東京労働局からの発表によると、従業員が1年間で労働基準監督署に駆け込む件数は、
2006年は5,363件、
2007年は5,819件でした。 8.5%の増加です。
その内容で最も多いのは賃金の不払で、
2006年は4,210件、
2007年は4,975件でした。 18%の増加です。
この多くは「サービス残業に対する残業代の不払」と考えられます。
駆け込み件数が増えているということは、
・ 従業員と会社とのトラブルが増加している。
・ 従業員がいろいろと知識を持つようになってきた。
・ 従業員が泣き寝入りしなくなってきた。
ということとが考えられます。
多くの従業員が「サービス残業」については、マスコミ等で報道されているため、知っています。
ネットで調べれば、その法律に関しての情報はたくさんあります。
少しその気になれば、現在の自分の労働環境が違法か否かを知ることができるものと考えます。
昔ほど人々が終身雇用にこだわらなくなった現在、その会社に固執する必要は薄れ、泣き寝入りよりは労働基準監督署に駆け込みを選択する従業員が増えているものと思います。
単なる「サービス残業に対する残業代の不払」であれば、その支払により解決することも可能です。
しかし、サービス残業を含めての残業時間が従業員の負担となり、その従業員の健康に何かあったとしたら、それだけでは済みません。
近年、厚生省は、2002年に「過労死」の新しい認定基準を全国の労働基準監督署に通達し、残業時間と脳・心臓疾患との因果関係についての見解を示しています。
産業医の立場からとしても、
会社は従業員の健康状態と残業問題を把握する必要があるといえます。