有給取得率70%へ

10月は「年次有給休暇取得促進期間」です

ワーク・ライフ・バランス推進官民トップ会議(2007年12月)において策定された
「仕事と生活の調和推進のための行動指針」では、

2020年度までに
年次有給休暇取得率70%」を達成する
ことなどの数値目標が掲げられています。

一方、
就労条件総合調査による
年次有給休暇取得率の直近実績(2012年)は「47.1%
と、いまだ5割を下回る水準にとどまっています。

こうした状況を改善するため、厚生労働省は、
新年度の年次有給休暇の計画的付与について
労使で話し合いを始める前の時期である10月を
「年次有給休暇の取得促進期間」と定め、
リーフレット、ポスター等を通じて重点的に周知を図るとともに、
年休の取りやすい環境整備や計画的付与制度の活用等を働き掛けることとしています。

労働者の2/3は、有給の取得に”ためらい”を感じています。
その理由の最たるものは、
「みんなに迷惑がかかると感じるから」
です。

実際に弊社のクライエントの会社で
有給取得率を2割ほど増加
させている会社さんがいます。

この会社は、もともと、
同業他社よりは有給の数の多い会社でした。
(日本の祝日+外国の祝日を休みとしていたため)

しかし、2020年70%に遠く及んでいないため、
・衛生員会で、部門ごとの有給取得率をチェックする(シェアする)
・毎年1回の「5連続営業日の取得」を恒例にする
・年の初めに、部門ごとに、社員の5連続有給取得日をきめて報告する
ということを、
3年前から地道にはじめました。

まだ、70%には届いていませんが、毎年、有給取得率は伸びています。
また、社員さん達からは、
有給がとりやすくなった!
との声をいただいております。

ぜひ、あなたの会社でも、何かアクションをとってみてください。
小さいアクションでも、続ける事により、効果は出ます。

【ポスターへのリンク】

以上、ご活用頂けますと幸いです。

数字からみた会社の福利厚生の目指す方向性 (産業医 武神の動画 027)

この記事をお読みいただき、どうもありがとうございます。
産業医の武神です。

今日は、
【数字からみた会社の福利厚生の目指す方向性 (産業医 武神の動画 027)】
という話をさせていただきます。

この動画では、
健康診断受診率、過重労働対策の目指すべき具体的数値、有給所得率、育児休暇取得率などなど、会社の福利厚生の目指すべき数値を解説しています。

youtu.be/LhVRcZDNEAc


以上、あなたの心と体の健康管理と自己成長と、あなたの会社の安全衛生管理にも、ご活用いただけると幸いです。

コメント、ご質問等、お待ちしております。bit.ly/jw17lT
全てしっかり、読ませていただいております。ご質問には、真剣にお答えさせていただきます。

 

 

【リクエスト多いため、動画のテキストを追加しました。】
武神動画027 – 数字から見た会社の福利厚生の目指す方向性

 今日は、数字から見た会社の福利厚生の目指す方向ということの話をしたいと思います。

 具体的に、定期健康診断は何%の受診率を目指すべきなのか、過重労働対策という言葉もそのためにやることもわかっているけれど、どれくらいのことをやらなければいけないのか、年休・有給休暇の取得率、また最近は男性の育児休暇ということがよく言われますが、それもどれくらいの数値を目指さないといけないのか、こういう内容についてお話しいたします。

 まず最初に身体の健康について、つまり定期健康診断についてです。

 今、日本の会社をすべて見てみますと、定期健康診断を実施している会社は91.9%と言われています。もちろんこれは従業員が少ない企業も入れた数字です。従業員が500以上の会社を集めてみると、定期健康診断を実施しているのは100%ということです。ですからもしあなたの会社が今、定期健康診断を実施していないのであれば、それはかなりイタい、というふうに思いますね。

 ちなみに、実際の受診率は81.5%が日本全体の平均です。同じように500人以上の会社であれば82.6%ということですから、大体8割以上の受診率が必要なのではないか、と思います。

 次にがん検診についてです。

 定期健康診断以外に胃のバリウム検査、大腸の便潜血反応、子宮がん、乳がんなどのがん検診をやっているところというのは、全体の34.3%、従業員500人以上の規模の会社であれば58.6%ということです。ですから、がん検診に関しては、やっていなくても決してネガティヴではないと、私は個人的には考えています。

