産業医の上手な選び方
産業医を選ぶ際には事業規模や内容別に専属産業医または嘱託産業医を選ぶことになる訳ですが、999人以下の嘱託産業医を選ぶ事業所を想定してお話します。
そもそも普段は病人を診察していることが多い街の開業医の先生や病院の先生たちと、企業内で会社のリスクマネジメントの立場からいろいろな活動をする産業医とでは根本的な違いがあります。
そこを理解して産業医を選任しないと、後々いろいろな問題が発生してきます。
最近の労災の疾患別内訳は、半分以上が脳疾患・心臓疾患などの生活習慣病関係、残りの多くが自殺を含めたメンタルヘルス関係という状況です。
生活習慣病関係については、全身を扱う科(内科・外科等)の専門医クラス、メンタルヘルスについては精神科・心療内科医の専門医クラスだと、その点において失敗は少ないと思います。
しかしながら、産業医の仕事は、その社員が何の就労制限もしないで働けるか、それとも何らかの就労制限をすれば働けるのか、休職すべきなのか、どのような勤務体制を組んだら復職が可能なのか、などの判断が中心です。
その場で病気を治すわけではありません。
病気が診られる名医=名産業医ではありません。
ある程度の知識と臨床医としてのそれなりの経験のある医師であれば、それほど医師の専門性にこだわる必要はありません。
社員の年齢とのバランス、医師個人の転勤や移動はないか、どれくらい長く会社とつきあってもらえるのか、訪問時以外の連絡や対応は可能か、なども考える必要があります。
もちろん、会社の担当者との相性が大切なのはいうまでもありません。
「普段付き合いの少ない”医師”を産業医に迎え、会社の望むような産業保健活動を進めていくのは難しい」ということで、最近は従業員の健康管理を専門業者にアウトソーシングする企業も増えてきています。
また、各地へ事業展開されているようであれば、本社以外の産業医の選任は一括してそのような専門業者に任せるという方法もあります。
CSRやコンプライアンスの立場から考えないまでも、会社にとっては社員一人一人が財産であると思います。”人財”であるその社員たちと企業自身のために、企業内保健サービスのレールをきちっと作っていただける産業医を探すことが大事だと思います。
努力した担当者のみが報われると思います。
ネット検索、衛生管理者の資格試験、同業他社の担当者の話等、まずは“勉強”をして下さい。