産業医もびっくり!メタボリックシンドロームの予防・改善は医療保険者の義務!?

平成204月から40歳以上の被保険者・被扶養者に対して、メタボリックシンドロームに着目した生活習慣病予防のための健診・保健指導が実施されています。

 

メタボリックシンドロームは、内臓脂肪型肥満を共通の要因として高血糖、脂質異常、高血圧が引き起こされる状態で、それぞれが重複した場合は命にかかわる病気を招くこともあります。

 

ただし、食べ過ぎや運動不足など、悪い生活習慣の積み重ねが原因となって起こるため、生活習慣の改善によって、予防・改善できます。


 

以下3点は産業医と会社の衛生管理者で押さえておきたい最低項目です。

 

         40歳以上の被保険者・被扶養者に対するメタボリックシンドロームに着目した健診・保健指導の実施が医療保険者に義務化されています。

 

         健診データは、医療保険者が変わっても、引き継いで管理してもらえます。

 

         健診結果に応じて保健指導が行われます。

 

 メタボリックシンドロームの予防・改善は医療保険者の義務ではありません。

 

 しかし、健診と保健指導は医療保険者の義務です。

 

 医療保険者、つまり、多くの場合は、その従業員の勤める、あなたの会社です。

 

対策のできる産業医をお探しの企業の担当者は、管理人へご連絡下さい。

産業医も気にする企業(事業所)の健康の保持・増進の取組実施率と取組内容

労働者の健康の保持・増進に取り組んでいる事業所の割合は45.2%[前回37.4%]でした。すべての規模で4割を超えています。

 

事業所規模別にみると、規模が大きくなるほど取り組んでいる事業所の割合が高く、

300人以上のすべての規模で8割を超えていました。

 

問題は、実際に、労働者の健康の保持・増進のために「何」をやっているのかということなのですが・・・

 

事業所規模別にみると、

すべての規模で「健康相談」を挙げた事業所の割合が最も高くなっており、50人以上のすべての規模でその割合が5割を超えています。

 

これは、50人以上の規模の事業所は、産業医を持つことになっており、最低月1回、産業医がその企業を訪問しているためと考えられ、その時に、希望者に産業医との面談=健康相談の機会をもつことができるよう計らっているのだと思われます。

 

健康の保持・増進に取り組んでいる事業所のうち、取組の内容として

1.         「健康相談」を挙げる事業所の割合が46.1%と最も高く、

2.         「職場体操」(33.1%)の順となっています。

 

 図2健康の保持・増進の効果の有無及び効果のあった事項別事業所割合

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以上、20081010に厚生労働省より発表された「平成19年 労働者健康状況調査」を、産業医.com的に紹介させて頂きました。(詳しくはこのリンク先の報道発表資料でご覧ください。)

産業医も気にする従業員(労働者)の現在の健康状態

従業員(労働者)の現在の健康状態をみると、

  •   「非常に健康である」とする労働者の割合は13.2%、
  • 「まあ健康である」は64.2%であり、

「健康である」とする労働者はあわせて77.4%[前回79.5%]となっています。

 

 

男女別にみると、「健康である」とする労働者の割合は男が76.5%、女が78.7%となっています。

 

現在の健康状態別労働者割合

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以上、20081010に厚生労働省より発表された「平成19年 労働者健康状況調査」を、産業医.com的に紹介させて頂きました。(詳しくはこのリンク先の報道発表資料でご覧ください。)

産業医も納得。労働者(従業員)が、健康管理やストレス解消のために会社に期待すること

 「健康管理やストレス解消のために会社に期待することがある」とする労働者の割合は68.8%[前回65.1%]となっています。

 

そのうち、期待する内容としては、

1.         「がん検診や人間ドックの受診費用の負担の軽減」(41.6%) が最も多く、

2.         「休養施設・スポーツ施設の整備、利用の拡充」(33.4%)、

3.         「健康診断の結果に応じた健康指導の実施」(27.0%)、

4.         「施設整備等の職場環境の改善」(20.5%) の順となっています。

 

年齢が上になるほど、「健康診断の結果に応じた健康指導の実施」が高くなっており、

年齢が下になるほど、「休養施設・スポーツ施設の整備、利用の拡充」が高くなっています。

 

従業員(労働者)の多くは、自らはすでに定期健診を受けており、今以上の充実した内容(がん検診・人間ドック)や、検診後のフォロー体制の充実を望んでいるようです。

若い従業員(労働者)においては、福利厚生施設の充実を望む声が高いのだと思われます。

 

一方企業(事業所)側は、定期健診の受診率(概ね8-9割)の増加やその後のフォロー体制を、第一に考えているようです。

その他、職場環境の整備や心の健康に対する対策など、最近の労働基準監督署・厚生省が重要事項として考えていることをやはりカバーしようと考えているように感じます。

法的・労基的・厚生省的には強くは求められていないがん検診や人間ドックなどは、あくまでオプションであり、従業員(労働者)の希望ほどは・・・という印象です。

 

