いつもこのブログをお読みいただき
どうもありがとうございます。
産業医の武神です。
今日は、
【会社の安全配慮義務リスクを最小限にする、休職者・復職者対応の5つの原則】
という、内容のお話です。
ご存知のように、
休職者の対応、復職については、厚生省のガイドラインがあるのみです。
法的なルールなるものはなく、
実際の対応は、会社ごとに異なります。
しかし、
私のクライエントにおいては、以下5点は、
会社の安全配慮義務リスクを最小限にする=会社のリスク回避のため、
原則としてもらっています。
あなたの会社の参考になれば幸いです。
1
休職(自宅療養)が必要の旨の診断書が出た場合、部門に有無を言わさず、該当社員を休ませる。
休職の診断書には、「いつまで」の期限が明記されているべきで、されていなければ、再提出をお願いする。診断書が会社に提出された場合、すぐに産業医に見せる。
2
その”期限”がきれるまでに、
「引き続き休職(自宅療養)が必要」または、「○月○日以降に復職可能」
の診断書を出してもらう。
つまり、診断書上の切れ目がないようにしてもらうことが大切です。
3
休職中も定期的に人事、産業医とcatch upや面談(電話も可)を行う。(たいてい最低月1回)
そのために、人事担当者が連絡してもいい個人のメルアドを聞いておく。
まちがっても、会社のメルアドに送らない。社員がブラックベリー(会社支給の携帯等)を手放せなくなってしまいます。
4
会社としては、1日○時間、週○日、働ける状態で復職してほしいか決めておく。
5
復職の際には、○月○日以降、復職可能の文言が入った診断書が必要。その診断書提出後に産業医面談を行う。主治医と産業医の意見を参考に、最終的に会社が復職の許可を出す。
そのため、主治医の書いた復職の日にちよりも実際の復職の日にちが後になることは普通にあることです。
就業制限が必要な場合は、具体的にどのような就業制限がいつまで必要か、診断書にかいてもらう。
たまに聞かれる以下質問にも答えておきます。
「産業医が主治医の診断書を見て、復職の可否を判断していただけますか?」
「無理です。それでは、 YESと言えても、NOと言えませんので」
「会社としては、○月○日には通常勤務が行えるようお願いしてもよろしいですか?」
「だめです。働けるまで病気が回復することが原則です」
以上、あなたの心と体の健康管理と自己成長と、あなたの会社の安全衛生管理にも、ご活用いただけると幸いです。
安全配慮義務 vs. 個人情報 !?
産業医の武神です。
今回は、
【安全配慮義務 vs. 個人情報 !?】
という内容のお話しをさせて頂きます。
あなたの会社の労働安全衛生管理・産業医活動のヒントになれば幸いです。
プレジデント誌onlineに以下記事がありました。
「産業医面談の内容が上司に筒抜け、どうしたらいいか」
【http://president.jp/articles/-/8910】
私の所感を述べさせていただきたいと思います。
僕の考えでは、基本的に
【安全配慮義務】 > 【個人情報】
だと考えています。
逆の産業医が多いと思いますが・・・。
そして、「安全配慮義務」>「個人情報」が故に、会社に開示すべきことがある時は、その旨従業員に伝えて、情報開示の同意を得るのは産業医の当然の行為でしょう。
従業員がNoといっても、開示する必要性、開示していい点、いわない点などを話し合い、妥協点を見つけるのが産業医の勤め(力量)だと思います。
メンタル休職社員の面談後、人事担当者に、「○○さん、どうでしたか?」と聞かれて、
「個人情報なので答えられません」と即答する産業医は、チェンジすべきです。
実際の個人情報の開示承諾については、
・口頭での同意を自分のノート(ipad)に書いておくことが最も多いです。社内のみならこれだけです、ほとんど。
・承諾書を頂く方法もあります。これは、主治医とのコミュニケーションが発生するときは必須でしょうが、それ以外では、拒否反応の印象が強いですので、治医とのコミュニケーションが発生するときのみをお勧めしています。
・休職者全員に休職開始時に承諾書をとることをルールとしている会社もあります。
どのようにやるかは、あくまで会社のルールの範囲内ですので、あなたの会社の企業文化にあったやりかたを考えるのがいいと思います。
しかし、何らかをやっておくことが大切かと思いますので、ご注意下さい。
あと、もう一点。
産業医からお話しするのは基本的に人事担当者1人のみとしています。
どのような情報が、どこまで、誰まで拡散したかは、いずれわかってきますので、それをfeedbackとして、会社により/人事担当者により、話す程度を微調整しています。
以上、
あなたの会社の労働安全衛生管理・産業医活動のヒントになれば幸いです。
感想、リクエストに対するお礼とコメント
全てのコンサルティングに通じる3つのポイント
EAPとはどういうものですか?導入のメリットは?
