従業員が新型インフルエンザにかかったら

産業医.comへお問い合わせの多い「新型インフルエンザ」対応について、簡単に説明させて頂きます。

まず、従業員が新型インフルエンザにかかったら、事業所としてどうしたらいいか?


1.
他の従業員の方々に以下の症状が少しでもある場合には、直ぐに医療施設へ行って診察を受けるように指示をする。

【症状】
発熱、せき、鼻水・鼻づまり、のどの痛み、全身の倦怠感

(注意)診察の際は、職場でインフルエンザの人が出ていることを伝えてください。

もし、発症していた場合は、医師の指示に従い、自宅療養するよう指示をする。
その際は、必ず会社への連絡をするようにする。

職場に、これ以上、新型インフルエンザを持ち込まないというスタンスに協力を呼びかけましょう。


2.
職場の産業医に連絡する。誠実に対応してくれますか?
これは義務ではありませんし、省略は可能です。

あなたの会社の産業医の先生は、どのような対策案をお考えか確認しましょう。

きちんと、産業医としての自覚のある先生は、必ず何らかの対応策をお考えです。

そんなこと、連絡するな!的な対応の産業医は、即刻chanageです。


3.
発症する3.4日前から他の従業員と接触があったかどうか確認をする。(本人より聞き取りをする。)

もし、会議などで他の拠点の従業員(他社含む)と接触のあった場合は、そうちらへの連絡をどうするか(連絡をするかしないかを含めて)、企業としてどうしたいのか、company policyを決めましょう。


4.
自宅療養期間について、現在厚生労働省は以下の考えのようです。

新型インフルエンザと診断された患者の自宅療養の期間については、症状が軽い場合は、発症した日の翌日から7日を経過した日まで、または、発熱が無くなった日の翌々日まで。

自己の判断で無理をして出社しないよう注意しましょう。


5.
感染予防のために、手洗い、うがい、を促進してください。
元気で健康であれば、感染するとは限りません。
体調管理に気をつけましょう。


6.
何か不安なことがあれば、職場での相談連絡先を設け、そこで判断して、可能であれば、産業医への相談を対応できるようにしておきましょう。

働く世代においては、とくに、妊婦さん、糖尿病をお持ちの方、小さいお子様のいる方に対してのcareを。


ご相談ありましたら、お気軽にお問い合わせください。 

産業医と職場巡視① 法律と職場巡視計画

職場巡視は、産業医活動の原点ともいえます。

安衛則第15には、
「産業医は、少なくとも毎月1回作業場等を巡視し、作業方法又は衛生状態に有害の恐れがるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するために必要な措置を講じなければならない。」
と規定されています。


職場巡視の基本的な目的は、
「業務を行うことによって労働者に健康障害が発生することを予防する、又は現在の健康状態が悪化することを防止する」
ことといえます。


実際に職場巡視を行う上での基本的な考え方は、
その事業所の
「特性に合わせて」
「計画的」

に行う必要があるというスタンスが大切です。
 

各事業場や職種によりハザードやリスクアセスメントが異なるため、まずはそこの職場におけるハザードの特定・リスクアセスメントとそのリスクコントロールをPDCAサイクルとして行っていくものだということです。

職場によりハザードが異なるという考えが前提となっているため、
法定項目は無い
と考えられます。


職場巡視計画は、
計画立案後、衛星委員会などで発表し、承諾を得て、事業所内に周知しましょう。

 

職場巡視の後では、
職場巡視の記録を必ず残しましょう。
特に、指摘事項については職場の管理者に対応を記入してもらい、対応を明確にしてもらいます。

その内容を(総括)衛生管理者などの事業所の責任者に確認してもらった上で、衛生管理を行う部署で保管する仕組みがよいでしょう。

 

もちろん、対応がきちんとなされているかのフォローも必要です。
どのような対応・対策を、誰の責任で、いつまでに実施するのかといった改善スケジュール等も記録しましょう。
先々の資料になります。

産業医と職場巡視② 職場巡視と衛生委員会

職場巡視をしたのであれば、
ぜひ、職場巡視報告を衛生委員会で行いましょう。

職場巡視の結果は、巡視対象となった職場だけでその結果を利用するのでは、もったいです。
 

事業所内ではしばしば同様の作業や産業環境が存在します。
ひとつの職場で問題点が見つかり対応が行われたとしても、他の職場では問題の存在にも気づかないことがあります。

このような衛生上の問題やその対処方法を事業場全体で共有し活用するためにも、衛生委員会を活用することは大きな意味があります。

衛生委員会では、
産業医による職場巡視結果に加えて、
職場等による自主的巡視の結果も報告することが望まれます

いずれにしても、単に見つかった問題点だけでなく、それに対する対応・対策を併せて紹介することが必要です。 

産業医と職場巡視③ 職場巡視に関する個人的見解 

職場巡視に関する個人的な見解です。

産業医は、労働者の健康所具合の予防対策を行う上で、企業に対し、適切な助言・指導・勧告を行う必要があります。

このような対応を行うためには、
職場巡視を通じて職場の雰囲気、環境、作業の内容を理解していることが非常に重要
です。

職場巡視は、産業医活動の原点ともいえます。

 

また、職場巡視を行うことによって、
普段は見ることのない「産業医」の姿を労働者が見ることになり、
産業医の存在を知ること、
知り利用すること
に結びつくのではないかなとも思います。
 

企業側としても、
企業として労働者の安全衛生管理(健康対策)として、こういう活動もしているというアピールともなり、
ES(従業員満足度)の向上に一役使えるのではないかと思います。

 

デスクワークが中心となるオフィスなどでは、従来の工場等で行われていたような形式そのままでの職場巡視は「?」という印象があります。

 

従業員数の多くない支店(や工場)などでは、産業医が職場巡視にあわせて
その職場で健康相談やセミナーを行ったり、
職場ごとに健康診断結果をまとめて職場理者と健康問題を話し合う機会を作ったりして、
積極的に「現場」に足を運ぶことが、これからの産業医には必要かと思われます。


また、大企業の場合は、部署ごとに職場巡視を行い、そのときにその部署の責任者・人事担当者に同伴していただく事により、産業医が働く企業内でのネットワークの構築に役立てることなどの意識も大切でしょう。

オフィス職場での産業医活動の中心は、健康診断の事後措置(フォロー)、健康相談、メンタル相談、休職・復職者対応などの健康管理に使う時間が多いと思います。

しかしながら、繰り返しになりますが、職場巡視は、産業医活動の原点ともいえます。
 

できるだけ実際の現場(職場)に赴き、作業や作業環境を確認することは、労働務環境を知ることができ、産業医活動を行っていく上で大変役者の日常の勤立つと思います。