産業医.com版 安全衛生委員会の作り方

 

 産業医は決めました。

 

 では、どうやって、企業内の産業保健サービス(産業医システム)をやっていくのでしょう?

 

 その中心になるのが、安全/衛生委員会です。

 

 委員会を構成するメンバーの役割と選任方法について、ややこしいことは抜きにして、産業医.comバージョンとして簡単に説明します。

 

 詳しいことを知りたい人は、「安全衛生規則施行令9条」で以下内容を定めていますので、そちらをお調べ下さい。

 

 

安全/衛生委員会とは?

 

・労働者50人以上の事業場では衛生委員会を設置し、毎月1回以上、衛生に関する事項の調査審議等を行わなければならない、となっています。

 

 そして、議事事項で重要な物については記録(議事録)を作成し、3年間保存することになっています。

 

ちなみに、委員会の開催時間は労働時間ですので、衛生委員会が勤務時間外に行われたときは、メンバーの方はきちんと割り増し賃金を請求しましょう。

 

安全衛生委員会の作り方

 

 

 

 

 

 

 

 

 

衛生委員会のメンバー選びのポイントに続きます。

産業医.com版 安全衛生委員会の作り方 安全/衛生委員会のメンバーとは?

 

以下を参考に、いいメンバーを選任して下さい。

 

 

総括安全衛生管理者

 

         資格は必要ありませんが、実際的な責任者である労務・総務・人事部長、工場長や作業所長などが一般的です。

 

         統括安全衛生管理者は、委員会の決定事項等を会社の検討事項として、事業主に提言する役割を担います。

 

         以下人数の事業所・業種で選任が必要です。

          1.屋外産業的業種  :  常時100人以上

  2.屋内工業的業種  :  常時300人以上

  3.屋内非工業的業種 :  常時1000人以上

 

 

衛生管理者

 

         業種に関係無く、50人以上の労働者をしている事業場にて選任する必要があります。

 

         衛生管理者免許所持者等の有資格者である事が必要です。

 

         原則、専属ですが、2人以上の選任の場合には1人は衛生コンサルタントでもOKです。

 

         職務内容は、毎週1回以上の巡視と衛生、健康に係る異常を発見した場合に必要な措置を採る事などです。また、産業医との連絡役などを担うことも多く、実際の行動部隊隊長も衛生管理者であることが多いという印象です。

 

 

安全管理者

 

         総括安全衛生管理者の下、実際的な安全管理を行う有資格者です。

 

         作業場の巡視とそれに伴う具体的な措置などを行います。

 

         原則、事業場に専属の者ですが、複数の場合には1人のみは外部の労働安全コンサルタントでもOKです。

 

         危険物取り扱いなどなければ、安全管理者は不要です。

 

         以下人数の事業所・業種で選任が必要です。

   1.常時 300人以上 : 建設業、化学製造業

   2.常時 500人以上 : 無機化学、化学肥料、貨物運送、港湾運送業

   3.常時1000人以上 : 紙、パルプ、鉄鋼、造船業

   4.常時2000人以上 : その他屋外、又は屋内工業的業種などで労災休業101人以上/3年間の事業場

 

 

衛生委員

 

         事業者が指名しますが、その半分は労働者の代表から推薦された者から選ばなければならないとなっています。つまり、衛生委員は、労使半々の人数設定が必要です。

 

         委員メンバーは社員の代表として周囲の声を収集する役割が期待されています。人選にあたっては、社内の部署を偏らないように選ぶことが大切だと思います。人事・総務・法務・広報部などより選任されることが多いですが、議事録を作成する者が多くの場合ここに含まれている印象です。

 

         月に1回産業医を顔を会わすわけですから、社内の一番ストレスの多い部署の(上の)者を選任するのも有効です。

 

注意!

事業者 全てのメンバーを選任しますが、自らはメンバーになれません。

 

いい産業医の報酬について

いい産業医をお探しの企業の担当者は、管理人へご連絡下さい。

 

産業医の報酬の相場はもっと安いのでないか?