 

会社に期待することの内容別労働者割合

図5

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以上、20081010に厚生労働省より発表された「平成19年 労働者健康状況調査」を、産業医.com的に紹介させて頂きました。

(詳しくはこのリンク先の報道発表資料でご覧ください。)

 

産業医のコメント 定期健康診断等の結果に基づく健康管理のための事後措置の実施状況

過去1年間に定期健康診断、がん検診又は人間ドックのいずれかを実施した事業所のうち、

異常の所見があった労働者がいる事業所の割合は78.2%であり、

そのうち、何らかの事後措置を行っている事業所の割合は84.5%[前回81.9%]です。

 

 

事業所規模別にみると、

規模が大きくなるほど何らかの事後措置を行っている事業所の割合が高く、

50人以上のすべての規模で9割を超えています。

 

これは、50人以上の規模の事業所は産業医を持つことになっていますので、その産業医が企業訪問時に「健康相談」などをおこなっているものと思われます。

 

事後措置の内容としては、

「再検査・精密検査の指示等の保健指導を行った」(78.7%)が高い割合となっています。

 

 

以上、20081010に厚生労働省より発表された「平成19年 労働者健康状況調査」を、産業医.com的に紹介させて頂きました。(詳しくはこのリンク先の報道発表資料でご覧ください。)

 

産業医のコメント がん検診・人間ドックの受診率及び有所見率

過去1年間にがん検診又は人間ドックを実施した事業所において、

がん検診又は人間ドックを受診した労働者の割合(受診率)は、34.7%となっており、

所見のあった労働者の割合(有所見率)は、29.3%となっています。

 

ここでいう「所見のあった」とは、「要精査」(精密検査・二次検査を受けましょう)となった人のことで、実際に癌が見つかった人の割合ではありませんのでご注意を。 

 がん検診・人間ドック実施の有無別事業所割合

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以上、20081010に厚生労働省より発表された「平成19年 労働者健康状況調査」を、産業医.com的に紹介させて頂きました。(詳しくはこのリンク先の報道発表資料でご覧ください。)

産業医からみた実際のがん検診の内容 大腸・胃・子宮・乳がん検診について

産業医からみた大腸がん検診

 

「大腸がん検診」は、便潜血反応です。

便についている血液を調べる検査です。たいてい2回します。

 

進行した大腸癌があっても7割程度しか陽性とならない(ひっかからない)ところが短所ですが、簡便にできる検査ですね。

 

1回でも血が付いていれば、密検査の大腸内視鏡検査を勧められます。大腸内視鏡検査については、こちらのブログを参照して下さい。

 

無痛で早い大腸内視鏡検査の記録ブログ

 

 

産業医からみた胃がん検診

 

 「胃がん検診」(60.1%)は、バリウム検査が一般的。

バリウム飲んで、台が倒れたり、体をグルグルまわしたりして、レントゲン写真を撮る検査です。

昔からある、一番“検診”のイメージの強い検査ですね。

 

内視鏡検査(胃カメラ)の普及や経鼻内視鏡の出現により、胃のバリウム検査はその意義が問われている(?)と感じます。

 

正直、検査の精度(正確さ)は・・・です。

 

ちなみに、産業医.com管理人は、医師でバリウムを飲んでいる人を知りません。

 

その他、ペプシノゲン検査(採血した血の中のものを調べるだけ)などもあります。

 

いずれも、ひっかかったら胃内視鏡検査へとなりますが、最近は、はじめから胃カメラを選択できる検診コースが増えている印象です。そのときは、内視鏡検査(胃カメラ)を選びましょう!

 

 

産業医からみた子宮がん検診

 

 「子宮がん検診」(57.4%)はいわゆる女性のためのがん検診でもっとも一般的なものです。

女性器入口付近を綿棒のようなもので擦り、それを顕微鏡で調べます。

 

引っかかれば、婦人科受診となります。

 

 

他に、HPV(ヒトパピローマウイルス)を調べることもあります。

 

ヒトパピローマウイルスは子宮頚癌のリスク因子であり、ヒトパピローマウイルスがいる人のほうが、子宮頚癌になる確率が高いことが認められています。

 

もし、ヒトパピローマウイルスが陽性(いる)場合、そのウイルスを退治する治療があり、

そうすることにより子宮頚癌は予防することができます。

 

このヒトパピローマウイルスの退治治療の費用は現時点では保険では認められておらず、自由診療(ようするに自費=高い)です。

しかしながら、癌を予防することができると実証されているこの検査と治療は女性にはお勧めだと思います。

 

 

 

