が過ぎ去ったようにみえるが、第二の波(流行)がくる可能性があり、それに備えよ」という時期です。
(Pandemic activity appears to be decreasing, however, it is uncertain if additional waves will occur and countries will need to be prepared for a second wave.)

現在、GWの頃ほどはマスコミでも取り上げられる回数も減り、喉もと過ぎた・・・印象をもたれている企業もあるかと思いますが、

秋(10月)頃の日本(北半球)でのインフルエンザシーズンに、再びこのウイルスの波がくるかもしれません。

そして、その時のウイルスの性格は、現在のものと同じという保障はありません。

企業、衛生委員会、新型インフルエンザ対策委員会では、引き続き注意が必要です。


しかしながら、このPost Peak期間は1-2年ともいられています。

その長い間、ずっとピークの緊張感で対処することは不可能かつストレスフルです。

そこで、ゆるいが効果がある、安いが効果がある、従業員にも長期間にわたり受け入れられやすい、対策を考える必要があると思います。

より詳しい説明、対策方法のご質問等は管理人産業医へご連絡下さい。

 

 

新型インフルエンザの国内被害想定

厚生労働省 事業者・職場における新型インフルエンザ対策ガイドラインによると、

新型インフルエンザが流行した際には、

全人口の約25%が発症し、医療機関を受診する患者数は最大で2,500万人になると想定されています。

入院患者は53万人~200万人、死亡者は17万人~64万人と推定されています。

そして、地域差や業態による差があるものの、
従業員本人や家族の発症等により、従業員の最大40%程度が欠勤することも想定されています

H1N1 Influenza 日本国内分類と被害想定

産業医と豚インフルエンザ H1N1Fluと安全配慮義務 厚生労働省からのガイドライン

 厚生労働省からの 事業者・職場における新型インフルエンザ対策ガイドライン をリンクさせて頂きますので、御活用いただければ幸です。

(重要箇所下にコピペさせていただいております。ご参照下さい。)
あなたの会社のお役に立てていただければ幸いです。
 

  • 新型インフルエンザ発生時には、経営者をトップとした危機管理組織を設置し、事業所の感染予防、事業継続に関する意思決定体制を構築する。
  • 事業継続計画の立案に当たっては、経営責任者が率先し、危機管理・労務・人事・財務・広報などの責任者を交えて行うことが必要である。また、就業規則や労働安全衛生にも関わることから、産業医等をメンバーに加えることが望まれる
  • 事業者は、従業員に対して安全配慮義務を担う。
  • 従業員への情報提供体制の整備、普及啓発を行う。
  • 正確な情報を収集するとともに、従業員や取引先、地域住民等に対して情報提供に努める。
  • 産業医や産業看護職がいる場合は適宜助言を受ける。
  • 発生国への海外出張については、やむを得ない場合を除き、中止する。帰国しても大10日間停留される可能性がある発生国以外の海外出張も原則中止することが望ましい
  • 感染拡大の初期段階(国内発生早期)では、同じ職場で感染者が発見 された場合、濃厚接触者が自宅待機(最大10日間)するケースが想定される。
  • 濃厚接触者=同居者、個人防護具なしに診療・搬送に直接携わった者、個人防護具なしの汚染物質への接触者直接対面接触者(手で触れる・会話可能な距離で、Ptと対面で会話や挨拶等の接触あった者、接触時間は問わない、職場の近距離接触者も該当する。)
  • 職場での感染防止策を徹底し、職場で感染した可能性がある者が発見された場合に対処する作業班を決める。作業班のメンバー用に必要な個人個人防護具を用意する。
  • 事業所で従業員が発症した場合の対処
  • 発症の疑いのある者を会議室等に移動させ、他者との接触を防ぐ。発症者が自力で会議室に向かうことができない場合は、個人防護具を装着した作業班が発症者にマスクを着けさせた上で援助する。
  • 事業者は、保健所等に設置される予定の発熱相談センターに連絡し、発症した日付と現在の症状を伝え、今後の治療方針(搬送先や搬送方法)について指示を受ける。地域の感染拡大の状況により、入院の勧告から自宅療養まで治療方針は刻々と 変化するので、発症者を確認するたびに指示を受けることが望ましい。
  • 従業員本人だけでなく、同居する家族等の発症や従業員の感染者との接触についても把握することが望ましい。

注意!
なお、現時点においては、これはあくまでガイドラインです。
 
個人防護具とは、帽子、ゴーグル、マスク、手袋、防護服、靴などをさすと思いますが、どこまでをさすのかは不明です。検疫所や医療施設レベルまでは求められないと思いますので、マスクと手袋必須、加えるとすればゴーグル(フェイスマスク)でしょうか。

また、作業班の決め方、労災?、どこまで強制力のあるものなのかなどなど、未解決な内容があると感じます。
 
あくまで参考として、貴社のcompany policyにあった対策を御検討お願いします。

産業医的に気になるところは、以下2点です。
 
事業者は、従業員に対して安全配慮義務を担う。
 ・ 産業医や産業看護職がいる場合は適宜助言を受ける。
 
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対応可能な産業医を探している企業の方は管理人へお問い合わせ下さい。

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