産業医からのお願い・・・「健診をうけましょう!」

 

産業医を選任している企業担当者の方々、および、従業員の方々に、産業医からのお願いです。

 

 

従業員の健康診断の受診を徹底してください。

 

受診率90%以上が目標です。

 

 

企業は、社員に健康診断を受診させる義務があり、

 

社員は、企業に労働法規で定められた健診結果項目を提出する義務があります。

(労働安全衛生法第66条の第1項)

 

 

ちなみに、

 

年1回の定期健康診断のほかに、特殊健康診断の実施(労働安全衛生法第66条の第2・3項)、深夜業務従事者健診、海外派遣労働者健診、結核健康診断、給食従業員の検便などが定められています。

 

他に、VDT健診、騒音健診、腰痛健診等、計30の業務については、行政指導による健康診断が指導勧奨となっています。

産業医の定期健康診断・事後処置への関与

 

2002年の厚生労働省「労働者健康状況調査」によると;

 

定期健康診断を実施した事業所において、担当者がいる事業所の割合を担当者ごとにみると、

 

 福利厚生・人事労務等担当者が77.8%で最も高く、

 

 次いで衛生管理者又は衛生推進者等が49.1%、

 

 産業医が44.4%、

 

 保健師又は看護師が30.5%        となっています。

 

 

また、産業医を選任している事業所における定期健康診断への関わり方については

 

規模が大きいほど産業医の関与の割合が高い傾向にあり、

 

 「5,000人以上」規模の事業所においては、産業医の100%が関与していました。

 

 一方、「10~29人」規模の事業所では7割に満たないようです。

 

 

産業医の担当内容については、「健康診断結果の事後措置の相談」が最も高くなっています

産業医の健診後の事後措置  「健診は、受ければ終わりではありません」

 

個人にとって、健診は、受ければ終わりではありません

 

その結果に基づき、自分の健康を意識することのきっかけにすぎません。

 

健診後、結果後のactionが大切です。

 

 

 

一方、企業においても、健診は、受ければ終わりではありません

 

健診結果は、労働者へ通知してください。

 

健診は、事後措置が行われることに意義があります。

 

また、労働基準監督署へ報告書の提出も忘れずに。

 

 

 

労働安全衛生法においては、一般健康診断の結果

 

 特に健康の保持に努める必要があると医師等が認める労働者には、

 

 医師又は保健師による保健指導の努力義務が企業には課せられています。

保健指導の実施:労働安全衛生法66条の7

 

 

産業医は、健診結果により、

 

 通常の勤務でよい

 

 勤務を制限する必要がある、

 

 勤務を休む必要がある(休業)の判断を行います。

(医師による意見聴取:労働安全衛生法66条の4

 

 

勤務の制限・休業をする必要がある場合、

 

 産業医はその労働者からの意見聴取を行い、

 

 労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮などを行うほか、管理監督者へ説明を行います。

 

また、医師等の意見を衛生委員会等へ報告します。

(就業上の措置の決定:労働安全衛生法66条の5

産業医と企業内産業保健サービス(企業の健康管理)と守秘義務

 

健康情報の保護に関して、

 

医師等については、法令(刑法第134条)で守秘義務が課されています。

 

 企業において健康診断や面接指導の実施に関する事務を取り扱う者に対しては、

 

労働安全衛生法第104条で守秘義務を課しています。

 

 

また、メンタルヘルスに関する個人情報については、

 

労働者の心の健康の保持増進のための指針

 

において、その保護のための配慮事項が定められています。

 

 

 

企業内産業保健サービスを始めるにあたっては、上記3点をしっかり従業員に提示することが大切です。

 

 

 

しかしながら、

 

産業医が事業者に対して、事業者が労働安全衛生法上必要な労働者の健康管理等を行うために必要な情報として知らせなければならない情報もあります。

 

 

一方、労働者の健康情報(個人情報)で産業医が知ったとしても、事業者などには開示すべきではない情報もあります。

 

 

 

産業医が得た労働者の健康情報一般について、

 

どの範囲で事業者やその従事者に開示することができるかについて明確でない点もあり、

 

この点については今後検討される必要があるとされています。

 

 

ここらへんのニュアンス(感覚)が、産業医と企業の担当者との「相性」のひとつでもあります。