過重労働対策面談の詳細

過重労働対策面談の詳細

 

時間外・休日労働時間が1月当たり100時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められる労働者が申し出た場合には、事業者はその労働者に対し医師による面接指導を行うことが義務付けられています。

この面接を、過重労働面談といいます。

 

実施しなければ法律違反です。

 

 

この時、産業医は主に2点について注意しながら面談を行います。

 

まず、健康障害がないか?

直近の健診結果も併用します。

 

次に、うつ病の気配はないか?

疲労やストレス調査票などを用います。

 

事業者はその後、面談を実施した医師からの意見聴取を行い、結果の記録を作成し、これを5年間保存することになっています。

そして、場合によっては、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少などの事後措置、つまり労働条件、労働環境の改善を実施する義務があります。

 

ちなみに、時間外・休日労働時間が1月当たり80-99時間で、疲労の蓄積が認められる労働者が申し出た場合には、面接指導を実施するように努力する義務があります。

つまり厳密には、実施しなくても、法律違反にはなりません。

 

ここらへんをどのように対処するのかは、会社によりわかれます。

会社のスタンスの違いです。

 

自分の会社ではどうなっているのか、どうしたいのか、どうするべきか。

社内でご検討下さい。

 

 

過重労働対策面談にならないためには?

 

このような状況にならないためには、企業は従業員を残業させない仕組みを考える必要があります。

簡単なことではないかもしれませんが、まずは、この法律を頭の片隅に置いて、従業員の日々の働き方を再考して下さい。

 

 

残業を減らすことは工夫できる場合があります。

例えば、ノー残業デーをつくるなどです。

 

この結果、業務効率が上がり、残業が減った例も多くあります。

 

ほかに、過重労働面談の実施を従業員に通知したことにより、それだけで、従業員の残業時間が減った例もあります。

 

きっと、「先生」との面談によほど抵抗があったのかもしれませんね。

 

 

長時間働くことは美徳ではありません。

組織全体の作業効率を上げることも仕事です。

 

労働安全衛生法で定める「長時間労働者への医師による面接指導」とは?

脳・心臓疾患の発症が長時間労働との関連性が強いとされていることから、労働安全衛生法第66条の8により、事業者には、医師による該当者への面接指導を行うことが義務付けられています。
事業者は長時間労働等の要件に該当する労働者の健康状態を把握し、適切な措置を講じなければなりません。
また、労災認定された自殺事案には長時間労働であったものも多いことから、この面接指導の際には、うつ病等のストレスが関係する精神疾患等の発症を予防するために、メンタルヘルス面にも配慮しましょう。

【対象】

すべての事業場(常時50人未満の労働者を使用する事業場は平成20年4月から適用)

【概要】

事業者は、労働者の週40時間を超える労働が1月当たり100時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められるときは、労働者の申出を受けて、医師による面接指導を行わなければなりません。
(ただし、1か月以内に面接指導を受けた労働者等で、面接指導を受ける必要がないと医師が認めた者を除きます。)

過重労働面談流れ

 

 

労働者の申出について

労働者の申出については、労働安全衛生法施行規則第52条の3において、下記のように定められています。

  1. 面接指導は、労働者の申出により行うものとする。
  2. 申出は、遅滞なく、行うものとする。
  3. 事業者は、労働者から申出があったときは、遅滞なく、面接指導を行わなければならない。
  4. 産業医は、該当する労働者に対して、申出を行うよう勧奨することができる。

申出ルール策定の重要性

事業主は、面接が必要な労働者が確実に医師面接を申出られるような環境・体制を整備することが重要です。
例えば、申出のルールを策定することなどが挙げられます。

ルールの例

  • 過重労働者全員に「疲労蓄積度チェック」を実施させ、該当する労働者全員を申出が あったものとみなし、自動的に面接対象者とする
  • 過重労働者全員に電子メールで、毎月産業医面接を受けるように告知する
  • 過重労働者で、かつ、面接を受けていない人のリストを作成し、未受診者がいなくなるよう、定期的に通知を送る
  • 時間外労働の申請をする際に、時間外労働時間の累計によってアラートが出るように 設定する

これらはあくまでも例ですので、それぞれの職場に合った申出のルールを策定することが大切です。

面接の実施について

面接指導を実施する医師としては、産業医、産業医の要件を備えた医師等、労働者の健康管理を行える医師が望ましいとされています。
また、面接指導の費用について、事業者が負担すべきものと考えてください。

事後措置について

事業者が、面接後にも実施しなければならないことがあります。
下記の事項にも配慮しましょう。

  • 面接指導を実施した労働者の健康保持のため、必要な措置について、医師の意見を聴かなければなりません。
    医師の意見に基づいて事業主が実施すべき措置としてはたとえば、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置が挙げられます。
  • 面接指導の結果に基づき、当該面接指導の結果の記録を作成して、これを5年間保存しなければなりません。

事業者は、面接指導を行う労働者以外の労働者であって、健康への配慮が必要な者(時間外・休日労働が1月あたり80時間を超える者等)についても、面接指導や面接指導に準ずる措置などを講ずるよう、努めなければなりません。

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