 最近の新しい傾向としては、こういう検診以外に、歯科検診をやったり、乳がん検診など婦人科検診に関しては年齢制限なく実施したり、またご家族の検診やオプションの費用を会社が出すというような会社が増えているように思います。

 次に心の健康についてです。

 メンタルヘルスケアに取り組む事業所というは、今、日本全体で47.2%と言われています。従業員500人以上の企業に限っていえば96.4%ですから、ほとんどの企業でやっているということになります。日本政府としては、これはまだまだ不足していると考えているようです。全体での数値47.2%、つまり半分以下というのは、個人的にも確かに少ないなと思います。ただ2007年から比べると、その時は33.6%だったので、40%くらいの増加率になりますから、かなり上出来なのではないか、とも思います。

 しかし国の目標としては、メンタルヘルスケアに関する措置が受けられる職場の割合を2020年には100%を目指しているということですから、あと6,7年後には、規模にかかわらず全ての会社がメンタルヘルス対策をやっていることを政府は期待している、要求しているということになります。まだやっていない企業さんは、お考えになった方が良いのではと思います。

 次に過重労働対策です。

 これについては3つのポイントがあります。まず1つは1ヵ月に100時間以上の残業、もしくは2ヵ月、6ヵ月の平均で80時間以上の残業があること、そして従業員本人が疲れていること、さらに本人がリクエストする場合、この3つが揃ったら、企業は過重労働対策面談をしなければならないということになっています。

 この3つが揃わない限りは対策をしていない会社もありますけれども、多くのコンプライアンスの良い企業においては、本人がリクエストしていない場合でも時間に応じてやったりしています。もちろん対策として実施しているだけでは全く意味はないとは思いますが。

 政府としては今、実施しなさいよ、というだけではなくて、実際に過重労働者を減らしたいわけですね。ではどれくらい減らしたいのかというのを数字的にお話ししますと、1ヵ月に60時間以上残業をする過重労働者、つまり1日1時間残業なら20~22時間ですから、大体1日に3時間以上の残業をする雇用者の割合が2006年には10.8%、2011年には9.3%だったのを、2020年には国として5%にしたいと希望している、要求しているわけです。

 ですから過重労働者対策をするだけでなく、実際に過重労働者、しかも80とか100ではなく60時間以上残業をする人たちを減らすように意識して頂くのが良いのではないかと思います。

 次は年次休暇の取得率についてです。

 よく年次休暇について「繰り越し分は分母に入れるんですか?」と質問されるのですが、結論として繰り越し分は分母に入れなくて良いです。

 毎年会社から支給される休暇の日数を分母、実際にとった有給の日を分子とするのが取得率で、2006年の日本においては46.6%、2011年においては49.3%と言われています。政府は2020年には70%を目指している、要求しているということになっています。

 私自身は、過重労働時間の次に、この年休取得率、有休取得率というのが大切なファクターなのではないかと思っています。というのもこれは労働時間と同じように、数字でどの会社も出しやすい、比較しやすいからです。ぜひ、49.3%の現状から2020年には70%の取得率を目指して頂くと良いかと思います。

 私自身、多くのクライアントさんにおいて、年に1回、四半期に1回、もしくは毎月、その時々の有給休暇の取得率について部門ごとに調べてもらって、衛生委員会で知らせるようにしています。実際にそうやっていると、年ごとに有休取得率は上がっています。御社でもそのような試みをされるのも良いかもしれませんね。

 最後に育児休暇、とくに男性の育児休暇の取得率についての国の目標です。これは2005年には0.5%、2011年には2.63%だったのを、2020年には13%までと言われています。ちょっと残念なことに、日にちについて、つまり3ヶ月間休めるのにそのうち1週間でも休めば取得したということになるのか、とか、そこら辺に関してはなかなか細かい記載を見つけられなかったのですが、まあ、育児休暇をとっている男性が13%、つまり10人に1人以上はいてほしいということになっていますので、ぜひ御社でも、そこら辺も考えていただけると良いのではないかと思います。

 今日は2014年の始めとして、いくつかの数値でいろいろなことを見てきました。是非、今後1年間そして以降も、御社の福利厚生において、従業員の心と身体の健康のために何ができるのかとお考えになったときに、今回の話をご考慮いただけると幸いです。

 以上、産業医の武神でした。どうもありがとうございました。