いつもありがとうございます。
産業医の武神です。
今回は
【受動喫煙で毎年60万人が死亡】
という内容に関するお話しをさせて頂きます。
あなたの会社の労働安全衛生管理・産業医活動のヒントになれば幸いです。
2010年11月、英医学専門誌「ランセット (The Lancet)」に、
【受動喫煙による死者は世界で年間60万人もに上り、その3分の1が子どもだ】
と指摘する論文が発表されました。
WHOの研究チームで
世界192の国と地域について、2004年のデータを基に数学的モデルを用いて死者数を推計し、
世界で受動喫煙によって【60万3千人】が2004年に亡くなったと推計しました。
受動喫煙が心臓病やぜんそく、呼吸器感染症、肺がんなどを引き起こし、
60%が心臓疾患、30%が下気道感染症、続いてぜんそく、がんなどで命を落としているそうです。
ちなみに、60万3千人は、
【世界の死亡者約100人に1人の割合】
に相当します。
全世界を対象とした調査結果が明らかにされたのは、
今回が初めてだそうです。
この論文では、世界の非喫煙者のうち
子どもの40%、
女性の35%、
男性の33%
が受動喫煙にさらされていたと想定しています。
また、受動喫煙によって死亡した例の
半数は女性で、
男性と子どもが残りの4分の1ずつを占めたということです。
約16万5000人の死亡はは5才未満の子供で、
他の年齢層と比べて【受動喫煙の影響をより受けている実態】が明らかになりました。
これに【能動喫煙】に起因すると考えうる喫煙者の死亡数を合わせると、
死亡する喫煙者は年間510万人と推計しており、
受動喫煙を加えると570万人の死亡原因になっていると結論しています。
つまり、
2004年にタバコが原因で死亡した人は
【世界で570万人を超える】
ということです。
研究を率いたAnnette Pruss-Ustun氏は
「(受動喫煙による)死亡の3分の2はアフリカと南アジアで発生している」
と指摘しているようです。
そして、
喫煙の健康への影響を論じる際には、
喫煙者本人がたばこの煙を吸う一次喫煙による死亡だけでなく、
こうした受動喫煙による死もあわせて考えるべきだと提言しました。
氏とチームは、
たばこ価格の引き上げや広告の禁止など、
国連のたばこ規制枠組み条約に基づく法規制の強化を訴えています。
個人の嗜好からくる生活習慣病とは異なり、
受動喫煙の被害者は他人です。
特に自分の家族、職場の同僚の
【不健康な習慣】によって、
究極の犠牲を強いられているといえます。
【受動喫煙は健康に被害を及ぼす】ことがWHOで再度確認されました。
職場での喫煙対策も、しっかり行う必要があると思います。
ぜひ、あなたの会社の衛生委員会でも、このネタを取り上げてみて下さい。
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【リンク】
職場における受動喫煙防止対策に関する検討会 報告書
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以上、
あなたの会社の労働安全衛生管理・産業医活動のヒントになれば幸いです。