この記事の最後に、
4つのケアだけでは使えない!?
この記事の最後に、
過去1年間に定期健康診断を実施した事業所の割合(実施率)は86.2%[前回平成14年調査は87.1%]でした。
事業所の規模別にみると、300人以上のすべての規模で100%実施されていました。
実際に定期健康診断を受診した労働者の割合(=受診率=過去1年間に定期健康診断を実施した事業所における常用労働者のうち定期健康診断を受診した労働者の割合)は、81.2%でした。
そして、そのうち、所見のあった労働者の割合(有所見率)は、39.6%でした。
つまり、働く人の32.2%に、何らかの所見がある=健康を害している可能性がある、ということになります。
受診率について、事業所規模別にみると、50人以上のすべての規模で8割を超えていました。やはり、8割以上の受診率は最低限必要ということでしょう。
以上、2008年10月10日に厚生労働省より発表された「平成19年 労働者健康状況調査」を、産業医.com的に紹介させて頂きました。(詳しくはこのリンク先の報道発表資料でご覧ください。)
2006年現在、日本の医師数は約26万人。産業医の有資格者数は、約7万人超となっています。
およそ4人に1人の医師が、産業医の資格をもっていることになります。
ほとんどの医師は「臨床医」で、実際に病気の患者さんを診る仕事をしています。
医療機関(病院・診療所)で常勤医として働くかたわら、週1回の研修日(研究日)を持ち、自分の技術習得や他の医療機関でのアルバイトをしています。
もしくは、クリニックの院長自身が健診請け負い企業の産業医をかけもっていることも多いです。
現在の多くの嘱託産業医は、このようなお医者さん達で、週1回の研修日(研究日)に産業医として企業のために働いています。
(多くの専属産業医はその企業の常勤であることが多いですが、週1回の研修日(研究日)に臨床医として医療機関(病院・診療所)で働いています。)
現状として、そのような産業医は、企業の産業医が専門なのではなく、専門はあくまで所属する医療機関での医療です。
その結果、訪問時以外の対応が不可のこともあります。
急変患者の対応により訪問が突然延期または中止になることもあります。
また、その医師のキャリア形成はあくまで主である臨床医が基準ですので、転勤・移動もあります。
専門はあくまで所属する医療機関での医療なので、しょうがないのかもしれません。
しかし、そのようなところに、企業内産業保健サービスを積極的に考えている企業のジレンマがあるような気がします。
厚生労働省「労働安全衛生基本調査」によると、
産業医を選任している事業所の割合は、事業所規模別の選任状況は2005年で、
全体では75.4%となっています。
1,000人以上規模では99.8%と高いが、
50~99人規模では63.7%と低いです。
ちなみに、選任義務のない50人未満の事業所では7.9%です。
(注)ただし、ここで「選任」とは、事業所の産業医として登録した産業医の数であり、実際は名ばかりの産業医(名義貸し産業医)も含むと思われますので、実際の数値ははもっと低いと思います。
実際の産業医の職務は、
「健康診断結果に基づく事後措置、再発防止措置の指導」、
「健康相談・保健指導等の実施」
及び「健康診断の実施に関すること」など、
健康診断やそれに関連する職務など健康管理を中心として活動が行われているようです。
他方で作業環境管理などその他の業務へ産業医が関与していると答えた事業所の割合は比較的低くなっています。
衛生委員会への参加は、産業医にとって「義務」ではありません。
しかし、企業の企業内産業保健サービスをちゃんとやるにあたっては産業医の参加は不可欠と思えます。
「産業医の衛生委員会への参加の現状は27.2%」
からは、いかに名ばかりの産業医(場合によっては名義貸しの産業医)が多いのかと推測してしまいます。 (あくまで個人的見解です。)
事業所規模別にみると、
1,000人以上の事業所は86.1%、
500~999人の事業所は65.0%、
300~499人の事業所は51.9%、
100~299人の事業所は24.1%、
50~99人の事業所は24.4%に止まっています。
産業医の常勤・非常勤でみると、
産業医を常勤で選任している事業所においてはは、64.4%となっている一方、
非常勤で選任している事業所においては、26.4%に止まっています。
毎月最低1回の職場巡視は、産業医の義務とされています。
2002年の財団法人産業医学振興財団「産業医活動に関する調査研究報告書」によると、
職場巡視の程度が「要請がなくても月に1回以上」である産業医の割合は50.0%であり、
専属産業医は8割を超えた一方、嘱託産業医は4割程度だそうです。
いわゆる「工場的な作業場」では毎月の職場巡視の必要性は高いと思います。
このことは、容易に理解できます。
しかし、はたして都心のオフィスビルで、デスクやPCしかないところで、
毎月の職場巡視は意味があるのでしょうか?
「工場的な作業場」と同じ視点しかない産業医とっては、
答えは、「No!意味がない。時間のムダ!」でしょう。
このような視点でだけ考えれば、必ずしも毎月の職場巡視でなくてもいいかもしれません。
床の電気配線が転びやすそうでないか、照明・換気は充分かなどの環境管理、付帯設備や安全・防火管理に問題はないか云々は、担当者にお任せして、その報告をチェックする方法でもいいような気もします。
しかし、毎月最低1回の職場巡視は、産業医の義務です。
やる必要があります。
やらなければ、違反です。
やるのならば、そこに何か意義を見出して、前向きな気持ちで職場巡視をしたいものですね。
その秘訣については、管理人にお問い合わせ下さい。
2005年の厚生労働省「労働安全衛生基本調査」によると、
過去1年間に産業医がメンタルヘルスに関する相談に関与した割合については全体で18.2%となっています。
産業医の訪問時間の1/5がメンタルヘルス相談にあたっているということですね。
事業所規模別にみると、
1,000人以上の事業所は79.4%、
500~999人の事業所は63.8%、
300~499人の事業所は37.3%、
100~299人の事業所は16.7%、
50~99人の事業所は14.0% となっています。
事業所規模が大きいほど、メンタルヘルス相談に割かれる時間が多く、小さいほど、メンタルヘルス相談が少ないというようにもとらえられます。
大きい会社の方が、メンタルストレスが深刻なのか?
そんなことはないと思います。
単に、小さい事業所では、
産業医を選任しているところが少ない。
また、産業医の勤務時間の関係で、そこまで手が回らないなどが理由だと思います。