ヨウ素含有食品等による効果について

原子力災害時における安定ヨウ素剤予防服用考え方について

平成14年4月

原子力安全委員会 

原子力施設等防災専門部会

 

 ヨウ素は種々の食品に微量ではあるが含まれており、特に海産物に多く含ま れている。この中でコンブは特異的に多く(43、44〕、コンブ乾燥重量100g当 たり、100~300mgのヨウ素を含んでいる。その他、ワカメ7~24mg /100g乾燥重量、ヒジキ20~60mg/100g乾燥重量、海産魚類0. 1~0.3mg/100g生重量である。

 日本人が通常の食生活で摂取するヨウ素量は、海産物の有無やその過少で大 きく変動するが(22)、海産物の摂取による日本人の1目ヨウ素摂取量の平均は、 1~2㎎とされている㈲。コンブはそのまま食する以外に、だしコンブとし て使われることが多く、15分間の煮沸により出汁中には、コンブに含有され るヨウ素の99%以上が溶出される。一杯の吸物に普通加えるだしコンブを2 gとしても、5mg程度のヨウ素摂取となる(45)。このようなヨウ素摂取量でも、 日本人の甲状腺のホルモン分泌機能は正常である(22)。また、コンブ等を摂取し ない場合、一日当たりヨウ素摂取量は、0.lmg程度となる(22)

 コンブにより10~30mgのヨウ素を一度に摂取することは可能ではある が、ヨウ素含有量が多いコンブ等の食品を摂取することにより、放射性ヨウ素 の甲状腺への集積を抑えることについては、

・コンブでは、大量に経口摂取した上で、咀噛・消化過程が必要でヨウ素の吸 収までに時間がかかり、かつ、その吸収も不均一である

・コンブの種類、産地など、それぞれのコンブに含まれるヨウ素量は一定では なく、その必要量を推測することは極めて困難である

・対象者が、集団的に、迅速にコンブからヨウ素を摂取することは現実的に困 難である

 等の理由により、原子力災害時における放射性ヨウ素の甲状腺への集積を抑制 する措置として講じることは適切ではないと考えられる。
 なお、各家庭にあるヨウ素を含むうがい薬や外用薬は、経口服用目的には安 全性が確認されておらず、また、ヨウ素含有量が少なく、原子力災害時におけ る放射性ヨウ素の甲状腺への集積を速やかに抑制する効果は乏しいため、これ らのうがい薬や外用薬を、安定ヨウ素剤として、使用してはならない。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA