産業医のコメント 定期健康診断等の結果に基づく健康管理のための事後措置の実施状況

過去1年間に定期健康診断、がん検診又は人間ドックのいずれかを実施した事業所のうち、

異常の所見があった労働者がいる事業所の割合は78.2%であり、

そのうち、何らかの事後措置を行っている事業所の割合は84.5%[前回81.9%]です。

 

 

事業所規模別にみると、

規模が大きくなるほど何らかの事後措置を行っている事業所の割合が高く、

50人以上のすべての規模で9割を超えています。

 

これは、50人以上の規模の事業所は産業医を持つことになっていますので、その産業医が企業訪問時に「健康相談」などをおこなっているものと思われます。

 

事後措置の内容としては、

「再検査・精密検査の指示等の保健指導を行った」(78.7%)が高い割合となっています。

 

 

以上、20081010に厚生労働省より発表された「平成19年 労働者健康状況調査」を、産業医.com的に紹介させて頂きました。(詳しくはこのリンク先の報道発表資料でご覧ください。)

 

産業医のコメント がん検診・人間ドックの受診率及び有所見率

過去1年間にがん検診又は人間ドックを実施した事業所において、

がん検診又は人間ドックを受診した労働者の割合(受診率)は、34.7%となっており、

所見のあった労働者の割合(有所見率)は、29.3%となっています。

 

ここでいう「所見のあった」とは、「要精査」(精密検査・二次検査を受けましょう)となった人のことで、実際に癌が見つかった人の割合ではありませんのでご注意を。 

 がん検診・人間ドック実施の有無別事業所割合

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以上、20081010に厚生労働省より発表された「平成19年 労働者健康状況調査」を、産業医.com的に紹介させて頂きました。(詳しくはこのリンク先の報道発表資料でご覧ください。)

産業医からみた実際のがん検診の内容 大腸・胃・子宮・乳がん検診について

産業医からみた大腸がん検診

 

「大腸がん検診」は、便潜血反応です。

便についている血液を調べる検査です。たいてい2回します。

 

進行した大腸癌があっても7割程度しか陽性とならない(ひっかからない)ところが短所ですが、簡便にできる検査ですね。

 

1回でも血が付いていれば、密検査の大腸内視鏡検査を勧められます。大腸内視鏡検査については、こちらのブログを参照して下さい。

 

無痛で早い大腸内視鏡検査の記録ブログ

 

 

産業医からみた胃がん検診

 

 「胃がん検診」(60.1%)は、バリウム検査が一般的。

バリウム飲んで、台が倒れたり、体をグルグルまわしたりして、レントゲン写真を撮る検査です。

昔からある、一番“検診”のイメージの強い検査ですね。

 

内視鏡検査(胃カメラ)の普及や経鼻内視鏡の出現により、胃のバリウム検査はその意義が問われている(?)と感じます。

 

正直、検査の精度(正確さ)は・・・です。

 

ちなみに、産業医.com管理人は、医師でバリウムを飲んでいる人を知りません。

 

その他、ペプシノゲン検査(採血した血の中のものを調べるだけ)などもあります。

 

いずれも、ひっかかったら胃内視鏡検査へとなりますが、最近は、はじめから胃カメラを選択できる検診コースが増えている印象です。そのときは、内視鏡検査(胃カメラ)を選びましょう!

 

 

産業医からみた子宮がん検診

 

 「子宮がん検診」(57.4%)はいわゆる女性のためのがん検診でもっとも一般的なものです。

女性器入口付近を綿棒のようなもので擦り、それを顕微鏡で調べます。

 

引っかかれば、婦人科受診となります。

 

 

他に、HPV(ヒトパピローマウイルス)を調べることもあります。

 

ヒトパピローマウイルスは子宮頚癌のリスク因子であり、ヒトパピローマウイルスがいる人のほうが、子宮頚癌になる確率が高いことが認められています。

 

もし、ヒトパピローマウイルスが陽性(いる)場合、そのウイルスを退治する治療があり、

そうすることにより子宮頚癌は予防することができます。

 

このヒトパピローマウイルスの退治治療の費用は現時点では保険では認められておらず、自由診療(ようするに自費=高い)です。

しかしながら、癌を予防することができると実証されているこの検査と治療は女性にはお勧めだと思います。

 

 

 

産業医からみた乳がん検診

 「乳がん検診」(55.3%)は、触診だけでなくマンモグラフィーが一般的(?)。

いわゆる女性のためのがん検診で2番目に一般的なものです。

 

触診とは、実際に医師が乳房や腋窩(わきの下)を診察して、何かしこりがないか調べるものです。

実際に「何か」が見つかることもありますが、その精度は施行する医師の技量だけでなく、受ける患者さんの体型等も含めて個人差があります。

 

また、「触診」という行為自体に抵抗がある女性も多く、近年はマンモグラフィーが増えつつあります。

 

特に、公的ながん検診でなく、人間ドックなどの施設では、患者さんのニーズは大切ですので、マンモグラフィーを導入しているところがほとんどだと思います。

 

実際のマンモグラフィーは、「おっぱいのレントゲン写真を撮る」検査です。

 

最近はレントゲン写真もコンピューター処理が進み、精度がかなりいいとのことです。

 

これでひっかかると、精査にまわります。触診のほか、超音波検査、そして「何か」あるようであれば、組織診・細胞診(針をさして細胞を調べる検査)となります。

 

乳がんは女性の5人に1人が一緒のうちに一度かかるともいわれています。女性にはお勧めの検査です。

 

産業医からみたがん検診・人間ドックについて

過去1年間にがん検診又は人間ドックを実施した事業所の割合(実施率)は41.1%[前回41.0%]で、

 

がん検診を実施した事業所の割合は29.3%、

人間ドックを実施した事業所の割合は27.7%、

がん検診と人間ドックの両方を実施した事業所の割合は15.9% でした。

 

事業所規模別にみると、上記のいずれについても、規模が大きくなるほど、実施した事業所の割合が高くなっています。

 

実際のがん検診の種類(複数回答)をみると、

「大腸がん検診」(61.7%)が高く、

「胃がん検診」(60.1%)、

「子宮がん検診」(57.4%)、

「乳がん検診」(55.3%)の順でした。

 

 

がん検診・人間ドック実施の有無別事業所割合

がん検診実施の有無及び種類別事業所割合 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以上、20081010に厚生労働省より発表された「平成19年 労働者健康状況調査」を、産業医.com的に紹介させて頂きました。(詳しくはこのリンク先の報道発表資料でご覧ください。)

産業医のコメント パートタイム労働者に対する定期健康診断の実施状況

過去1年間に定期健康診断を実施した事業所で、パートタイム労働者に対して定期健康診断を実施している事業所の割合は、

  • 一般社員の週所定労働時間の4分の3以上働くパートタイム労働者に対して定期健康診断を実施している事業所の割合は、85.2%
  •  
  • 一般社員の週所定労働時間の2分の1以上4分の3未満働くパートタイム労働者のいる事業所のうち、これらのパートタイム労働者に対して定期健康診断を実施している事業所の割合は、62.5%
  •  
  • 一般社員の週所定労働時間の2分の1未満働くパートタイム労働者のいる事業所のうち、これらのパートタイム労働者に対して定期健康診断を実施している事業所の割合は、40.6%

 図1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

近年、日本の職場環境は激変しています。

職場のモザイク化です。

パートや派遣、契約社員は、従業員の1/3。

外国人労働者は75万人と、過去10年で倍増しています。

 

そのような中、パートや派遣、契約社員の健康管理について、企業がどこまでやるか、企業にどこまで求められるようになるのか、企業はしっかり把握する必要があると思います。

 

 

以上、20081010に厚生労働省より発表された「平成19年 労働者健康状況調査」を、産業医.com的に紹介させて頂きました。(詳しくはこのリンク先の報道発表資料でご覧ください。)

産業医からのコメント 定期健康診断の実施率、受診率、有所見率について

過去1年間に定期健康診断を実施した事業所の割合(実施率)は86.2%[前回平成14年調査は87.1%]でした。

 

事業所の規模別にみると、300人以上のすべての規模で100%実施されていました。

 

実際に定期健康診断を受診した労働者の割合(=受診率=過去1年間に定期健康診断を実施した事業所における常用労働者のうち定期健康診断を受診した労働者の割合)は、81.2%でした。

そして、そのうち、所見のあった労働者の割合(有所見率)は、39.6%でした。

 

つまり、働く人の32.2%に、何らかの所見がある=健康を害している可能性がある、ということになります。

 

 

受診率について、事業所規模別にみると、50人以上のすべての規模で8割を超えていました。やはり、8割以上の受診率は最低限必要ということでしょう。

 

 

定期健康診断の実施率、常用労働者の受診率及び有所見率

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以上、20081010に厚生労働省より発表された「平成19年 労働者健康状況調査」を、産業医.com的に紹介させて頂きました。(詳しくはこのリンク先の報道発表資料でご覧ください。)

産業医の求める就業規則① 復職と休職に関する就業規則をつくりましょう!

 

従業員の心と体の健康管理に関して、

 

最近、企業には、より多くのことが求められてきています。

 

 

心の健康に関しては、

 

従来は、

 

「メンタルヘルスをケアしましょう、予防しましょう

 

というスタンスが、企業に求められておりました。

 

 

2004年に、心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引きについて.が厚生省より出されました。

 

 

そして、現在は、

 

「メンタルヘルス問題(ようするにうつや不安神経症、パニック障害等)で休職してしまった従業員も、ちゃんと復職させましょう

 

というスタンスが、求められています。

 

 

ところが、

 

実際に企業に休職者がでてしまってから、産業医探しをはじめる企業も少なくありません。

 

 

しかしこれは、産業医がいれば問題が解決する、わけではありません。

 

もちろん、質の高い産業医の存在により、問題解決がラクになる、解決への近道がみつかる、などはあります。(そうなれば、産業医としてはうれしい限りです。)

 

 

どのようなケースでも、それぞれの会社のスタンス、方針がはっきりしていないと、産業医としても、対応が難しくなってしまいます

 

 

もちろん、会社のスタンス・方針とは、

 

会社のルールに裏付けられたものでなければなりません。

 

 

そして、そのルールは、法的な根拠があり、法的にも納得のいくものでなければなりません。

 

このルールこそが、「就業規則」です。

 

 

就業規則に、休職・復職に関する充分な規定がないのに、従業員の休職・復職に対応することは、

 

会社の担当者にも産業医にも、複雑、煩雑、じれったい作業です。

 

 

例えていうならば、

 

暗黙の了解ルールのみでのトランプの大富豪をやっていて、何か問題が生じたけれど、さまざまな(ローカル)ルールがあり、解決がまとまらない、状態です。

 

 

会社内健康保健サービス(産業医システム)の改善を期に、

 

復職と休職に関する就業規則について、考えてみませんか?

 

産業医の求める就業規則② 「休職の定義」と「休職期間」について

 

就業規則では、

 

休職の定義」と「休職期間

 

を、決めることが出来ます。

 

 

つまり、「何をもって休職とするか」、「どれくらいまでを休職とするか」ということです。

 

ちなみに、これに関しては、労働基準法に決まりはありません。

詳しいことについては、専門家にご相談下さい

 

 

 

ここでは、産業医の立場からの見解を述べさせて頂きます。

 

 

「休職の定義」≒「何をもって休職とするか」

 

たいていは以下が該当します。

 

     疾病による欠勤が○か月を超え、療養を継続する必要があるため、 勤務できない場合

     特別の事情がある場合

 

 

就業規則にこのような文章がのっている企業はそれなりにあります。

 

市販の就業規則ひな形でも、載っているものはあります。

 

くどいようですが、これに関しては、労働基準法に決まりはありません。

 

あくまで、就業規則です。

 

 

就業規則では、会社独自で様々なルールを決めることができますが、これだけでは不十分です。

 

休職の期間についての記載が足りません。

 

 

「休職期間」≒「どれくらいまでを休職とするか」

 

社員が病気で長期間休むことになりました。さて、いつもで休みを認めますか

 

 

「治る」まで?

 

 →「治る」の定義は何ですか?

 

     病気が完治したことの証明方法も考えましょう。

 

    

→「治る」まで数年かかってもいいのですか?

 

 その間、社員の身分を維持することは、社会保険料が発生し続けます・・・

 

 休職社員の部署に人員補充をする必要があるかもしれません。そのコストもかかります。

 

さもなければ、働いている他の社員の負担がふえるばかりです。

 

 あなたの会社に、それに耐える体力はありますか?

 

どこかのタイミングで、ケリをつけることが必要と思います。

 

 

一般的に、休業期間を経過すると、退職になります。

 

逆に言えば、

 

休職期間を決めていないと、退職を決めることもできない状態が続きます

 

 

そこで、

 

 →「期間」はいつまでとしますか?

 

     例えば、休職期間については、

 

Ø         勤続1年以上3年未満の者・・・○ヶ月

Ø         勤続3年以上の者・・・○ヶ月

 

という形で就業規則に載せることは可能です。

 

これは、勤続年数で差をつけているので、長く働いてくれた社員をより大切にするという意味もあります。

 

いかがでしょうか?