産業医からみた乳がん検診

 「乳がん検診」(55.3%)は、触診だけでなくマンモグラフィーが一般的(?)。

いわゆる女性のためのがん検診で2番目に一般的なものです。

 

触診とは、実際に医師が乳房や腋窩(わきの下)を診察して、何かしこりがないか調べるものです。

実際に「何か」が見つかることもありますが、その精度は施行する医師の技量だけでなく、受ける患者さんの体型等も含めて個人差があります。

 

また、「触診」という行為自体に抵抗がある女性も多く、近年はマンモグラフィーが増えつつあります。

 

特に、公的ながん検診でなく、人間ドックなどの施設では、患者さんのニーズは大切ですので、マンモグラフィーを導入しているところがほとんどだと思います。

 

実際のマンモグラフィーは、「おっぱいのレントゲン写真を撮る」検査です。

 

最近はレントゲン写真もコンピューター処理が進み、精度がかなりいいとのことです。

 

これでひっかかると、精査にまわります。触診のほか、超音波検査、そして「何か」あるようであれば、組織診・細胞診(針をさして細胞を調べる検査)となります。

 

乳がんは女性の5人に1人が一緒のうちに一度かかるともいわれています。女性にはお勧めの検査です。

 

産業医からみたがん検診・人間ドックについて

過去1年間にがん検診又は人間ドックを実施した事業所の割合(実施率)は41.1%[前回41.0%]で、

 

がん検診を実施した事業所の割合は29.3%、

人間ドックを実施した事業所の割合は27.7%、

がん検診と人間ドックの両方を実施した事業所の割合は15.9% でした。

 

事業所規模別にみると、上記のいずれについても、規模が大きくなるほど、実施した事業所の割合が高くなっています。

 

実際のがん検診の種類(複数回答)をみると、

「大腸がん検診」(61.7%)が高く、

「胃がん検診」(60.1%)、

「子宮がん検診」(57.4%)、

「乳がん検診」(55.3%)の順でした。

 

 

がん検診・人間ドック実施の有無別事業所割合

がん検診実施の有無及び種類別事業所割合 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以上、20081010に厚生労働省より発表された「平成19年 労働者健康状況調査」を、産業医.com的に紹介させて頂きました。(詳しくはこのリンク先の報道発表資料でご覧ください。)

産業医のコメント パートタイム労働者に対する定期健康診断の実施状況

過去1年間に定期健康診断を実施した事業所で、パートタイム労働者に対して定期健康診断を実施している事業所の割合は、

  • 一般社員の週所定労働時間の4分の3以上働くパートタイム労働者に対して定期健康診断を実施している事業所の割合は、85.2%
  •  
  • 一般社員の週所定労働時間の2分の1以上4分の3未満働くパートタイム労働者のいる事業所のうち、これらのパートタイム労働者に対して定期健康診断を実施している事業所の割合は、62.5%
  •  
  • 一般社員の週所定労働時間の2分の1未満働くパートタイム労働者のいる事業所のうち、これらのパートタイム労働者に対して定期健康診断を実施している事業所の割合は、40.6%

 図1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

近年、日本の職場環境は激変しています。

職場のモザイク化です。

パートや派遣、契約社員は、従業員の1/3。

外国人労働者は75万人と、過去10年で倍増しています。

 

そのような中、パートや派遣、契約社員の健康管理について、企業がどこまでやるか、企業にどこまで求められるようになるのか、企業はしっかり把握する必要があると思います。

 

 

以上、20081010に厚生労働省より発表された「平成19年 労働者健康状況調査」を、産業医.com的に紹介させて頂きました。(詳しくはこのリンク先の報道発表資料でご覧ください。)

産業医からのコメント 定期健康診断の実施率、受診率、有所見率について

過去1年間に定期健康診断を実施した事業所の割合(実施率)は86.2%[前回平成14年調査は87.1%]でした。

 

事業所の規模別にみると、300人以上のすべての規模で100%実施されていました。

 

実際に定期健康診断を受診した労働者の割合(=受診率=過去1年間に定期健康診断を実施した事業所における常用労働者のうち定期健康診断を受診した労働者の割合)は、81.2%でした。

そして、そのうち、所見のあった労働者の割合(有所見率)は、39.6%でした。

 

つまり、働く人の32.2%に、何らかの所見がある=健康を害している可能性がある、ということになります。

 

 

受診率について、事業所規模別にみると、50人以上のすべての規模で8割を超えていました。やはり、8割以上の受診率は最低限必要ということでしょう。

 

 

定期健康診断の実施率、常用労働者の受診率及び有所見率

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以上、20081010に厚生労働省より発表された「平成19年 労働者健康状況調査」を、産業医.com的に紹介させて頂きました。(詳しくはこのリンク先の報道発表資料でご覧ください。)