復職と休職に関する就業規則をつくりましょう!
従業員の心と体の健康管理に関して、
最近、企業には、より多くのことが求められてきています。
心の健康に関しては、
従来は、
「メンタルヘルスをケアしましょう、予防しましょう」
というスタンスが、企業に求められておりました。
2004年に、心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引きについて.が厚生省より出されました。www.mhlw.go.jp/houdou/2004/10/h1014-1.html
そして、現在は、
「メンタルヘルス問題(ようするにうつや不安神経症、パニック障害等)で休職してしまった従業員も、ちゃんと復職させましょう」
というスタンスが、求められています。
ところが、
実際に企業に休職者がでてしまってから、産業医探しをはじめる企業も少なくありません。
しかしこれは、産業医がいれば問題が解決する、わけではありません。
もちろん、質の高い産業医の存在により、問題解決がラクになる、解決への近道がみつかる、などはあります。(そうなれば、産業医としてはうれしい限りです。)
どのようなケースでも、それぞれの会社のスタンス、方針がはっきりしていないと、
産業医としても、対応が難しくなってしまいます。
もちろん、会社のスタンス・方針とは、
会社のルールに裏付けられたものでなければなりません。
そして、そのルールは、法的な根拠があり、法的にも納得のいくものでなければなりません。
このルールこそが、「就業規則」です。
就業規則に、休職・復職に関する充分な規定がないのに、従業員の休職・復職に対応することは、
会社の担当者にも産業医にも、複雑、煩雑、じれったい作業です。
例えていうならば、
暗黙の了解ルールのみでのトランプの大富豪をやっていて、何か問題が生じたけれど、さまざまな(ローカル)ルールがあり、解決がまとまらない、状態です。
会社内健康保健サービス(産業医システム)の改善を期に、
復職と休職に関する就業規則について、考えてみませんか?
産業医の求める就業規則② 「休職の定義」と「休職期間」について
就業規則では、
「休職の定義」と「休職期間」を、決めることが出来ます。
つまり、「何をもって休職とするか」、「どれくらいまでを休職とするか」ということです。
ちなみに、これに関しては、労働基準法に決まりはありません。
(詳しいことについては、専門家にご相談下さい)
ここでは、産業医の立場からの見解を述べさせて頂きます。
「休職の定義」≒「何をもって休職とするか」
たいていは以下が該当します。
・ 疾病による欠勤が○か月を超え、療養を継続する必要があるため、 勤務できない場合
・ 特別の事情がある場合
就業規則にこのような文章がのっている企業はそれなりにあります。
市販の就業規則ひな形でも、載っているものはあります。
くどいようですが、これに関しては、労働基準法に決まりはありません。
あくまで、就業規則です。
就業規則では、会社独自で様々なルールを決めることができます。
しかし、これだけでは不十分です。
休職の期間についての記載が足りません。
「休職期間」≒「どれくらいまでを休職とするか」
社員が病気で長期間休むことになりました。さて、いつもで休みを認めますか?
「治る」まで?
→「治る」の定義は何ですか?
・ 病気が完治したことの証明方法も考えましょう。
・
→「治る」まで数年かかってもいいのですか?
その間、社員の身分を維持することは、社会保険料が発生し続けます・・・
休職社員の部署に人員補充をする必要があるかもしれません。そのコストもかかります。
さもなければ、働いている他の社員の負担がふえるばかりです。
あなたの会社に、それに耐える体力はありますか?
どこかのタイミングで、ケリをつけることが必要と思います。
一般的に、休業期間を経過すると、退職になります。
逆に言えば、
休職期間を決めていないと、退職を決めることもできない状態が続きます。
そこで、
→「期間」はいつまでとしますか?
・ 例えば、休職期間については、
- 勤続1年以上3年未満の者・・・○ヶ月
- 勤続3年以上の者・・・○ヶ月
という形で就業規則に載せることは可能です。
これは、勤続年数で差をつけているので、長く働いてくれた社員をより大切にするという意味もあります。いかがでしょうか?
産業医の求める就業規則③ メンタルヘルス社員の復職と再発について
2004年に、心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引きについて.が厚生省より出されました。www.mhlw.go.jp/houdou/2004/10/h1014-1.html
そして、現在は、
「メンタルヘルス問題(ようするにうつや不安神経症、パニック障害等)で休職してしまった従業員も、ちゃんと復職させましょう」
というスタンスが、企業には求められています。
そこで、復職の方法についても記載が必要かと思われます。
社員の復職に携わっている産業医としては、さらに、
再発の対処法、
と、
再発の定義
についても記載して欲しいと思います。
このような就業規則は、決して会社のリスクを減らすだけのものではありません。
社員の働く環境を守るためのもの、としての導入という認識が必要です。
そのほうが、社員に受け入れられやすいのではないでしょうか。