産業医として持ち続けたい「5Cの意識」
「5Cの意識」
産業医面談(Company Doctor’s Consultation)は、産業医と一般社員の最大の接点です。
会社がしっかりした産業医を雇っていれば、従業員の満足度はあがりますし、??な産業医だと、会社サイドへの評判にも影響しかねます。
産業医面談の内容は、健康診断の結果の相談などが主流ですが、メンタルヘルス(ストレス)関係の相談から、資格取得勉強中や目標実現中の方の相談など様々です。
人は、その時々のエネルギーレベルに応じて求めている内容が異なりますので、それに応じて、産業医面談の目的も変わります。
産業医は、面談者のエネルギーレベルに応じて一番適している手法を選択する必要があると感じます。
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相手の問題点や解決法を見えるようにすること。
相手の現在の問題点を解決するために、その問題が生じた原因を探ったり、気持ちの整理をしていくこと。
相手に問題点や解決法を教えること。
いずれにおいても、継続的(Continuity)な双方向のコミュニケーション(Communication)を築けることが理想的です。
一度産業医面談に来られた方が、しばらくたってまた来られる。
面談者のリピーターのできる産業医、以上の「5C」を意識してた産業医でありたいと思います。
産業医と職場巡視① 法律と職場巡視計画
職場巡視は、産業医活動の原点ともいえます。
安衛則第15条には、
「産業医は、少なくとも毎月1回作業場等を巡視し、作業方法又は衛生状態に有害の恐れがるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するために必要な措置を講じなければならない。」
と規定されています。
職場巡視の基本的な目的は、
「業務を行うことによって労働者に健康障害が発生することを予防する、又は現在の健康状態が悪化することを防止する」
ことといえます。
実際に職場巡視を行う上での基本的な考え方は、
その事業所の
「特性に合わせて」
「計画的」
に行う必要があるというスタンスが大切です。
各事業場や職種によりハザードやリスクアセスメントが異なるため、まずはそこの職場におけるハザードの特定・リスクアセスメントとそのリスクコントロールをPDCAサイクルとして行っていくものだということです。
職場によりハザードが異なるという考えが前提となっているため、
法定項目は無い、
と考えられます。
職場巡視計画は、
計画立案後、衛星委員会などで発表し、承諾を得て、事業所内に周知しましょう。
職場巡視の後では、
職場巡視の記録を必ず残しましょう。
特に、指摘事項については職場の管理者に対応を記入してもらい、対応を明確にしてもらいます。
その内容を(総括)衛生管理者などの事業所の責任者に確認してもらった上で、衛生管理を行う部署で保管する仕組みがよいでしょう。
もちろん、対応がきちんとなされているかのフォローも必要です。
どのような対応・対策を、誰の責任で、いつまでに実施するのかといった改善スケジュール等も記録しましょう。
先々の資料になります。
産業医と職場巡視② 職場巡視と衛生委員会
ぜひ、職場巡視報告を衛生委員会で行いましょう。
職場巡視の結果は、巡視対象となった職場だけでその結果を利用するのでは、もったいです。
事業所内ではしばしば同様の作業や産業環境が存在します。
ひとつの職場で問題点が見つかり対応が行われたとしても、他の職場では問題の存在にも気づかないことがあります。
このような衛生上の問題やその対処方法を事業場全体で共有し活用するためにも、衛生委員会を活用することは大きな意味があります。
衛生委員会では、
産業医による職場巡視結果に加えて、
職場等による自主的巡視の結果も報告することが望まれます。
産業医から小規模企業へ⑤-2 有害業務従事者への特殊健康診断の実施方法
どのような有害物を取り扱うかによって、どのような健康診断を実施したらよいかが異なります。
小規模企業にとってのベストな方法は、
近くの地域センターまたは推進センターを活用する!
がキーワードです。
マンパワーが限られている中、現在の従業員に、新たな分野の新たな仕事を、任せる前に、まず一度、専門家にご相談下さい。
お近くの産業医、もよりの地域センターまたは推進センターにご相談ください。
地域センターからの訪問指導を受けることもできます。
産業医から小規模企業へ⑭-1 産業医の職務
産業医からの質問:
あなたの会社は、選任している産業医に、健康診断及び面接指導等の結果に基づく健康管理、作業環境管理、作業管理、衛生教育などの職務を行わせていますか?
労働安全衛生法は、経営者に対して、産業医に健康診断及び面接指導等に基づく健康管理、作業環境の維持管理、作業の管理、健康教育・健康相談、衛生教育などの職務を行わせることを義務づけています(労働安全衛生法13条)。
これらを適切に実施するには、産業医学の専門知識が必要ですので、選任した産業医からの勧告や助言、指導を受けることが重要です。
また、新たに雇入れた従業員などに対しては、作業で使用する有害物による健康障害や作業の姿勢などで発生する腰痛の防止について、衛生教育を受けさせることも大切です。
さらに、産業医には、これらの事項を実施するために職場を巡視して従業員の健康を保持するために必要な措置について、勧告や助言・指導をしてもらう必要があります。