 

 確かに、低価格で引き受けてくれる産業医は、あります。

 

 探せばたくさん見つかるでしょう。

 

 

しかし、「産業医」の本質をもう一度よく考えてみてください。

 

 安上がりに簡単に見つかればそれでいい、というものではありません。

 

 安ければ安い方がいい、その気持ちはわからないわけではありません。

 

 しかし、安っぽい産業医を選んでしまったばかりに、「安物買いの銭失い」になってしまえば、何の意味もないのです。

 

 

産業医は、あなたの会社を支える、社員の健康を守るその基軸となるものです。

 

 低価格で引き受けてくれるところの産業医は、

 

  名ばかりの産業医で会社訪問や職場巡視なし(名義貸し産業医)、

 

  従業員の面談はすべてその産業医のクリニック(もちろん別料金)、

 

  社員の定期健診もすべて提携(もちろんこれも別料金)などが多く、

 

また、会社の既存の方法から全く進歩のないシステムをそのまま続けることが多いのも事実です。

 

 

実際のところ、安い産業医は、その程度のサービスしかできないのです。

 

 

それでは、あなたの会社のための、いい企業内産業保健サービスは作れません。

 

実際にそういう企業内産業保健サービスをもっていないからこそ、従業員の心と体の健康に関係するトラブルが次から次へと深い傷跡を残していると思われます。

 

 

企業内産業保健サービスは、産業医を雇っておしまい、あとは健診での有所見者、過重労働者や復職者を面談させておしまい、というものではありません

 

 

従業員が日々の業務の中でも会社の産業医の存在を知っており、会社が従業員の健康を気遣っていることを知っていてこそ、産業医は意味のあるものになります。

 

 

いい産業医は、産業医の業務だけでなく、企業内産業保健サービス全体の活かし方のアドバイスやフォローもきっちりしてくれる産業医です。

 

 

だから、いい産業医の報酬は「高い」。

 

これは値段だけの話ではありません。

 

「内容が高い」のです。

 

 いい産業医をお探しの企業の担当者は、管理人へご連絡下さい。

産業医の上手な選び方①

 

産業医を選ぶ際には事業規模や内容別に専属産業医または嘱託産業医を選ぶことになる訳ですが、999人以下の嘱託産業医を選ぶ事業所を想定してお話します。

 

 

そもそも、

 

普段は病人を診察していることが多い街の開業医の先生や病院の先生たちと、

 

企業内で会社のリスクマネジメントの立場からいろいろな活動をする産業医とでは、

 

根本的な違いがあります。

 

そこを理解して産業医を選任しないと、後々いろいろな問題が発生してきます。

 

 

最近の労災の疾患別内訳は、

 

 半分以上が脳疾患・心臓疾患などの生活習慣病関係、

 

 残りの多くが自殺を含めたメンタルヘルス関係という状況です。

 

 

生活習慣病関係については、全身を扱う科(内科・外科等)の専門医クラス、メンタルヘルスについては精神科・心療内科医の専門医クラスだと、その点において失敗は少ないと思います。

 

 

しかしながら、産業医の仕事は、

 

その社員が何の就労制限もしないで働けるか、

 

それとも何らかの就労制限をすれば働けるのか、

 

休職すべきなのか、ど

 

のような勤務体制を組んだら復職が可能なのか、

 

などの判断が中心です。

 

 

その場で病気を治すわけではありません。(ここを勘違いされている方が多いです)

 

病気が診られる名医=名産業医ではありません。

 

 

ある程度の知識と臨床医としてのそれなりの経験のある医師であれば、それほど医師の専門性にこだわる必要はありません

 

 

社員の年齢とのバランス、

 

医師個人の転勤や移動はないか、

 

どれくらい長く会社とつきあってもらえるのか、

 

訪問時以外の連絡や対応は可能か、

 

なども考える必要があります。

 

もちろん、会社の担当者との相性が大切なのはいうまでもありません。 (つづく)

