産業医からみた 労災と安全配慮義務

いつもありがとうございます。

産業医の武神です。


今回は

【労災と安全配慮義務】

という内容に関するお話しをさせて頂きます。


あなたの会社の労働安全衛生管理・産業医活動のヒントになれば幸いです。




【労災】と【安全配慮義務】とでは

従業員の業務等が過重であったかどうかの

判断基準は、

異なっています。
労災の場合は、

【平均的な労働者を基準】とし、

【一般的・客観的】にみて

業務等が過重であったかどうか判断します。



一方、安全配慮義務は、

労働契約の付随的義務であるため、


個々の労働者の基礎疾患等の

【個別的事情を前提】とし、

【労働者個人を基準】に

過重であったかどうかの判断になります。



従って、

その他の労働者にとっては何でもない業務であって

労働者個人の事情により発症・憎悪した場合には、

労災にはなりません。


しかし、

会社が個別的事情を把握・予見可能で回避可能であった場合には、

【安全配慮義務違反】を問われることになります。




労働基準監督署によって

社員の負傷・疾病・死亡が「労災」と認定された場合は,

「労働者災害補償保険法」に基づく「労災保険」)制度により,

保険金が企業・個人に支払われます。

つまり,(いいかわるいかは別として)

【労災保険の給付金によって,企業は労災補償の出費を免れる】 わけです。




労働基準監督署によって労災と認定されなかった場合,

あるいは労災保険による労災補償では満足できなかった場合,


社員または遺族に残された手段は、

「安全配慮義務」の「債務不履行」(民法415条)

または「不法行為」(民法709条)を理由に,


企業に対して民事訴訟(損害賠償請求)を起こすことです。

(注意:労災認定訴訟は行政訴訟です)




裁判所により企業側に落ち度があるとなった場合は、

企業は賠償を自ら負います。

労災認定の場合、遺族補償は労災保険から支払われるため、企業の負担はありません。

しかし、

【損害賠償ではすべてが会社負担】

になります。




そうならないためにはどうすればいいのか?



そのため、会社は、

【労働者個人の健康状態等を配慮】

して管理することが必要です。



その点まで踏まえて、

【これからの安全配慮義務はどのようにすべきか。】

来週のメルマガにて、解説させて頂きます。



以上、

あなたの会社の労働安全衛生管理・産業医活動のヒントになれば幸いです。



近年の数々の法改正、
刻々と変化する社会情勢、
めまぐるしく変わる労働者の労働状況・・・

企業に求められる安全配慮義務は、
社会的責任(CSR)としても、リスクマネジメントとしても、
確実に増加の一途を辿っています。

従業員の頃と体の健康管理だけでなく、
企業の安全衛生管理としての産業医活動に、
引き続き、このメルマガを、どうぞお役立てください。


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「産業医がアドバイスする”これからの安全配慮義務とメンタル社員との接し方”」
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