 

産業医の上手な選び方②

 

(つづき)

「普段付き合いの少ない”医師”を産業医に迎え、会社の望むような産業保健活動を進めていくのは難しい!」

 

ということで、最近は、

 

「従業員の健康管理を専門業者にアウトソーシング」 する企業も増えてきています。

 

 

また、各地へ事業展開されているようであれば、

 

「本社以外の産業医の選任は一括してそのような専門業者に任せる」

 

という方法もあります。

 

 

CSRやコンプライアンスの立場から考えないまでも、会社にとっては社員一人一人が財産であると思います。

 

人財であるその社員たちと企業自身のために、

 

企業内保健サービスのレールをきちっと作っていただける産業医を探すことが大事だと思います。

 

努力した担当者のみが報われると思います。

 

ネット検索、衛生管理者の資格試験、同業他社の担当者の話等、まずは“勉強”をして下さい。

 

 

いい産業医をお探しの企業の担当者は、選任前にぜひ管理人へご相談下さい。

産業医候補者である医師の現状

 

2006年現在、日本の医師数は約26万人。産業医の有資格者数は、約7万人超となっています。

 

およそ4人に1人の医師が、産業医の資格をもっていることになります。

 

 

ほとんどの医師は「臨床医」で、実際に病気の患者さんを診る仕事をしています。

 

医療機関(病院・診療所)で常勤医として働くかたわら、週1回の研修日(研究日)を持ち、自分の技術習得や他の医療機関でのアルバイトをしています。

 

もしくは、クリニックの院長自身が健診請け負い企業の産業医をかけもっていることも多いです。

 

 

現在の多くの嘱託産業医は、このようなお医者さん達で、週1回の研修日(研究日)に産業医として企業のために働いています。

 

(多くの専属産業医はその企業の常勤であることが多いですが、週1回の研修日(研究日)に臨床医として医療機関(病院・診療所)で働いています。)

 

 

 

現状として、そのような産業医は、企業の産業医が専門なのではなく、専門はあくまで所属する医療機関での医療です。

 

 

その結果、訪問時以外の対応が不可のこともあります。

 

急変患者の対応により訪問が突然延期または中止になることもあります。

 

また、その医師のキャリア形成はあくまで主である臨床医が基準ですので、転勤・移動もあります。

 

専門はあくまで所属する医療機関での医療なので、しょうがないのかもしれません。

 

しかし、そのようなところに、企業内産業保健サービスを積極的に考えている企業のジレンマがあるような気がします。

産業医の選任にあたって①

個人的な見解ですが、あなたの会社の企業内産業保健サービスに、産業医活動にどうぞお役立て下さい。

 

 

近年、産業医資格を持つ医師は増えております。

 

産業医の需要も高まるばかりですが、本当に個々の企業の求めるリスク管理レベルの産業医活動を行える産業医は多くはありません。

 

既に企業内産業保健サービス(産業医システム)が出来上がっている企業での産業医業務に従事している医師がほとんどだと思いますが、名ばかりの産業医(とそれでよしとしている企業)も少なくありません。

 

企業内産業保健サービスの中には、法律で定められた安全衛生管理委員会やメンタルヘルス・過重労働対策などいくつかの重要な決まりごともあります。

 

しかしながら、企業内産業保健サービスの実際の運営方法に決まったものはなく、各々の企業スタイルにあわせての個別の対応が、企業経営側にも受け入れられやすいのではないかと思います。

 

 

近年の数々の法改正、刻々と変化する社会情勢、めまぐるしく変わる労働者の労働状況・・・

定期健診やメタボリック健診のみならず、メンタルヘルスから過重労働対策、安全配慮義務・・・

企業に求められる社会的責任(CSR)やリスクマネジメントは増加の一途を辿っています。

 

 

このような時代には、従来の「産業医一人におまかせ」式や「健診先医療機関丸投げ」式の企業内産業保健サービスでは、今後の多様化するニーズへの対応には限界があると感じます。

 

単なる登録だけの産業医、決められたルーチーンワークだけをこなすだけの産業医では、対応が遅れてしまいます。

 

一方、企業側にも、「企業内産業保健サービス」、「企業の安全配慮義務」、「労働安全衛生法」などの取り扱いがはっきりしていないなどの問題がないわけではありません・・・(つづく)

 

 

産業医の選任にあたって②

(つづき)

産業医を探し始める前に、「自分の会社のスタンスは何か?」、一度あなたの会社内でご相談いただけるといいと思います。

 

求めているのは、本当に産業医なのか?健康管理アウトソーシング会社なのか?EAP機関の活用は?

 

 

そして、産業医の選任にあたっては、

 

まずは、あなたの会社が、

 

「なぜ」、

 

「何のために」、

 

「どのような」産業医を、

 

「どれくらいの頻度で」

 

必要としているのかをはっきりさせることが大切です。

 

 

産業保健は極めて実践的な分野であり、それぞれの専門職種がそれぞれの専門性を最大限活かして参加するチームとして機能した時、社会的寄与は最大になることが期待されます。

 

 

企業と産業医と労働衛生管理活動サポート企業(EAP、労働衛生専門家、健康管理アウトソーシングetc.)、のなかでバランスをとって、コミュニケーションができる産業医が必要です。

 

 

加えて、従業員の横に立ちつつも、企業のよりよいパーフォーマンスのために、経営陣の方々のお手伝いさせていただくというスタンスが、求められます。

 

いわゆる「お医者様」型の産業医よりも、フットワークの軽い、明るく笑顔の産業医のイメージです。

いい産業医をお探しの企業の担当者は、選任前にぜひ管理人へご相談下さい。

産業医の選任にあたって③所轄の労働基準監督署長への届出

 

事業者は、常時50人以上の労働者を使用するに至った時から14日以内に産業医を選任する必要があります。

 

また、産業医を選任した際は遅滞なく所轄の労働基準監督署長に届け出る義務があります(安衛法第13条、安衛令第5条、安衛則第13条第1項・2項)。

 

産業医に欠員が出た場合も同じく14日以内に選任し遅滞無く所轄労働基準監督署長に届け出なければなりません(安衛則様式第3号による届出)。

 

 

 「選任」して終わりではありません。所轄の労働基準監督署長への届出まで必要です。

いい産業医とは?

 

いい産業医は、必ず、現場(会社)に行きます。

 

現状について時間をかけて話に耳を傾け、最適な具体案を提案していきます。

 

 

いい産業医は、従業員の面談においても、何でも相談できる雰囲気を心がけます。

 

 プライバシーに関わることも多いですので、秘密厳守はいうまでもありません。

 

 

いい産業医は、会社との相談事においても、経営者の立場を理解しようと心がけます。

 

 多少、経営者には耳の痛いことも言うこともありますが、その会社を理解することに勤めているはずです。

 

そして、何よりも、

いい産業医は、「コミュニケーション」が上手な産業医だと思います。

 

 

 

企業内産業保健サービス(企業の健康管理)に関する問題は、表面に見える状況は似ているようでも、ひとつひとつ原因が異なります。

 

ある程度のマニュアル的なものはありますが、それでは根本的な解決には至りません。

 

決して一言で簡単に言えるほど、単純なものではないのです。

 

 

そもそも普段は病人を診察していることが多い街の開業医の先生や病院の先生たちと、企業内で会社のリスクマネジメントの立場からいろいろな活動をする産業医とでは根本的な違いがあります

 

 

産業医の取り扱う業務が多様化する中で、産業医一人に全てを任せるのではなく、企業の衛生管理者やアウトソーシング機関等との連携による業務が最近増えてきています。

 

さらには今後、複数の専門分野の異なる産業医が事業場の衛生管理等を行うことが、より効果的であるケースもあると考えらます。

 

こうした「チームワーク」を理解し育てられる産業医は、いい産業医だと思います。